(R18完結)星屑の申し子

如月紫苑

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第三章 肉体を蝕む力

36 執着と言う名の需要と供給

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    ◇◇◇
 もう星屑の衝突地には四度出向いた。
 その度に周りへと散った大量の星屑の欠片を見付け、王へと献上してきた。その度にと称して体を弄られ、犯され、そして『子を孕め』と体の奥で射精をされる。星屑以外で会話をする訳でもない。何かを一緒にする訳でもない。私の到着が早ければ夕飯を一緒にし、遅ければ彼の寝室へと通される。そしていつもの決まった一連の流れで抱かれる。
 「抱かれる」と言うのも妙だ。どちらかと言うと目的の為の手段の感覚だ。私個人に対する王の興味も興奮も感じられないのだ。
 星屑の欠片は殆ど拾えたと思う。今から衝突地へ行く五度目は欠片を残していないかの確認をすれば、もう私の役目は終わるのだろう。最も王が本気で子を産ませるつもりならば、私はもう城から出られなくなるのかもしれない。
 だが精霊はそれを実現させないだろう。あれが私の子宮に宿している間は絶対に妊娠を許可しない筈だから。
「フユウ」
 城門を出た瞬間、夕暮れの空気が肌を刺す。今日は少し強めの吹雪きだ。それでも石城の牢から解放されたというだけで、息苦しかったものが少し消えた気がした。
 城を出てからすぐに彼の名を呼び始める。いつもどれぐらい近くで待っているのか分からないが一時間以内には合流出来ている。
 今度は城に四泊しなければいけなかった。四日間閉じ込められ、王の冷たい手に弄ばれていた身体はまだじくじくとした感触を奥に残している。王に毎晩種付けをされ、寝る時は物足りなさで体の熱を持て余す。思いっきり中を弄り回され、異物がグポグポと挿入され続け、私は何度も絶頂をしてシーツまでビチャビチャに濡れる。
 それでも物足りない。
 私が欲しいのは体のみの快感ではない。
 『激しく求められたい』――――。
 体のみではなく、私個人に惹かれて欲しい。
 そしてフユウは間違いなく、私に熱烈に執着している。私が誰に抱かれても気にしていない。その代わりいつも私の側にいる。種族が違うという事にためらいは、ない。私もここの人間とは同じではないのだから。
 気配を感じて振り返る。
 雪の小山の上に竜人がしゃがんで私を見ている。少し皮膚の上を雪が積もっている。大きな体は動かない。だが視線だけは鋭く、私を真っ直ぐに射抜いている。
「……お待たせ」
 声を掛けても彼はすぐには答えない。やがてたった一言のみ発せられる。
「出てきた」
 短い言葉だが、その裏には何日も会えずに押さえ込んでいた欲望が濃く滲んでいる。
「うん、長かったわね。待ってくれてありがとう」
「……王に」
「……ええ」
「抱かれていた」
 私は一瞬目を背け、彼へと戻す。だが彼はそれを事実として淡々と述べただけで、嫉妬らしき感情は感じられない。
「気にしている?」
 彼は僅かに首を振る。
「……誰とセックスをしたかなんて、どうでもいい」
「……そう」
「ケイが生きている。側にいる。それだけで……いい」
 フユウは静かに、だが力強く言い切る。
「……本当に、それだけでいいの?」
 少し挑発するように問いかけても、彼は表情を微動だにしない。
「ああ。俺は……ずっとケイの側」
 彼の執着は心地がいい。独占や嫉妬などを含まない、私の存在自体への盲目な渇望。
 視線は獣のように欲望を秘めているのに、触れてこない。彼の自分の欲望を抑制する精神力に、逆に興奮をする。
 私は無言で歩き出し、彼は無言で横を歩く。沈む夕陽で二人の影は長く伸び、一つに重なった。
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