激甘革命!マジパティ(分割版)

夜ノ森あかり

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激甘革命編

第43話「狙われた体育祭…障害物にご用心!」②

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「続きまして、職員対抗借り人競争「観戦者、お借りします。」です。トラック途中にある封筒の中にカードが入ってますので、そのカードに記された人と一緒にゴールへ向かってください。」

 昼休憩が近づいていく矢先、サン・ジェルマン学園の生徒達の大人気競技・借り人競争が始まった。この競技は高等部、中等部、そして学生食堂の職員達が4人ずつグラウンドのトラックを走り、スタートから50m先に置いてある封筒の中のカードに記された人物を連れて走るという競技である。カードに記された人物は時々、「モルモットを飼っている人」や、「イギリス渡航経験者」、「武州ぶしゅうライオネルのファン」などといったネタ系の内容も含まれていることがあり、得点には貢献しないものの、生徒達にとってはどの先生がネタ系を拾うのか楽しみの一つになっている。
「「杏子きょうこ」ちゃん、俺や「木津きづ先生」と同じ順番で走るけど、大丈夫?」
「大丈夫だ。下妻しもつま先生もいるから、どんじりにならないことだけは保証されてる。」
 僧侶や大勇者も例外ではなく、この借り人競争に参加だ。

「次の走者は、第1コーナー・中等部養護教諭、仁賀保にかほ杏子先生!第2コーナー・食堂職員の首藤和真しゅとうかずまさん!第3コーナー・中等部英語教師、下妻稲生いなお先生!そして第4コーナーは、中等部英語講師、木津あいな先生です!!!今度はどんなドラマが待ってるのでしょうか、とても楽しみです!!!ただ…私としては、下妻先生の体力が心配でございます。」

 放送部員の私情が入ってしまう程、この競技は人気競技である事がよくわかる。スタートを知らせるピストル音が鳴り、走者たちは目の前の封筒に向かって走り出す。

『やりぃ!!!』

 一番先に封筒に到着したのは、大勇者ガレットで、封筒を開けてカードの文字を見た刹那、ニッと笑いつつ観客席の方へ顔を向け、お目当ての人物を探し始めた。大勇者に続くかのように、有馬ありまも封筒の中のカードを確認すると、観客席の方へ顔を向け、お目当ての人物を探し始める。

『「うさ耳リボンの女の子」だってのに、どうしてこういう時に限って、グラッセの奴は…』

 どうやら、グラッセは本日うさ耳リボンを着用していないようだ。観客席を見渡すが、うさ耳リボンの女の子が見つかる気配はない。僧侶と魔導士も封筒を拾い上げ、中身を確認すると、観客席へと顔を向ける。

「パパ上様っ!!!」

 一番最初にお目当ての人物を見つけたのは、僧侶アンニンだった。娘から突然声をかけられたブランシュ卿は、驚いたような顔をするが、すぐに借り人競争の対象である事を理解した。
「「桃子ももこ」、ちょっとひとっ走り付き合ってくる。」
「きばりや~」
 僧侶が封筒を手にした位置から自らの左足と父親の右足を紐で結んでいる間に、大勇者ガレットは長女である勇者シュトーレン、有馬はたまたまうさ耳リボンを付けていた明日香あすか、ムッシュ・エクレールは勇者クラフティとそれぞれ合流し、それぞれ封筒を拾った場所に向かい、持っていた紐で互いの足を結んだ。


「兄さんに負けてたまるかーーーーー!!!」
「親子パワーナメんじゃねぇっ!!!!!」
「「下妻先生」に負けたら、末代までの恥だ!!!行くぞ、パパ上様!」
「明日香、俺の呼吸に合わせるんだ!」


 トラックにいる職員が全員、再び走り出す。実況を行っている放送部員は言葉にならない程の絶叫をすると、マイクをぐっと握り、前のめりの姿勢になった。
「これは先が見えません!!!一体誰が1着となるのでしょうか!下妻先生は、筋肉痛にお気をつけくださいねー。」
 ケガで入院するなど、普段からあまり運動していないように見られているので、生徒にムッシュ・エクレールが筋肉痛を心配されるのは仕方ないのかもしれない。そんな魔導士は、「打倒!兄」に燃える黒髪の勇者のペースに巻き込まれ、殆ど傀儡の状態となってしまった。

「パンっ!!!!!」

 ゴールを知らせるピストル音が響く。殆ど同時にゴールしたため、全員が息を切らせる中、放送席のテント内で「誰がゴールテープに触れたか」写真判定が行われた。

「判定の結果、首藤さんの連れてきた方の胸が先にゴールテープに触れていた事がわかりました!よって、1位は首藤さん、2位は木津先生、3位は仁賀保先生、そして4位は下妻先生となります!!!」

 1位でゴールした事を喜ぶ父親の隣で、女勇者はあまりの恥ずかしさに両手で顔を覆ってしまった。
「それでは、カードの回収をします。首藤さんのカードは…「可愛い女性」…?」
「俺にとって、娘はいくつになっても「可愛い女性」なの!!!」
 カードを回収する障害物準備係の生徒の疑いも何のその、大勇者は長女の傍でドヤ顔でそう主張したのだった。
「木津先生は「うさ耳リボンの女の子」とてもよくお似合いですね…仁賀保先生は…」
「「尊敬する人」だ!私の父親は尊敬に値する!!!」
 女僧侶も女僧侶で、父親の傍でドヤ顔した。
「下妻先生は「コンビニ店員もしくは経験者」ですね。どちらにお勤めで?」
「フェアリーマート茅ケ崎ちがさきサザンクロス通り店で2年ほど…」
 気を失っている魔導士の傍で、黒髪の勇者はそう答えた。



 昼休憩に入ると、大勇者はグラウンドの隅のテントで他の食堂職員と共にうどんの販売を始め、一悟、雪斗、トロールの3人はうどんの列に入った。そんな3人の後ろに、勇者姉妹と有馬が加わる。
「なんで、親父が走るタイミングでトイレにいるのよ…」
「だって、トイレ混んでて、パパちゃまが走る時に間に合わなかったんだもん…」
 要するに大勇者が長女を連れてきたのは、トイレの混雑が原因だったようである。妹に文句を言う女勇者には、先ほどの借り人競争で得た視線が集まる。
「ところで、「下妻先生」は?」
「おにぃのペースに巻き込まれたせいで、盛大に足首ひねって、その場でドクターストップよ。」
「寧ろ、よく足首の捻挫だけで済んだよな…」
 うどんを求める行列の中、勇者姉妹と有馬は一悟達の後ろで会話を続ける。
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