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第11話
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「そうだ! 今日は旦那様が一葉様の必要なものを買いに行こうとおっしゃっていましたよ!」
「ぅえっ!?」
思いがけない三上の言葉に一葉は思わず変な声を出した。
「あの、でも、すでにお部屋に十分必要なものは揃えていただいておりますよ……?」
とんでもない!と三上は首を振った。
「鏡台や箪笥は好みがあるだろうからと、まだご用意していないんです。旦那様は一葉様がいらっしゃってから一緒に買いに行くおつもりだったんです。今日はそのためにお休みをとられたそうですよ」
ニコニコと笑顔を教えてくれる三上に、さようでございますかぁ……と一葉は間抜けな声で返事をした。
再び米に目線を落とす。米を研ぐ水の冷たさが時差になって伝わってきた。手がかじかむ。身体が強張る。
一緒に出掛けるの……? マジで……?
昨日の今日あんなことあった相手と?
「おはようございます」
「保胤様、おはようございます」
朝食の準備を始めてから一時間ほど経った頃、保胤が食堂へと入ってきた。席に座ると一葉が炊き立ての白米と味噌汁の乗せたお盆を持って近づいた。
「……お、おはようございます」
「おはようございます、一葉さん」
保胤はまるで何もなかったかのように目だけニコリと微笑む。
(朝からその覆面つけるんだ……)
昨日と同じように保胤は顔にいつもの黒い覆面をつけていた。
「今朝は茄子と揚げですか。いいですね、僕の大好物です」
保胤の前に茶碗と味噌汁の椀を置くと、一葉はそそくさとその傍から離れた。
「おや? 一葉さんの分は?」
一葉を呼び止める。
「あ……ええと、私は後でいただきます」
「あら? どうかなさったんですか?」
三上が心配そうに台所から出てきた。
「も、もしかしたら風邪をひいたのかもしれません……私のことは気にせずどうぞ召し上がってください」
昨日の夜、俯いて味噌汁をすする保胤の姿を見て一緒に食べていいものか悩んだのもあるが、食欲があまりなかった。
「あの、ほんと、私のことはどうかお気になさらずに! 少し部屋で休んできますね!」
*
*
*
*
自室に戻ると一葉はベッドにばたんと倒れこんだ。
「はあ……朝から疲れた~」
今日の買い物は止めにさせてもらおう。さすがに昨日あんなことがあった相手と一緒に買い物にいく気にはどうしてもなれない。
「……そんなこと言ってられないんだけどさ」
一葉は保胤の顔を思い浮かべる。確かに奇妙な風貌をしているが、不思議とそのことは気に留めなかった。ただ、昨夜の彼の行動を心の底から恐怖を感じた。
一葉は自分の頬に触れる。保胤の舌の感触を思い出して身体が震えた。
誰とも男女の関係になったことがない一葉にとって、昨夜の保胤の行為はあまりにも衝撃的だった。無理やり喜多治家の養子にされたが、慶一郎は一葉に身体を売るような仕事はさせなかった。優しさからではない。そうなったら良家の嫁に出す価値がなくなるからだ。
「もうすぐあれ以上のことをしなきゃいけないのよね……」
任務とはいえ自分に出来るだろうか。頬を舐められただけで身体がすくんで動かなかったのに。
「これなら逆に色恋指南受けといた方が良かったのかなぁ~ぶっつけ本番の方が不安すぎる~!」
ベッドの上でジタジタと暴れる。
「一葉さん」
突然ノックの音と共に保胤の声が聞こえてきた。慌てて身体を起こす。
(やばい、聞かれてた!?)
扉の向こうに人がいるとは知らず盛大な独り言をしてしまった。飛び起きて返事をする。
「は、はい!」
「三上さんがうどんを作ってくれました。ここに置いておきますから食べられそうでしたら召し上がってください」
「あ……すみません……ありがとうございます」
「それと、昨日は申し訳なかった」
突然の謝罪の言葉に一葉はドキリとした。
「性急過ぎました。僕のような男にあんなことをされて気味が悪かったでしょう。怖がらせてしまい申し訳ありません」
「あ……」
「今日一緒にあなたの嫁入り道具を買いに出掛ける予定でしたが、やめておきましょう。体調が優れないのも心配だが、僕と一緒に出歩くのは嫌でしょう。一葉さんのご都合の良い時に行かれてください。車はすぐに手配します」
「……」
「食事も、僕と一緒が嫌なのなら別々でもかまいません。だけど、何か召し上がってください。心配です」
「え、あ、あの」
ぎしりと床を踏む音が聞こえた。保胤が扉の前から離れようとしたのが分かった。一葉はベッドから降りて扉に向かって走る。
「あの……っ!」
扉を開けると、廊下を歩く保胤の後ろ姿が見えた。一葉に気付き振り返る。
「昨夜はその……ちょっと……びっくりしただけです……突然、服を脱げだなんて……」
「すみません」
保胤は向き直り深く頭を下げた。
「買い物は……折角ですから一緒に。保胤様がお休みをとってくださったと三上さんから伺いましたし」
困惑しながらも予定通り一緒に出掛けようと保胤を誘う。任務を遂行しなければならないというのも理由だったが、決してそれだけではなかった。殊勝な態度を見せる保胤が気の毒に思えたからだ。
「本当ですか?」
保胤には一葉の方に近づくと目元だけでも分かるほど、ぱあぁっと表情を明るくした。
(変わった方だけど……案外素直な一面もあるのね)
言動に戸惑うことは多いが、一葉は保胤の良さにも触れた気がした。
「僕は書斎にいますので準備が整ったらいつでも声を掛けてください」
「わ、分かりました……」
「はい、おうどん」
「あ、ありがとうございます……いただきます」
保胤はうどんの丼の乗ったお盆を持ち上げて一葉に渡す。温かくいい香りの湯気がふわりと二人の間に立ちのぼった。
「ぅえっ!?」
思いがけない三上の言葉に一葉は思わず変な声を出した。
「あの、でも、すでにお部屋に十分必要なものは揃えていただいておりますよ……?」
とんでもない!と三上は首を振った。
「鏡台や箪笥は好みがあるだろうからと、まだご用意していないんです。旦那様は一葉様がいらっしゃってから一緒に買いに行くおつもりだったんです。今日はそのためにお休みをとられたそうですよ」
ニコニコと笑顔を教えてくれる三上に、さようでございますかぁ……と一葉は間抜けな声で返事をした。
再び米に目線を落とす。米を研ぐ水の冷たさが時差になって伝わってきた。手がかじかむ。身体が強張る。
一緒に出掛けるの……? マジで……?
昨日の今日あんなことあった相手と?
「おはようございます」
「保胤様、おはようございます」
朝食の準備を始めてから一時間ほど経った頃、保胤が食堂へと入ってきた。席に座ると一葉が炊き立ての白米と味噌汁の乗せたお盆を持って近づいた。
「……お、おはようございます」
「おはようございます、一葉さん」
保胤はまるで何もなかったかのように目だけニコリと微笑む。
(朝からその覆面つけるんだ……)
昨日と同じように保胤は顔にいつもの黒い覆面をつけていた。
「今朝は茄子と揚げですか。いいですね、僕の大好物です」
保胤の前に茶碗と味噌汁の椀を置くと、一葉はそそくさとその傍から離れた。
「おや? 一葉さんの分は?」
一葉を呼び止める。
「あ……ええと、私は後でいただきます」
「あら? どうかなさったんですか?」
三上が心配そうに台所から出てきた。
「も、もしかしたら風邪をひいたのかもしれません……私のことは気にせずどうぞ召し上がってください」
昨日の夜、俯いて味噌汁をすする保胤の姿を見て一緒に食べていいものか悩んだのもあるが、食欲があまりなかった。
「あの、ほんと、私のことはどうかお気になさらずに! 少し部屋で休んできますね!」
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自室に戻ると一葉はベッドにばたんと倒れこんだ。
「はあ……朝から疲れた~」
今日の買い物は止めにさせてもらおう。さすがに昨日あんなことがあった相手と一緒に買い物にいく気にはどうしてもなれない。
「……そんなこと言ってられないんだけどさ」
一葉は保胤の顔を思い浮かべる。確かに奇妙な風貌をしているが、不思議とそのことは気に留めなかった。ただ、昨夜の彼の行動を心の底から恐怖を感じた。
一葉は自分の頬に触れる。保胤の舌の感触を思い出して身体が震えた。
誰とも男女の関係になったことがない一葉にとって、昨夜の保胤の行為はあまりにも衝撃的だった。無理やり喜多治家の養子にされたが、慶一郎は一葉に身体を売るような仕事はさせなかった。優しさからではない。そうなったら良家の嫁に出す価値がなくなるからだ。
「もうすぐあれ以上のことをしなきゃいけないのよね……」
任務とはいえ自分に出来るだろうか。頬を舐められただけで身体がすくんで動かなかったのに。
「これなら逆に色恋指南受けといた方が良かったのかなぁ~ぶっつけ本番の方が不安すぎる~!」
ベッドの上でジタジタと暴れる。
「一葉さん」
突然ノックの音と共に保胤の声が聞こえてきた。慌てて身体を起こす。
(やばい、聞かれてた!?)
扉の向こうに人がいるとは知らず盛大な独り言をしてしまった。飛び起きて返事をする。
「は、はい!」
「三上さんがうどんを作ってくれました。ここに置いておきますから食べられそうでしたら召し上がってください」
「あ……すみません……ありがとうございます」
「それと、昨日は申し訳なかった」
突然の謝罪の言葉に一葉はドキリとした。
「性急過ぎました。僕のような男にあんなことをされて気味が悪かったでしょう。怖がらせてしまい申し訳ありません」
「あ……」
「今日一緒にあなたの嫁入り道具を買いに出掛ける予定でしたが、やめておきましょう。体調が優れないのも心配だが、僕と一緒に出歩くのは嫌でしょう。一葉さんのご都合の良い時に行かれてください。車はすぐに手配します」
「……」
「食事も、僕と一緒が嫌なのなら別々でもかまいません。だけど、何か召し上がってください。心配です」
「え、あ、あの」
ぎしりと床を踏む音が聞こえた。保胤が扉の前から離れようとしたのが分かった。一葉はベッドから降りて扉に向かって走る。
「あの……っ!」
扉を開けると、廊下を歩く保胤の後ろ姿が見えた。一葉に気付き振り返る。
「昨夜はその……ちょっと……びっくりしただけです……突然、服を脱げだなんて……」
「すみません」
保胤は向き直り深く頭を下げた。
「買い物は……折角ですから一緒に。保胤様がお休みをとってくださったと三上さんから伺いましたし」
困惑しながらも予定通り一緒に出掛けようと保胤を誘う。任務を遂行しなければならないというのも理由だったが、決してそれだけではなかった。殊勝な態度を見せる保胤が気の毒に思えたからだ。
「本当ですか?」
保胤には一葉の方に近づくと目元だけでも分かるほど、ぱあぁっと表情を明るくした。
(変わった方だけど……案外素直な一面もあるのね)
言動に戸惑うことは多いが、一葉は保胤の良さにも触れた気がした。
「僕は書斎にいますので準備が整ったらいつでも声を掛けてください」
「わ、分かりました……」
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