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何とかを探して三千里とはよく言ったものだ
私の癒しはどこですか。
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「ん"ぐっ……!!」
変な悲鳴が出た。
いやそんな場合じゃない。カカオは無事か。いや早く逃げなくては。
少しアタマを打ち付けたのかうまく思考が纏まらない。
手の中でカカオは私の顔をじっと観察していた。
その表情を見て、私は唐突に。
まもるんだ、こんどこそ___……。
ふっと浮かんだ考えに思考を持っていかれそうになったが頭を振ってそれを飛ばす。打った所でもあったのでちょっと逆効果だったけれど。
いまのはなんだったのか。走馬灯だったのだろうか。
ここまでの時間は存外経っていなかった。
熱いような、ジクジクするような嫌な痛みが腕に疼くのを感じた。
傷跡は確認する間もない。カカオがその手の中に居ることを確かめながら、家の中に駆け込んだ。
この子だけは。そんな事を思って。
「はぁ……っ、はぁ……、、」
鍵をかけた奥では狂ったような吠え声と、扉に体当たりしたり引っ掻いたりするような音が響いたが、それは野犬が家の中に入れない事を意味していた。
「助かった……」
私が脱力のあまり力の支えを失ってしまっても、カカオは腕のあった場所から何の気なく着地して見せた。
「君は無事?」
にこ、と微笑みかけたところで私は固まった。
カカオは私の傷を眺めていた。
「あ、腕。」
今しがたの事だったのに、錯乱状態で忘れるところだった。
やっと見たそこには、腕の骨にそって一筋の傷がそこに存在。していて。
幸い骨こそ見えてはいないが、余程手入れのなされていないつめだったか、あるいは鋭い牙にでもやられたか。
見ていて少し痛々しいまであった。
「大丈夫。包帯蒔いたらへーきだから」
まただ。こういう時、カカオはまるで咎めるようにいつもより仄暗い目をするのだ。
その目を見てしまうと何故かいつも決まりが悪くなって、つい気になってしまう。
そうだ。一応狂犬病の類もあるし病院に行こう。
あ。
「きみ、1人でお留守番できる……?」
なーぅ。とまっすぐ。その猫は一声鳴いた。その表情から仄暗さは消え、真っ青な青空の瞳が丸く輝いていた。
これは、大丈夫という事、なのだろうか……?
「お外は危ないから、出ちゃダメだよ?」
尚もじーっと見てくる子猫に 後ろ髪をひかれながら、私は診療所へ向かった。
・
・
「んー、幸い早かった為傷口以外は大丈夫な様子ですね」
検査の結果、眉を寄せながら、医者の北原 俊臣先生は告げた。
「あっ、そうなんですね、よかった……。」
ほっと、私が息をついても、だんまりな様子に私は訝しんで思わず尋ねてしまった。
「……あの……どうしましたか……?」
いや、なんでもありません。と結局はぐらかされてしまったが、何やら終始煮え切らない様子で、結局、私は、それについて詳しくは問えず帰路につくのだった。
結局本当に何も教えてくれなかったけれど、何だったのだろうか……?
✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚
何があったのでしょうね(´・ω・`)
とても心配になりますが…。
とりあえず。狂犬と化さずに済んだようです。
追記!目指せ!毎日更新!
変な悲鳴が出た。
いやそんな場合じゃない。カカオは無事か。いや早く逃げなくては。
少しアタマを打ち付けたのかうまく思考が纏まらない。
手の中でカカオは私の顔をじっと観察していた。
その表情を見て、私は唐突に。
まもるんだ、こんどこそ___……。
ふっと浮かんだ考えに思考を持っていかれそうになったが頭を振ってそれを飛ばす。打った所でもあったのでちょっと逆効果だったけれど。
いまのはなんだったのか。走馬灯だったのだろうか。
ここまでの時間は存外経っていなかった。
熱いような、ジクジクするような嫌な痛みが腕に疼くのを感じた。
傷跡は確認する間もない。カカオがその手の中に居ることを確かめながら、家の中に駆け込んだ。
この子だけは。そんな事を思って。
「はぁ……っ、はぁ……、、」
鍵をかけた奥では狂ったような吠え声と、扉に体当たりしたり引っ掻いたりするような音が響いたが、それは野犬が家の中に入れない事を意味していた。
「助かった……」
私が脱力のあまり力の支えを失ってしまっても、カカオは腕のあった場所から何の気なく着地して見せた。
「君は無事?」
にこ、と微笑みかけたところで私は固まった。
カカオは私の傷を眺めていた。
「あ、腕。」
今しがたの事だったのに、錯乱状態で忘れるところだった。
やっと見たそこには、腕の骨にそって一筋の傷がそこに存在。していて。
幸い骨こそ見えてはいないが、余程手入れのなされていないつめだったか、あるいは鋭い牙にでもやられたか。
見ていて少し痛々しいまであった。
「大丈夫。包帯蒔いたらへーきだから」
まただ。こういう時、カカオはまるで咎めるようにいつもより仄暗い目をするのだ。
その目を見てしまうと何故かいつも決まりが悪くなって、つい気になってしまう。
そうだ。一応狂犬病の類もあるし病院に行こう。
あ。
「きみ、1人でお留守番できる……?」
なーぅ。とまっすぐ。その猫は一声鳴いた。その表情から仄暗さは消え、真っ青な青空の瞳が丸く輝いていた。
これは、大丈夫という事、なのだろうか……?
「お外は危ないから、出ちゃダメだよ?」
尚もじーっと見てくる子猫に 後ろ髪をひかれながら、私は診療所へ向かった。
・
・
「んー、幸い早かった為傷口以外は大丈夫な様子ですね」
検査の結果、眉を寄せながら、医者の北原 俊臣先生は告げた。
「あっ、そうなんですね、よかった……。」
ほっと、私が息をついても、だんまりな様子に私は訝しんで思わず尋ねてしまった。
「……あの……どうしましたか……?」
いや、なんでもありません。と結局はぐらかされてしまったが、何やら終始煮え切らない様子で、結局、私は、それについて詳しくは問えず帰路につくのだった。
結局本当に何も教えてくれなかったけれど、何だったのだろうか……?
✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚✩.*˚
何があったのでしょうね(´・ω・`)
とても心配になりますが…。
とりあえず。狂犬と化さずに済んだようです。
追記!目指せ!毎日更新!
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