(R18完結)星屑の申し子

如月紫苑

文字の大きさ
2 / 60
第一章 運命の瞬間

2 黄金のシャンパンって最高!

しおりを挟む
 テーブルに空のグラスを置き、更にもう一つ手に取る。
「えっ、ちょっと、恵子! 怒っているのは分かるけど、もう止めた方が……!」
 同僚の女の子が私を止めるように腕に触れる。
「大丈夫よ。でもこれ以上こんな奴等の茶番に付き合うつもりはないわ」
 最後のシャンパンをびしょ濡れの二人に掲げて上げる。
「お似合いの二人に、メリークリスマス」
 シャンパンをグイっと一気に飲み干すと私は心配そうに見ている隣の同僚に微笑む。
「そういう事ですので、私は少し早めに帰りますね」
 大勢の視線を背中に感じながら私はエレベーターに向かう。
 
――――最悪……
 
 エレベーターで部署のフロアによって荷物を持ち、トイレに寄る。個室のドアを閉めて蓋を閉じた便器の上に腰掛ける。
『ずっと俺の横にいて欲しい。俺の、心の拠り所になってくれないか?』健司からのプロポーズだった。
 
――――ずっとって、三ヶ月って事なの⁉︎ あんなにどこに住もうかとか、子供何人とか、これからの計画をずっと話していたのは噓だったの⁉︎ 私との本気って、その程度だったの⁉︎
 
 涙が流れる。
 溢れ出て頬を伝い、今夜のパーティーの為に少し背伸びして買ったブラックフォーマルのワンピースに滴る。綺麗なブラックレースが散りばめられたマーメイドドレスで、披露宴にも着る予定で買った。
「滑稽よね……こんなに着飾っても、自分の男ですら私から興味失うなんて」
 少し視線が揺れる。普段呑まないのに、一気にシャンパンを飲み干したからだろうか。
 目を閉じて溜息を吐く。
 
――――私は……誰からも愛される価値ないの?
 
 気付いたら涙を流しながら寝ていた。




  
    ◇ 
――――あ、首痛い
 
 寝違えたみたいで首を擦りながら目を覚ます。細い鎖に付いたダイヤのペンダントトップが指先に絡む。
「え?」
 周りは真っ暗だ。
 異様に静まり返った空間で私は慌ててバッグを探り寄せ、携帯を点ける
 慌てて立ち上がり、トイレから出る。非常階段の標識が光っている以外は全くの無人で真っ暗になっている。携帯ではもうすでに夜中の二時を回っている。ちらっと見えた着信四十九件は無視をする。
 建物のロビーに行くと鍵が掛かっている。その鍵は確か部長が持っている筈なんだけど、今日はクリスマスで日曜日。
「え、本当に最悪なんだけど。婚約者を妹に寝取られて、皆の前で醜態を曝して、酔っぱらってトイレで寝こけて、クリスマスは会社のビルに閉じ込められたなんて……ギャグ? え、本当に……最悪」
 折角止まっていた涙がまた流れる。私はさっきのトイレに戻って顔を軽く洗う。ぐちゃぐちゃになったマスカラやファンデーションを洗い流して顔をごしごしと結構激しく擦る。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

巨×巨LOVE STORY

狭山雪菜
恋愛
白川藍子は、他の女の子よりも大きな胸をしていた。ある時、好きだと思っていた男友達から、実は小さい胸が好きと言われ…… こちらの作品は、「小説家になろう」でも掲載しております。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

冷酷な王の過剰な純愛

魚谷
恋愛
ハイメイン王国の若き王、ジクムントを想いつつも、 離れた場所で生活をしている貴族の令嬢・マリア。 マリアはかつてジクムントの王子時代に仕えていたのだった。 そこへ王都から使者がやってくる。 使者はマリアに、再びジクムントの傍に仕えて欲しいと告げる。 王であるジクムントの心を癒やすことができるのはマリアしかいないのだと。 マリアは周囲からの薦めもあって、王都へ旅立つ。 ・エブリスタでも掲載中です ・18禁シーンについては「※」をつけます ・作家になろう、エブリスタで連載しております

妻が通う邸の中に

月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。

処理中です...