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レインボーポット編
第31話「賢者様登場!勇者と一緒におしおきよ!!!」③
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「やっと…茅ケ崎に…着いた…」
ビスコッティは普段とは違うカジュアルな恰好で野球帽を頭にかぶり、さらに背中には大きなカバンを背負って、茅ケ崎駅の南口を出る。彼の姿は端から見れば、単なるスポーツ少年にしか見えない。
「まずは…家に…帰らないと…」
南口を海岸方面へ進む。8年という時間で、茅ケ崎駅南口の建物が変わった場所もちらほら見受けられる。
マカロンがマジパティの正体について調べていたようで、勇者シュトーレンのマジパティ4人の正体は既に知っている。特にクリームパフはパリにいた頃に戦った事があるため、マカロンから教えられるまでもなかった。
ミルフィーユ:千葉一悟。私立サン・ジェルマン学園中等部2年A組。出席番号15番。帰宅部。
本当は信じたくもなかった。いとこに姉と同じくマジパティになった者がいたという事…茅ケ崎に来るたび、同じ年齢の涼也と一緒に遊んでいた一悟…今は空手をやっており、空手の強さは折り紙付きだと聞いている。
「まだ小さかった涼也も…ほなみも…いすみも…僕より大きくなってしまったんだろうな…」
媒体である千葉柊也の記憶が戻った事で突きつけられる、「時の流れ」という現実…小学5年生で止まってしまった時間は、元に戻らない…
それでも…最愛の姉の笑顔をもう一度見たい…その気持ちだけは揺るがない…
幸いにも、最愛の姉を「父親」という免罪符で支配してきた男は、茅ケ崎市を離れている事は知っている。ビスコッティは、自宅のある東海岸南3丁目へと急ぐ…
………
「それで、どうして茅ケ崎に?」
なるべく人通りの少ない場所でビーチバレーをする一悟達を見ながら、僧侶は賢者を睨みつける。ビーチバレーは協調性を高めるための一環として合宿メニューに組み込んでおり、2人の目の前で有馬、トロールのクリームパフチームと、一悟、いすみのチームが涼也の審判の下でバトル中だ。
「実はさぁ…あのゴリラに関して、神奈川県の教育委員会の中でとんでもない事実が発覚したのよ!!!」
「ゴリラ」という単語が賢者の口から出た刹那、幼き身体に「きょーこ」という名札が付いたスクール水着に大人用の白衣姿の僧侶は目を皿のように丸くする。
「旦那ちゃん、あのゴリラの言動から「クビにしたい」ってボヤいてたし、神奈川県の高校生が、サン・ジェルマン学園にゴリラをクビにするよう署名活動もしているらしいのね?それに、ウチの教育委員会も神奈川の教育委員会に対しての違和感感じていたもんだからさ…旦那ちゃんと職場のためにも、ウラを取りに来たってワケ!」
「署名活動」という言葉に、アンニンの表情が引きつる。
「そ、そう言えば…中等部の校長…「鳥居久利緒」…だったな…?」
「そうそう、ソレが旦那ちゃんの名前ー♪30代で校長任されちゃったからさぁ…あのゴリラに、年齢を理由にナメられちゃって…」
僧侶とは真逆のテンションで涼也の父親のウラを取った事を明かす賢者はさらに、神奈川県教育委員会が隠してきた涼也の父親のこれまでの問題行動の数々を暴露する。その中にはサン・ジェルマン学園で起こした問題行動と同じものも含まれており、特に女子に対する修学旅行及びプールの授業での行動に至っては、養護教諭でもあるアンニンにとっては怒りが爆発する内容だった。
「あのゴリラ、8月からは教育研修だったな?研修中もその態度が変わらんようなら…クビだな?ク・ビ!!!」
「僧侶の幼馴染に対する態度だけならず、保健室を盗聴した事に関しては、未だに根に持っている僧侶アンニンであった。」
賢者の口から出てきた「署名活動」は1か月ほど前から行われており、最初はまちまちだったものの、マカロンがシャベッターで拡散した途端に、署名の人数が急増。マカロンが拡散した5日後に目標人数である1万人を突破してしまったのだった。その中には、サン・ジェルマン学園の生徒達も含まれていたのは言うまでもない。
「カラン…」
東海岸南3丁目にある一悟の祖父の家の縁側に、麦茶の入ったコップが置かれる。その縁側にはビスコッティが座っており、背中に背負っていたバッグは既に下ろされている。
「どんな姿であれ、お前が生きているだけで何よりだ…柊也…」
突然のビスコッティの来訪に驚いた一悟の祖父であったが、玄関に彼が現れた途端、彼が行方不明だった千葉柊也である事に気づいたようだ。
「随分と老けたね…おじいちゃん…」
縁側と庭を見つめるように置かれる仏壇には、一悟の祖母の写真と位牌…それを見た彼は、行方不明当時、生きていた祖母が既に亡くなっていた事を悟る。
「おばあちゃん…いつ頃亡くなった?」
「明日香もお前も行方が分からなくなって、1年7か月ほどだったな…私と涼也で看取った…バカな方のせがれのせいで入院が遅れてしまって…やっと入院できた時には、手術すらできない程ガンが全身に広がっていたんだ…」
「バカな方のせがれ」…その言葉に、ビスコッティは麦茶の入ったコップを震えさせる。柊也にとって、叔父と叔母は共に真面目な警察官で、柊也の父親と比較するまでもないほど人当たりの良い人物という印象だからだ。
「相変わらず…だな…あの男は…」
「お前は頭がいい子だったからな…明日香の笑顔のためなら、頭を使う事を惜しまない…だから、早々と父親に反発していたんだろう?」
祖父の質問に、ビスコッティは黙って頷く。柊也の机の引き出しに入っていた数々のペーパーナイフ…一悟の祖父と涼也は、柊也が父親への反発心を強めていた事を、既に知っていたのだった。
「おじいちゃんからあの赤い靴を買ってもらった時の姉さんの嬉しい顔…僕にとっては宝物だったんだ。その宝物を壊したあの男に、いずれ制裁を加えるつもりだった。」
「それなら、その事を今の涼也達に話してみるのもいいんじゃないか?今の涼也達は、柊也…お前と同じく、あの男を嫌っている。明日香の笑顔を守るために、何かをしたいのであれば、あいつらにもその趣旨を伝えるのも手段の一つだろう…」
祖父に諭されたビスコッティは、今にでも泣きそうな表情で祖父を見つめる。その表情は、これから自分の目の前にいる孫が何をして、どういう結末を迎えるのか知らない祖父を悲しむような雰囲気にもとれる。
「おじい…ちゃん…」
ビスコッティは普段とは違うカジュアルな恰好で野球帽を頭にかぶり、さらに背中には大きなカバンを背負って、茅ケ崎駅の南口を出る。彼の姿は端から見れば、単なるスポーツ少年にしか見えない。
「まずは…家に…帰らないと…」
南口を海岸方面へ進む。8年という時間で、茅ケ崎駅南口の建物が変わった場所もちらほら見受けられる。
マカロンがマジパティの正体について調べていたようで、勇者シュトーレンのマジパティ4人の正体は既に知っている。特にクリームパフはパリにいた頃に戦った事があるため、マカロンから教えられるまでもなかった。
ミルフィーユ:千葉一悟。私立サン・ジェルマン学園中等部2年A組。出席番号15番。帰宅部。
本当は信じたくもなかった。いとこに姉と同じくマジパティになった者がいたという事…茅ケ崎に来るたび、同じ年齢の涼也と一緒に遊んでいた一悟…今は空手をやっており、空手の強さは折り紙付きだと聞いている。
「まだ小さかった涼也も…ほなみも…いすみも…僕より大きくなってしまったんだろうな…」
媒体である千葉柊也の記憶が戻った事で突きつけられる、「時の流れ」という現実…小学5年生で止まってしまった時間は、元に戻らない…
それでも…最愛の姉の笑顔をもう一度見たい…その気持ちだけは揺るがない…
幸いにも、最愛の姉を「父親」という免罪符で支配してきた男は、茅ケ崎市を離れている事は知っている。ビスコッティは、自宅のある東海岸南3丁目へと急ぐ…
………
「それで、どうして茅ケ崎に?」
なるべく人通りの少ない場所でビーチバレーをする一悟達を見ながら、僧侶は賢者を睨みつける。ビーチバレーは協調性を高めるための一環として合宿メニューに組み込んでおり、2人の目の前で有馬、トロールのクリームパフチームと、一悟、いすみのチームが涼也の審判の下でバトル中だ。
「実はさぁ…あのゴリラに関して、神奈川県の教育委員会の中でとんでもない事実が発覚したのよ!!!」
「ゴリラ」という単語が賢者の口から出た刹那、幼き身体に「きょーこ」という名札が付いたスクール水着に大人用の白衣姿の僧侶は目を皿のように丸くする。
「旦那ちゃん、あのゴリラの言動から「クビにしたい」ってボヤいてたし、神奈川県の高校生が、サン・ジェルマン学園にゴリラをクビにするよう署名活動もしているらしいのね?それに、ウチの教育委員会も神奈川の教育委員会に対しての違和感感じていたもんだからさ…旦那ちゃんと職場のためにも、ウラを取りに来たってワケ!」
「署名活動」という言葉に、アンニンの表情が引きつる。
「そ、そう言えば…中等部の校長…「鳥居久利緒」…だったな…?」
「そうそう、ソレが旦那ちゃんの名前ー♪30代で校長任されちゃったからさぁ…あのゴリラに、年齢を理由にナメられちゃって…」
僧侶とは真逆のテンションで涼也の父親のウラを取った事を明かす賢者はさらに、神奈川県教育委員会が隠してきた涼也の父親のこれまでの問題行動の数々を暴露する。その中にはサン・ジェルマン学園で起こした問題行動と同じものも含まれており、特に女子に対する修学旅行及びプールの授業での行動に至っては、養護教諭でもあるアンニンにとっては怒りが爆発する内容だった。
「あのゴリラ、8月からは教育研修だったな?研修中もその態度が変わらんようなら…クビだな?ク・ビ!!!」
「僧侶の幼馴染に対する態度だけならず、保健室を盗聴した事に関しては、未だに根に持っている僧侶アンニンであった。」
賢者の口から出てきた「署名活動」は1か月ほど前から行われており、最初はまちまちだったものの、マカロンがシャベッターで拡散した途端に、署名の人数が急増。マカロンが拡散した5日後に目標人数である1万人を突破してしまったのだった。その中には、サン・ジェルマン学園の生徒達も含まれていたのは言うまでもない。
「カラン…」
東海岸南3丁目にある一悟の祖父の家の縁側に、麦茶の入ったコップが置かれる。その縁側にはビスコッティが座っており、背中に背負っていたバッグは既に下ろされている。
「どんな姿であれ、お前が生きているだけで何よりだ…柊也…」
突然のビスコッティの来訪に驚いた一悟の祖父であったが、玄関に彼が現れた途端、彼が行方不明だった千葉柊也である事に気づいたようだ。
「随分と老けたね…おじいちゃん…」
縁側と庭を見つめるように置かれる仏壇には、一悟の祖母の写真と位牌…それを見た彼は、行方不明当時、生きていた祖母が既に亡くなっていた事を悟る。
「おばあちゃん…いつ頃亡くなった?」
「明日香もお前も行方が分からなくなって、1年7か月ほどだったな…私と涼也で看取った…バカな方のせがれのせいで入院が遅れてしまって…やっと入院できた時には、手術すらできない程ガンが全身に広がっていたんだ…」
「バカな方のせがれ」…その言葉に、ビスコッティは麦茶の入ったコップを震えさせる。柊也にとって、叔父と叔母は共に真面目な警察官で、柊也の父親と比較するまでもないほど人当たりの良い人物という印象だからだ。
「相変わらず…だな…あの男は…」
「お前は頭がいい子だったからな…明日香の笑顔のためなら、頭を使う事を惜しまない…だから、早々と父親に反発していたんだろう?」
祖父の質問に、ビスコッティは黙って頷く。柊也の机の引き出しに入っていた数々のペーパーナイフ…一悟の祖父と涼也は、柊也が父親への反発心を強めていた事を、既に知っていたのだった。
「おじいちゃんからあの赤い靴を買ってもらった時の姉さんの嬉しい顔…僕にとっては宝物だったんだ。その宝物を壊したあの男に、いずれ制裁を加えるつもりだった。」
「それなら、その事を今の涼也達に話してみるのもいいんじゃないか?今の涼也達は、柊也…お前と同じく、あの男を嫌っている。明日香の笑顔を守るために、何かをしたいのであれば、あいつらにもその趣旨を伝えるのも手段の一つだろう…」
祖父に諭されたビスコッティは、今にでも泣きそうな表情で祖父を見つめる。その表情は、これから自分の目の前にいる孫が何をして、どういう結末を迎えるのか知らない祖父を悲しむような雰囲気にもとれる。
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