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第一章 運命の瞬間
1 最低なクリスマス・イブ!
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「おねぇちゃんって、本当ダサい」
大勢の友人達の前で、大勢の同僚の前で、妹は笑いながら私の婚約者の腕に自分の腕を絡ませながら笑う。あの人を見下した笑い。何度も私を馬鹿にしてきた時にする、大っ嫌いな笑い。
クリスマス・イブ。私と彼は同じ会社で違う部署だ。彼とは入社式で隣の席になり、そこから色々話をし始めたら止まらなかった。会話のテンポも、話題も、興味もお互いに良く合っていた。恋愛に発展するにはそう時間が掛からなかった。
そして九月。付き合って四年の記念日にプロポーズされた。綺麗なダイヤの指輪を渡されて、少し恥ずかしそうに緊張した表情をしながら夜のレストラン。
なのに。
「女性として物足りないんだって。おねぇちゃんって本当に色気がない仕事人間よね。私の方が健司に似合うんだから、身を引いてよ。縋り付くなんてみっともない真似、しないよね?」
明るい茶髪のショートヘアの毛先を一房指先で捻じりながら彼女は笑う。
健司に視線を送ると彼は僅かに視線を反らし、居心地悪そうにぶっきらぼうに言う。
「指輪は返さないでいい。式場は俺がキャンセルしておく」
「……本気?」
「あぁ。由香ちゃんと、真剣に付き合うつもりだ」
――――あぁ……何回聞いたのだろう、このセリフは。何回心を傷つけられたのだろう。
「……分かった。お願いします」
健司がやっと私の方へ視線を動かす。あまりにもあっさりしていたからだろうか。毎日のように式や新婚旅行について楽しく話していたのに、あっさりと。
「……ケイ、ごめん」
「おねぇちゃん、泣きたかったら泣いてもいいのよ? まぁ、それを慰めてくれる男がいないけれどね」
彼女は耳障りな声でケタケタ笑う。
私はふんわりと微笑んで健司に握手するように手を差し出す。
「今までありがとうね」
彼は少し困惑したように伸ばされた私の手を取る。
バシャッ
「えっ、ちょっと⁉ 何しているのよ⁉」
気付いたら私は彼の手を引いて反対の手に持っていたシャンパンを彼の顔に思いっきり掛けていた。
――――ふざけんな!
「そんな簡単に許すとでも思ったの? 由香、あなたにも後日内容証明を送るわ。結婚破棄の原因なのだから、今回はしっかりと償って貰うわ。今までのような遊びじゃなかったんだから。自分の行動に責任取りなさい」
「ケイ――――」
「浮気するような男は、いらない」
好奇心の視線に晒されても、私は逃げたりしないで彼らとしっかり対峙する。
「血が繋がっているからって、毎回私の彼氏を寝取って勝ち誇った気分になっている淫乱な妹なんかも、もう知らない」
空になったシャンパンのグラスを横にあるテーブルに置く。もう一杯注がれているのを手に持って再び彼と彼女にシャンパンをぶっかける。
「ちょっ……! 最悪! ふざけないでよ!」
「ふざけているのはあなた達でしょう⁉︎ パーティと言っても仮にも会社の場。それをこんな茶番を用意してまで私を辱めようとしていて、ダサい」
「ケイ――――」
「そんな事よりシャンパン――――」
「義理の妹になる女に誘われてすぐにホテルに行くような男は黙って。すぐに姉の男に股開くような女も黙れ」
健司は唖然とした表情で私を見る。由香は顔を真っ赤にして怒っている。
大勢の友人達の前で、大勢の同僚の前で、妹は笑いながら私の婚約者の腕に自分の腕を絡ませながら笑う。あの人を見下した笑い。何度も私を馬鹿にしてきた時にする、大っ嫌いな笑い。
クリスマス・イブ。私と彼は同じ会社で違う部署だ。彼とは入社式で隣の席になり、そこから色々話をし始めたら止まらなかった。会話のテンポも、話題も、興味もお互いに良く合っていた。恋愛に発展するにはそう時間が掛からなかった。
そして九月。付き合って四年の記念日にプロポーズされた。綺麗なダイヤの指輪を渡されて、少し恥ずかしそうに緊張した表情をしながら夜のレストラン。
なのに。
「女性として物足りないんだって。おねぇちゃんって本当に色気がない仕事人間よね。私の方が健司に似合うんだから、身を引いてよ。縋り付くなんてみっともない真似、しないよね?」
明るい茶髪のショートヘアの毛先を一房指先で捻じりながら彼女は笑う。
健司に視線を送ると彼は僅かに視線を反らし、居心地悪そうにぶっきらぼうに言う。
「指輪は返さないでいい。式場は俺がキャンセルしておく」
「……本気?」
「あぁ。由香ちゃんと、真剣に付き合うつもりだ」
――――あぁ……何回聞いたのだろう、このセリフは。何回心を傷つけられたのだろう。
「……分かった。お願いします」
健司がやっと私の方へ視線を動かす。あまりにもあっさりしていたからだろうか。毎日のように式や新婚旅行について楽しく話していたのに、あっさりと。
「……ケイ、ごめん」
「おねぇちゃん、泣きたかったら泣いてもいいのよ? まぁ、それを慰めてくれる男がいないけれどね」
彼女は耳障りな声でケタケタ笑う。
私はふんわりと微笑んで健司に握手するように手を差し出す。
「今までありがとうね」
彼は少し困惑したように伸ばされた私の手を取る。
バシャッ
「えっ、ちょっと⁉ 何しているのよ⁉」
気付いたら私は彼の手を引いて反対の手に持っていたシャンパンを彼の顔に思いっきり掛けていた。
――――ふざけんな!
「そんな簡単に許すとでも思ったの? 由香、あなたにも後日内容証明を送るわ。結婚破棄の原因なのだから、今回はしっかりと償って貰うわ。今までのような遊びじゃなかったんだから。自分の行動に責任取りなさい」
「ケイ――――」
「浮気するような男は、いらない」
好奇心の視線に晒されても、私は逃げたりしないで彼らとしっかり対峙する。
「血が繋がっているからって、毎回私の彼氏を寝取って勝ち誇った気分になっている淫乱な妹なんかも、もう知らない」
空になったシャンパンのグラスを横にあるテーブルに置く。もう一杯注がれているのを手に持って再び彼と彼女にシャンパンをぶっかける。
「ちょっ……! 最悪! ふざけないでよ!」
「ふざけているのはあなた達でしょう⁉︎ パーティと言っても仮にも会社の場。それをこんな茶番を用意してまで私を辱めようとしていて、ダサい」
「ケイ――――」
「そんな事よりシャンパン――――」
「義理の妹になる女に誘われてすぐにホテルに行くような男は黙って。すぐに姉の男に股開くような女も黙れ」
健司は唖然とした表情で私を見る。由香は顔を真っ赤にして怒っている。
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