激甘革命!マジパティ(分割版)

夜ノ森あかり

文字の大きさ
213 / 248
激甘革命編

第46話「暴かれた!?ライスと誘拐事件の真相」①

しおりを挟む
「人間界でおじ様との連絡が途絶えて1週間…大賢者様が言うには、僧侶様とトルテ様は、それぞれ看護学生として、モデルとして人間界で御多忙極めていらっしゃる…」
 紅葉彩る山の中を、薄紫色の振袖にツインテールの少女が歩く。耳が尖っている所から、恐らく彼女は種族が人間に近い存在である事が伺える。

 彼女の名はライス・ケーキ…スイーツ界の精霊達を、家族で指導及び管理をしているハーフエルフの少女である。叔父が人間界で消息を絶ってしまい、父である魔導騎士団長代理パウンド・ケーキからの勧めで、消息が掴めない叔父と勇者シュトーレンを探し出す事…そして、父の上司である大勇者ガレットの補佐をするよう頼まれたのである。最も、その大勇者も消息がイマイチ掴めていないのだが。

「とんだ誤算でしたわ!転移の祠の番が、あのバカオーレだったなんて!!!!!」
 ライスはそう言いながら、握りこぶしを震わせつつ憤慨する。本来、ライスは叔父であるエクレール・ブレッドソンが消息を絶った瀬戌市の苔桃台へ行く予定だったのだが、祠の番をしていたのが精霊のハニーではなく、その夫のオーレで、彼はクシャミの勢いで転移先の座標を、瀬戌市から北の方角へズラしてしまい、ライスはスイーツ界から、人間界のどこかわからない山の中へとすっ飛ばされてしまったのである。目印になるものと言えば、ライスのいる場所よりも遙かに高い位置にある門に掲げられている赤と青を基調とした旗…勇者モンブランが遺した文献で見たことがある。確か、「ユニオンジャック」と呼ばれるイギリスという国の旗だ。

「ガサッ…」

 人の気配のない山の中、ライスは何かが近づく気配を感じ、物音がする方角へ身体ごと向けると、そこにいたのはライスと同じ顔立ちで、身なりの良い少女だった。その少女が着ている紫色のワンピースは、所々に血がついており、少女の妙に落ち着いたような表情に、ライスは思わず背筋を凍り付かせる。


 ………



「えぇー、内部進学希望の者は、来週月曜日までにこの進学希望用紙に進学希望学科を記入の上、私の方へ提出するように!」
 ホームルームの際に配布された進学希望用紙を見ながら、一悟いちごは不機嫌な表情を浮かべる。元々スポーツ推薦でサン・ジェルマン学園に入学した一悟ではあるが、高等部の学科に対しての指定はなく、一悟自身に委ねられている。当初の一悟は高等部2年から文系クラス、理系クラスが選べる普通科を希望していたが…

「彼女持ちが偉そうに一華いちか様の真似すんなー!!!」

 姉からの理不尽な一言に、一悟は普通科以外な学科も検討しようとするが、みるくの希望学科で尚且つ、ネロやマリア、友菓ともかのいる国際科は海外長期滞在経験がない生徒の場合、来年の12月までにTOEICトーイックのスコアが500以上が進学条件で、一応TOEICのスコアは取得しているものの、英語のケアレスミスが多い一悟のスコアは365という資格にすらならないレベルで、今の段階では厳しい所である。かといって、ボネとここながいる情報処理科は中等部3年間の数学の成績で内部進学の合否が決まるため、不可。通信課程ではあるが、明日香あすかがいる医療福祉科も数学と理科の成績が左右されるため、不可…どこへ行くにも、一悟にとっては厳しい状況である。
「こうなったら、またTOEIC受けよっかなぁ…そうすりゃ姉ちゃんも…」
「いちごんも国際科なら、僕も…」
「一華の言う事、真に受けてんじゃねぇよ!!!雪斗ゆきとも便乗すんなっ!」
「一悟の進路は一悟の進路だっぺ!!!ごじゃっぺの言いなりは、一悟のためにならねーべ!」
 ぼやく一悟と、それに乗りかかろうとする雪斗に対して、涼也りょうやとトロールが一蹴する。
「そういう涼ちゃんは?」
「医療福祉科!ばあちゃんの事もあってさ…俺、実は医学部の大学を希望してんだ。だから、医学部進学のカリキュラムがある医療福祉学科に行こうと思って…ところで、みるくは?」
「選挙管理委員会の集まり。立候補者が揃ったみてぇで、明日の朝貼り出す候補者名簿の準備をするから遅くなるって。」

 もうすぐ、サン・ジェルマン学園は中等部、高等部共に年に一度の生徒会選挙が始まる。みるくはこの度選挙管理委員会に入ることになり、その選挙管理委員長は瑞希が務める事になっている。
「ところで、涼也のクラスは誰が立候補したんべ?」
「あずき!生徒会長直々の指名だってよ♪そっちは?」
 涼也の問いかけに、雪斗はニコニコと挙手をするが、となりの一悟は仏頂面で手を挙げる。

『俺はぜってー、生徒会になんか入んねーぞ…全力で落選したらァ…』

 一悟が今回の生徒会選挙に立候補したのは、自らの意思ではなく、雪斗の「一悟と一緒に生徒会の仕事がしたい」という独りよがりの推薦であった。それだけなら、「まぁ仕方ない」で済むのだが、一悟が「全力で落選したい」と願う事には理由があった。姉の一華である。一華は普段から一悟を顎でこき使っていながら、一悟が空手や「太鼓の玄人たいこのくろうど」の全国大会で好成績を記録したり、学校内で成果を上げると、すぐに自分の手柄の様に一華が自慢をし始めるのである。特に、マジパティである事がバレて以降は、逆らおうとすれば「新聞部と放送部にバラす」と半ば脅しを受けているのである。勿論、涼也もその事を知っており、自分が居候中にどうにか一華のその行いをやめさせたいと思っているが、なかなかうまくいかないようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...