10 / 48
第10話:旦那様とお出掛け
しおりを挟む
保胤の言葉の意味が分からず、一葉は呆気にとられる。
「着物を脱いでください」
「え……? あ……あの……」
「ご自分で脱げないなら手伝いましょうか?」
保胤は椅子から立ち上がり一葉に手を伸ばす。一葉は後ずさりをしてその手から逃れる。
「どうしました?」
「そ、それは私の台詞です!! どうして急に……!!」
ずりずりと後ろに下がるが、保胤もゆっくりと追いかけてくる。覆面をしたままで目だけの表情しか分からない。無機質なものが近づいてくるようで一葉は怖くて堪らなくなった。
あまりにも突然のことに頭は追いつかない。服を脱げだなんて、何故急にそんなことを言い出したのか。
「どうしてって……僕たち夫婦ですよね?」
「せせせ正式にはまだ婚姻関係にありません……!! こんなこと未婚の内に出来かねます……!!」
保胤が意図していることに気付き、必死で一葉は抵抗する。
分かっている。いつかは彼を受け入れなければならないことぐらい。
諜報員として色指南は受けたことがなかったが、結婚するということはいずれは夫婦の営みにも応じなければならないことぐらい分かっている。だが、あまりにも突然のことで心が追いつかない。
「保胤様……あの……あっ!」
後ろ足で逃げるとドンッと壁にぶつかった。もう逃げ場はない。目の前の保胤は歩みを止めない。
「いや……ッ! お願いです……どうか……どうか……結婚するまではお待ちください……正式にあなたの妻になったら何でも言うことを聞きますから……!」
壁づたいにずるずると身体を滑らせながら座り落ちる。一葉は土下座をして保胤に懇願した。
「あっ……!」
保胤は中腰でかがむと一葉の顎をぐいと持ち上げた。一葉の顔は泣いていた。
「何でもって言いました?」
涙を流す一葉の顔を見ても全く意に介さない様子で問い、その瞳は一葉を射貫くように見つめる。怖いのに、顔を固定されて目をそらすことが出来ない。
「あらら。泣いちゃって……可哀そうだな」
“可哀そうだな”なんて言葉とは対照的に悪びれる様子もなく、むしろどこかのんびりとした保胤の声色に一葉はますます怯えた。恐怖で意味のある言葉を発することが出来なくなっていた。さっきまでの穏やかな雰囲気とは全く異なり、目の前の男の得体の知れなさに身がすくむ。
一体どうしてこんなことになってしまったのだろう。
さっきの自分の言葉で怒らせてしまったのだろうか。
一葉は自分の言動を後悔した。
保胤が顔を近づけてきた。反射的に目をつぶると、ぬるりとした生暖かい温度と粘度を感じた。保胤はマスクを外し、舌を伸ばして一葉の頬に流れる涙を舐め取った。一葉は小さな悲鳴を上げた。
「いいでしょう。婚姻の儀式は来週……ああ、もう日付が変わったからもう今週か。あなたが正式に私の妻となってからにしましょうか。楽しみにしています」
嬉しそうにそう言うと、保胤は一葉から離れる。テーブルに置いた椀と箸を持ち、台所の流しに置いた。
「ごちそうさまでした」
そういって、保胤は2階の自室へと向かった。一葉は震える身体を自分で抱きしめるように抱え、しばらく食堂から動けずにいた。
*
*
*
*
小鳥のさえずりと部屋に降り注ぐ太陽の眩しさに一葉は呻き声を上げた。
(あぁ……日当たりの良い部屋って慣れないわ……)
朝日にやられた目をシパシパと瞬きして、のそりとベッドから上半身を起こす。喜多治家の窓のない物置小屋に慣れた身体には爽やかな朝の風景はやや毒だ。ましてや昨夜のショックをまだ引きずっている。光を浴びて宙を舞う埃のように塵となって消えてしまいたい。止めどなく沸き起こる現実逃避から目を覚ませと自分を鼓舞するように一葉は両手でぺちぺちと頬を叩いた。
「三上さん、おはようございます!」
「一葉様、おはようございます」
一葉は一階に下りて台所に立つ三上に元気よく挨拶をした。つい10分前まで寝不足で土のようなくすんだ顔もハツラツとした笑顔に変わっていた。諜報員たるもの、顔色ぐらいいくらでも変えられるのだ。
手を洗い、喜多治家から持ってきた白いエプロンを身に着ける。朝食の準備を始めている三上の手伝いをしようと、彼女の横に立って仕事を探した。
「昨夜はお眠りになられましたか?」
茄子を切りながら三上は一葉に尋ねた。
「はい。おかげさまで」
当たり前のように嘘をついた。本当はほとんど眠れなかった。ようやく眠りについたと思ったら鳥のさえずりが聞こえて来たぐらいだ。
「私、お米洗いますね!」
話題を変えようと一葉はテキパキと働き始めた。
「ありがとうございます。本当に一葉様はよくお働きになりますねぇ……ご実家でもお料理をなさっていたのですか?」
「はい。子どものころ、お米を研ぐのは私の役目でした」
今度は本当だ。母と父と暮らしていた時の話だが。子どもの頃、食事の支度をする母の傍にいて手伝いをするのが好きだった。
(そうよ……この任務が終わったらまた三人で暮らせるようになるんじゃない……そのためだったら何だって耐えられるわ……)
冷たい水で米を丁寧に研いでいく内に頭が冴えていった。昨夜の保胤とのことを頭から消去するかのように一心不乱に手を動かす。
「着物を脱いでください」
「え……? あ……あの……」
「ご自分で脱げないなら手伝いましょうか?」
保胤は椅子から立ち上がり一葉に手を伸ばす。一葉は後ずさりをしてその手から逃れる。
「どうしました?」
「そ、それは私の台詞です!! どうして急に……!!」
ずりずりと後ろに下がるが、保胤もゆっくりと追いかけてくる。覆面をしたままで目だけの表情しか分からない。無機質なものが近づいてくるようで一葉は怖くて堪らなくなった。
あまりにも突然のことに頭は追いつかない。服を脱げだなんて、何故急にそんなことを言い出したのか。
「どうしてって……僕たち夫婦ですよね?」
「せせせ正式にはまだ婚姻関係にありません……!! こんなこと未婚の内に出来かねます……!!」
保胤が意図していることに気付き、必死で一葉は抵抗する。
分かっている。いつかは彼を受け入れなければならないことぐらい。
諜報員として色指南は受けたことがなかったが、結婚するということはいずれは夫婦の営みにも応じなければならないことぐらい分かっている。だが、あまりにも突然のことで心が追いつかない。
「保胤様……あの……あっ!」
後ろ足で逃げるとドンッと壁にぶつかった。もう逃げ場はない。目の前の保胤は歩みを止めない。
「いや……ッ! お願いです……どうか……どうか……結婚するまではお待ちください……正式にあなたの妻になったら何でも言うことを聞きますから……!」
壁づたいにずるずると身体を滑らせながら座り落ちる。一葉は土下座をして保胤に懇願した。
「あっ……!」
保胤は中腰でかがむと一葉の顎をぐいと持ち上げた。一葉の顔は泣いていた。
「何でもって言いました?」
涙を流す一葉の顔を見ても全く意に介さない様子で問い、その瞳は一葉を射貫くように見つめる。怖いのに、顔を固定されて目をそらすことが出来ない。
「あらら。泣いちゃって……可哀そうだな」
“可哀そうだな”なんて言葉とは対照的に悪びれる様子もなく、むしろどこかのんびりとした保胤の声色に一葉はますます怯えた。恐怖で意味のある言葉を発することが出来なくなっていた。さっきまでの穏やかな雰囲気とは全く異なり、目の前の男の得体の知れなさに身がすくむ。
一体どうしてこんなことになってしまったのだろう。
さっきの自分の言葉で怒らせてしまったのだろうか。
一葉は自分の言動を後悔した。
保胤が顔を近づけてきた。反射的に目をつぶると、ぬるりとした生暖かい温度と粘度を感じた。保胤はマスクを外し、舌を伸ばして一葉の頬に流れる涙を舐め取った。一葉は小さな悲鳴を上げた。
「いいでしょう。婚姻の儀式は来週……ああ、もう日付が変わったからもう今週か。あなたが正式に私の妻となってからにしましょうか。楽しみにしています」
嬉しそうにそう言うと、保胤は一葉から離れる。テーブルに置いた椀と箸を持ち、台所の流しに置いた。
「ごちそうさまでした」
そういって、保胤は2階の自室へと向かった。一葉は震える身体を自分で抱きしめるように抱え、しばらく食堂から動けずにいた。
*
*
*
*
小鳥のさえずりと部屋に降り注ぐ太陽の眩しさに一葉は呻き声を上げた。
(あぁ……日当たりの良い部屋って慣れないわ……)
朝日にやられた目をシパシパと瞬きして、のそりとベッドから上半身を起こす。喜多治家の窓のない物置小屋に慣れた身体には爽やかな朝の風景はやや毒だ。ましてや昨夜のショックをまだ引きずっている。光を浴びて宙を舞う埃のように塵となって消えてしまいたい。止めどなく沸き起こる現実逃避から目を覚ませと自分を鼓舞するように一葉は両手でぺちぺちと頬を叩いた。
「三上さん、おはようございます!」
「一葉様、おはようございます」
一葉は一階に下りて台所に立つ三上に元気よく挨拶をした。つい10分前まで寝不足で土のようなくすんだ顔もハツラツとした笑顔に変わっていた。諜報員たるもの、顔色ぐらいいくらでも変えられるのだ。
手を洗い、喜多治家から持ってきた白いエプロンを身に着ける。朝食の準備を始めている三上の手伝いをしようと、彼女の横に立って仕事を探した。
「昨夜はお眠りになられましたか?」
茄子を切りながら三上は一葉に尋ねた。
「はい。おかげさまで」
当たり前のように嘘をついた。本当はほとんど眠れなかった。ようやく眠りについたと思ったら鳥のさえずりが聞こえて来たぐらいだ。
「私、お米洗いますね!」
話題を変えようと一葉はテキパキと働き始めた。
「ありがとうございます。本当に一葉様はよくお働きになりますねぇ……ご実家でもお料理をなさっていたのですか?」
「はい。子どものころ、お米を研ぐのは私の役目でした」
今度は本当だ。母と父と暮らしていた時の話だが。子どもの頃、食事の支度をする母の傍にいて手伝いをするのが好きだった。
(そうよ……この任務が終わったらまた三人で暮らせるようになるんじゃない……そのためだったら何だって耐えられるわ……)
冷たい水で米を丁寧に研いでいく内に頭が冴えていった。昨夜の保胤とのことを頭から消去するかのように一心不乱に手を動かす。
0
あなたにおすすめの小説
ふしあわせに、殿下
古酒らずり
恋愛
帝国に祖国を滅ぼされた王女アウローラには、恋人以上で夫未満の不埒な相手がいる。
最強騎士にして魔性の美丈夫である、帝国皇子ヴァルフリード。
どう考えても女泣かせの男は、なぜかアウローラを強く正妻に迎えたがっている。だが、将来の皇太子妃なんて迷惑である。
そんな折、帝国から奇妙な挑戦状が届く。
──推理ゲームに勝てば、滅ぼされた祖国が返還される。
ついでに、ヴァルフリード皇子を皇太子の座から引きずり下ろせるらしい。皇太子妃をやめるなら、まず皇太子からやめさせる、ということだろうか?
ならば話は簡単。
くたばれ皇子。ゲームに勝利いたしましょう。
※カクヨムにも掲載しています。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる