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教会から出たサラマドラは職業斡旋所に張り出されている掲示板を見た。
教会では幼少期から最低限の教育は行き渡るため、自然と文字の読み書きはできるようになる。
掲示板の中で比較的簡単だと判断した布切れをちぎって、書かれた住所まで走った。
息が苦しく、息切れを起こしながら目的地に辿り着いたサラマドラは家の扉を叩いた。
「おや?なんだい、子供がこんなところに何の用だい。」
「あの。これ…」
サラマドラが手元から布切れを見せると、扉から出てきた女性は拍子抜けな声を出す。
「ん?ああ。仕事かい?」
「あ、あの。私でも働かせてもらえるでしょうか。下働きでも何でもやるので、ここで働かせてください!」
サラマドラは力一杯声を出して、要求する。
「まあ良いけど。あんたの所有属性はなんだい?それを聞かないと、何を任せて良いのか分からないからね。」
「ーー…です。」
いきなり聞かれたことに動揺しながら、サラマドラは口籠もりながら答えるが、女性には聞こえなかったらしい。
「あ゛!?なんて言ったんだい!」
「闇、属性、です。」
「闇だと?そんな役立たずに任せられる仕事なんてウチにはないよ。他を当たりな。」
「あっ。」
それだけ言い残すと女性に扉を閉め切られる。
サラマドラは職業斡旋所に戻ってからも数ある仕事場に転々と向かうが、誰も彼もサラマドラが闇属性所有者だと知ると追い払われてしまった。
行く宛が無くなったサラマドラは力無く、冒険者ギルドへ向かう道で歩き出した。
冒険者ギルドはどの国でも他の建物よりも高く、すぐ見つけられるように建てられている。
この城塞都市でも中央に存在する領主館と同様に目立つように建てられている。
サラマドラは木製の扉をそっと開けて中を覗いてみる。
扉から程近くには酒場のような場所が設けられており、奥では幾つかの窓口が設置されていた。
時間が日の暮れた夕刻を過ぎたからか、酒場では鎧を着込んだむさ苦しい男が数人がテーブルで向かい合って酒を片手に騒ぎ合っている。
窓口はガラリと人気がなかったが、窓口対応のギルド職員は対面にジッと座っていた。
サラマドラは酒場の男達を避けながら窓口へと近付いていった。
「あの。」
「はい、何でしょう。」
対応してくれたのは、優しそうに見える男性だった。
「私でも冒険者になれますか?」
「冒険者登録の方ですね?冒険者はどんな方でも登録できますし、何かあれば我々がサポートいたします。」
話してみれば、優しく囁くように声をかけられる。
「じゃあ、お願いしても、良いですか?」
「はい。では、こちらの紙に記入してくださいね。簡単なことだけですから。」
サラマドラは恐る恐る紙を取ると、自身の名前と属性と得意武器の三つの項目が書かれていた。
教会では幼少期から最低限の教育は行き渡るため、自然と文字の読み書きはできるようになる。
掲示板の中で比較的簡単だと判断した布切れをちぎって、書かれた住所まで走った。
息が苦しく、息切れを起こしながら目的地に辿り着いたサラマドラは家の扉を叩いた。
「おや?なんだい、子供がこんなところに何の用だい。」
「あの。これ…」
サラマドラが手元から布切れを見せると、扉から出てきた女性は拍子抜けな声を出す。
「ん?ああ。仕事かい?」
「あ、あの。私でも働かせてもらえるでしょうか。下働きでも何でもやるので、ここで働かせてください!」
サラマドラは力一杯声を出して、要求する。
「まあ良いけど。あんたの所有属性はなんだい?それを聞かないと、何を任せて良いのか分からないからね。」
「ーー…です。」
いきなり聞かれたことに動揺しながら、サラマドラは口籠もりながら答えるが、女性には聞こえなかったらしい。
「あ゛!?なんて言ったんだい!」
「闇、属性、です。」
「闇だと?そんな役立たずに任せられる仕事なんてウチにはないよ。他を当たりな。」
「あっ。」
それだけ言い残すと女性に扉を閉め切られる。
サラマドラは職業斡旋所に戻ってからも数ある仕事場に転々と向かうが、誰も彼もサラマドラが闇属性所有者だと知ると追い払われてしまった。
行く宛が無くなったサラマドラは力無く、冒険者ギルドへ向かう道で歩き出した。
冒険者ギルドはどの国でも他の建物よりも高く、すぐ見つけられるように建てられている。
この城塞都市でも中央に存在する領主館と同様に目立つように建てられている。
サラマドラは木製の扉をそっと開けて中を覗いてみる。
扉から程近くには酒場のような場所が設けられており、奥では幾つかの窓口が設置されていた。
時間が日の暮れた夕刻を過ぎたからか、酒場では鎧を着込んだむさ苦しい男が数人がテーブルで向かい合って酒を片手に騒ぎ合っている。
窓口はガラリと人気がなかったが、窓口対応のギルド職員は対面にジッと座っていた。
サラマドラは酒場の男達を避けながら窓口へと近付いていった。
「あの。」
「はい、何でしょう。」
対応してくれたのは、優しそうに見える男性だった。
「私でも冒険者になれますか?」
「冒険者登録の方ですね?冒険者はどんな方でも登録できますし、何かあれば我々がサポートいたします。」
話してみれば、優しく囁くように声をかけられる。
「じゃあ、お願いしても、良いですか?」
「はい。では、こちらの紙に記入してくださいね。簡単なことだけですから。」
サラマドラは恐る恐る紙を取ると、自身の名前と属性と得意武器の三つの項目が書かれていた。
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