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レインボーポット編
第35話「キケンな双子!?ピサンとゴレン、登場!!!」①
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「ガコン…」
病院内の一角にある自動販売機から缶コーヒーが取り出し口に転がり落ちる。ムッシュ・エクレールはため息をつきながら取り出し口の扉を開け、コーヒーを取り出す。
「誰も…お見舞いに来ない…」
彩聖会に入院したばかりの頃は、木津先生、姪のライス、かつて同じパーティーだった賢者が顔出しに来ていたが、最近は茅ケ崎へ行っているらしく、3人とも彼に会いに来なくなった。
「大体…この私を差し置いて、茅ケ崎って…確かに勇者様と先代マジパティが活躍した場所だって聞いてるが…」
1人で愚痴をこぼしながら、ムッシュ・エクレールは車いすを押し、大型テレビがあるロビーへ向かう。最近は同じ病室に、マイルールばかり並べた高齢男性が入院し、彼のストレスはたまる一方…
「ったく…あのジジイ、何様のつもりだ?オレ様ですか?患者様ですか?同じ病室の人間と看護師を何だと思ってんだよ…若い女の看護師さん達のお尻を触るわ、男の看護師にはツバを吐くわ…いい加減にしてほしいぞ…」
何度も「病室を変えて欲しい」と懇願するが、医者からは「気持ちはわかるが、空いてる病室がない」で返され、今に至る。そんな彼の至福の時は、リハビリステーションに向かう時と入浴時間、そしてロビーでテレビを見る時なのである。どれもSNSから既に出ているニュースを「独占入手」と称して報道しているモノばかりではあるが、厄介な同じ病室の患者と一緒にいるよりは、退屈しのぎで丁度いい。
「先ほど入ってきたニュースです。政治家の今川武夫氏の長男が5月上旬より行方不明になっている事が、関係者の調べで明らかになりました。」
『私より年上じゃないか…それもニート…こっちは給料で家賃と生活費殆ど持ってかれて、毎日がカツカツなんだぞ?』
缶コーヒーを飲みつつ、ニュースに耳を傾けるムッシュ・エクレールはそう呟く。職歴はないに等しい割に、フェラーリなどの高級車を乗り回す…自分とは真逆の環境だ。
「仮に元妻子持ちなら、元嫁は運が悪かったと言うべきか…ご愁傷様と言うべきか…できる事なら、私が拾いにお伺い…」
下心丸出しな魔導士の呟きを遮るかのように、ニュース番組で公開された顔写真を見た刹那、魔導士は驚きのあまり、飲んでいたコーヒーを思いっきりむせてしまったのだった。
「下妻さん、しっかりしてください!!!」
看護師たちに支えられるムッシュ・エクレールの真横で、行方不明者の報道は、魔導士にある真実を語るかのように続けられる。
「今川氏の長男・麦さんは、かつては「天才棋士」として名をはせておりましたが…」
………
「フムフム…蔵王キツネ村で子ぎつねが2匹行方不明…高崎山で突然のボスザル失踪…人間だけでなく、動物まで失踪するなんてねぇ…」
東名高速道路上りの海老名サービスエリアのフードコートで、賢者トリュフはテーブルに新聞を1面分広げ、テレビを見ながら海鮮丼を食べている。
「シンシア…食べるか、ニュースを見るか、新聞を読むかのどっちかにしてくれ…」
「ほえ…」
賢者の向かいには、呆れた表情をする勇者クラフティと、きょとんとした表情をする明日香が食事中だ。
無事、明日香をカオスから奪還し、海の家の手伝いも一段落となったところで、マジパティ合宿は一つの区切りをつけた。明日香は元々コンタクトができない体質だったため、ユキが預かっていたメガネで視界の方はどうにかなったようだ。その代わりとして、ユキと友菓によって髪にインナーカラーが入れられたのだった。
「明日香はおじいちゃんと再会できたし、検査も異状なし!お母さんとの面会で合宿は参加できなくなったけど、お母さん…明日香の事を待ってるんですって。」
「で、でも…こんなに甘えて…いい…の?」
「堅苦しい事はナシ!もう…好きなものを「好き」って自由に言っていいんだから。」
戸惑う明日香に、ユキが背中を押す。あずきと雪斗が弓道部の合宿に入るため、2人も高萩家のリムジンで瀬戌市に戻る途中だ。
「あら…「下関でブリーダーの謎の変死体 繁殖犬数頭脱走か」…物騒なニュースばっかりですわね。」
賢者が広げている新聞記事の見出しを、あずきが読み上げる。
「こらぁ~!まだ読んでない記事、読み上げるなぁ~!!!」
賢者が新聞をテーブルから離した。その刹那、ユキの視界にあずきが読み上げた下関の変死体の記事が一面に掲載されていた。試しに「下関 繁殖犬脱走」と検索してみる。どうやら変死体は悪徳ブリーダーだったようで、口コミには「ドッグラン、人間の子供がやっと通れる程度かよ」、「実際は、相当狭いところで多頭飼いです。詐欺です。騙されないで!」などと言った苦情が殺到している。その様子に、ユキは思わずゾッとする。
『いくらなんでも、死体に鞭を打つような事していいのかなぁ…』
「お母さんの調停も始まるけど、もう一人じゃないんだからね?一悟の両親達も、明日香の事を支えるって言ってるし…だから、あなたは幸せになっていいのよ。やりたい事があるなら、ちゃんと話を聞くから…ね?」
くどいようだが、賢者は埼玉県教育委員会教員人事部の職員だ。
病院内の一角にある自動販売機から缶コーヒーが取り出し口に転がり落ちる。ムッシュ・エクレールはため息をつきながら取り出し口の扉を開け、コーヒーを取り出す。
「誰も…お見舞いに来ない…」
彩聖会に入院したばかりの頃は、木津先生、姪のライス、かつて同じパーティーだった賢者が顔出しに来ていたが、最近は茅ケ崎へ行っているらしく、3人とも彼に会いに来なくなった。
「大体…この私を差し置いて、茅ケ崎って…確かに勇者様と先代マジパティが活躍した場所だって聞いてるが…」
1人で愚痴をこぼしながら、ムッシュ・エクレールは車いすを押し、大型テレビがあるロビーへ向かう。最近は同じ病室に、マイルールばかり並べた高齢男性が入院し、彼のストレスはたまる一方…
「ったく…あのジジイ、何様のつもりだ?オレ様ですか?患者様ですか?同じ病室の人間と看護師を何だと思ってんだよ…若い女の看護師さん達のお尻を触るわ、男の看護師にはツバを吐くわ…いい加減にしてほしいぞ…」
何度も「病室を変えて欲しい」と懇願するが、医者からは「気持ちはわかるが、空いてる病室がない」で返され、今に至る。そんな彼の至福の時は、リハビリステーションに向かう時と入浴時間、そしてロビーでテレビを見る時なのである。どれもSNSから既に出ているニュースを「独占入手」と称して報道しているモノばかりではあるが、厄介な同じ病室の患者と一緒にいるよりは、退屈しのぎで丁度いい。
「先ほど入ってきたニュースです。政治家の今川武夫氏の長男が5月上旬より行方不明になっている事が、関係者の調べで明らかになりました。」
『私より年上じゃないか…それもニート…こっちは給料で家賃と生活費殆ど持ってかれて、毎日がカツカツなんだぞ?』
缶コーヒーを飲みつつ、ニュースに耳を傾けるムッシュ・エクレールはそう呟く。職歴はないに等しい割に、フェラーリなどの高級車を乗り回す…自分とは真逆の環境だ。
「仮に元妻子持ちなら、元嫁は運が悪かったと言うべきか…ご愁傷様と言うべきか…できる事なら、私が拾いにお伺い…」
下心丸出しな魔導士の呟きを遮るかのように、ニュース番組で公開された顔写真を見た刹那、魔導士は驚きのあまり、飲んでいたコーヒーを思いっきりむせてしまったのだった。
「下妻さん、しっかりしてください!!!」
看護師たちに支えられるムッシュ・エクレールの真横で、行方不明者の報道は、魔導士にある真実を語るかのように続けられる。
「今川氏の長男・麦さんは、かつては「天才棋士」として名をはせておりましたが…」
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「シンシア…食べるか、ニュースを見るか、新聞を読むかのどっちかにしてくれ…」
「ほえ…」
賢者の向かいには、呆れた表情をする勇者クラフティと、きょとんとした表情をする明日香が食事中だ。
無事、明日香をカオスから奪還し、海の家の手伝いも一段落となったところで、マジパティ合宿は一つの区切りをつけた。明日香は元々コンタクトができない体質だったため、ユキが預かっていたメガネで視界の方はどうにかなったようだ。その代わりとして、ユキと友菓によって髪にインナーカラーが入れられたのだった。
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「で、でも…こんなに甘えて…いい…の?」
「堅苦しい事はナシ!もう…好きなものを「好き」って自由に言っていいんだから。」
戸惑う明日香に、ユキが背中を押す。あずきと雪斗が弓道部の合宿に入るため、2人も高萩家のリムジンで瀬戌市に戻る途中だ。
「あら…「下関でブリーダーの謎の変死体 繁殖犬数頭脱走か」…物騒なニュースばっかりですわね。」
賢者が広げている新聞記事の見出しを、あずきが読み上げる。
「こらぁ~!まだ読んでない記事、読み上げるなぁ~!!!」
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