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第三章 肉体を蝕む力
44 降りかかる竜人の、血
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二人共それなりに綺麗に体を流すとすぐに丘に上がり着替える。日中の砂漠でもここら辺はそこまで暑くはない。夜中の寒さ程ではないが鳥肌が少し立っている。
フユウは枯れ枝を集めて焚火の準備を始める。そのよく動く彼の細身だが筋肉質な背中を見ながら何かを訊こうと口を開ける。
それは小さな閃光のような光だ。
王城の方向から物凄いスピードで光る。あまりの眩しさに瞼を瞑り、腕で目を隠す。
「……フユウ!」
何かが起こったのに、彼が無言な事に違和感を感じる。そっと視線を向けると彼の両目は開かれ、空を見上げている。
「あれ、何だったか分かる? フユウ? どうしたの?」
「……ケ……イ」
それは絞り出すような声だ。何処か痛いのかと思い、彼に走り寄る。指先が物凄く冷たい。全身細かな震えと脂汗が浮いている。
「フユウ、大丈――――」
「大丈夫?」そう訊いている最中に彼の視線が私の方へと流れてくる。
ぞわっ
いつも私を追っている視線。無言でも彼の熱を含んだ視線。
それが、冷たい。
そして獲物を前にするように瞳孔が開いている。
ジャリ
無意識に一歩下がる。
彼の喉から低い唸り声が発せられる。
そして私を捉えて離さない氷のような目。この視線はフユウの視線ではない。どちらかと言うと――――。
ガァアアアアアアアアア!
「ひっ!」
地面を揺るがす程の力強い竜人の咆哮に耳を塞ぐ。
四肢を大きく広げて空に向かって吠えた竜人の頭がゆっくりと再び私へと向く。
「……フ、フユウ……?」
彼の垂れていた尻尾がゆっくりと持ち上がる。あの人身売買から私を救った戦闘時のような興奮状態を物語っている。
体が強張り、恐怖で肺から酸素が締め出されるようだ。
「……こ……んな、……獣……に、まで……」
とても気に入っている普段のフユウの透明な声とは似ても似つかない憎悪をその声に感じる。更に一歩下がるが彼がそれをすぐに詰める。
ぞわぞわぞわ
体内にいる星屑の精霊が目の前の竜人に激しく反応をしている。拒否をしている。気を付けろと、全細胞が震えている。
「……っ、……っ……!」
突然竜人は全身を引き攣らせ目を見開いたまま動かない。だが全身を小さな痙攣と震えが支配していて、目に見えない何かと争っているようだ。
――――星屑の精霊?
突然、フユウは尻尾を鞭のようにしならせると自分の顔を斬りつける。
「フユウ⁉」
無意識に走り寄ろうとした私を、彼は威嚇をして制止する。
再び自分の体を斬りつける。血飛沫が上がり肉が裂ける。それでもフユウは止めない。
斬り付ける。
斬り付ける。
私は泣きながら彼の腕を掴む。
ザシュッ
彼の尻尾がまるで鋭いナイフのように私の手の甲を切り裂く。
「いっ!」
彼の目が私を移す。ゆっくりと怪我をした私の手へと視線は流れる。
フユウは枯れ枝を集めて焚火の準備を始める。そのよく動く彼の細身だが筋肉質な背中を見ながら何かを訊こうと口を開ける。
それは小さな閃光のような光だ。
王城の方向から物凄いスピードで光る。あまりの眩しさに瞼を瞑り、腕で目を隠す。
「……フユウ!」
何かが起こったのに、彼が無言な事に違和感を感じる。そっと視線を向けると彼の両目は開かれ、空を見上げている。
「あれ、何だったか分かる? フユウ? どうしたの?」
「……ケ……イ」
それは絞り出すような声だ。何処か痛いのかと思い、彼に走り寄る。指先が物凄く冷たい。全身細かな震えと脂汗が浮いている。
「フユウ、大丈――――」
「大丈夫?」そう訊いている最中に彼の視線が私の方へと流れてくる。
ぞわっ
いつも私を追っている視線。無言でも彼の熱を含んだ視線。
それが、冷たい。
そして獲物を前にするように瞳孔が開いている。
ジャリ
無意識に一歩下がる。
彼の喉から低い唸り声が発せられる。
そして私を捉えて離さない氷のような目。この視線はフユウの視線ではない。どちらかと言うと――――。
ガァアアアアアアアアア!
「ひっ!」
地面を揺るがす程の力強い竜人の咆哮に耳を塞ぐ。
四肢を大きく広げて空に向かって吠えた竜人の頭がゆっくりと再び私へと向く。
「……フ、フユウ……?」
彼の垂れていた尻尾がゆっくりと持ち上がる。あの人身売買から私を救った戦闘時のような興奮状態を物語っている。
体が強張り、恐怖で肺から酸素が締め出されるようだ。
「……こ……んな、……獣……に、まで……」
とても気に入っている普段のフユウの透明な声とは似ても似つかない憎悪をその声に感じる。更に一歩下がるが彼がそれをすぐに詰める。
ぞわぞわぞわ
体内にいる星屑の精霊が目の前の竜人に激しく反応をしている。拒否をしている。気を付けろと、全細胞が震えている。
「……っ、……っ……!」
突然竜人は全身を引き攣らせ目を見開いたまま動かない。だが全身を小さな痙攣と震えが支配していて、目に見えない何かと争っているようだ。
――――星屑の精霊?
突然、フユウは尻尾を鞭のようにしならせると自分の顔を斬りつける。
「フユウ⁉」
無意識に走り寄ろうとした私を、彼は威嚇をして制止する。
再び自分の体を斬りつける。血飛沫が上がり肉が裂ける。それでもフユウは止めない。
斬り付ける。
斬り付ける。
私は泣きながら彼の腕を掴む。
ザシュッ
彼の尻尾がまるで鋭いナイフのように私の手の甲を切り裂く。
「いっ!」
彼の目が私を移す。ゆっくりと怪我をした私の手へと視線は流れる。
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