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第四章 星屑の勝算と誤算
51 手の甲への口付け
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部屋に入り、蝋燭の柔らかな灯りでフユウを裸でベッドに横たえる。優しく彼の体を拭きながら怪我の深さを見ていくが、恐れていたほど酷くはない。
「竜人の回復力だろ。羨ましいほど再生能力に長けているんだ」
私は彼の怪我のない皮膚に優しく触れているとフユウが目を開ける。
「……ケイ……」
「痛い?」
彼は頭を振ると尻尾がとてもそっと私の手の甲に触れる。彼の尻尾が作った傷。
「ごめんなさい」
「これはあなたがやった事じゃない。あの男が悪い。だから少しも気にしちゃダメ。少しもよ」
彼の尻尾が私の手を取ると口元へと持って行かれ、口付けをされる。手を引いて彼の顔に触れると彼がすぐさま私の頭を持って長い舌を絡めてくる。熱くざらりとした舌がねっとり私の舌をすり回る。
「……ん」
フユウの舌が興奮したようにすぐに喉奥まで入り込んできて私の唾液を絡めとる。熱い吐息がお互いの唇から漏れて混ざる。
「……大丈夫。今は、カレル。でも回復したら、俺といっぱいセックスして」
小さな囁きに彼の顔を見ると彼は珍しく少し微笑んでいる。そして、あの強く真っ直ぐで魅力的な瞳。
私をずっと近くで見てきて分かっているのだろう。力を使って体がとても火照っている事。
――――フユウの言う『いっぱい』ってどれくらいかな
何故かそれが少し気になる。
彼の尻尾が私の手に触れ、私が尻尾を撫でているとまたすぐに眠ってしまったらしい。体を癒す為と魔法の後遺症で疲労がピークに達したのだろう。
彼が完全に寝たのを確認してからまだ手に巻き付いている尻尾を解いてシーツの下に入れてあげる。
――――いい男。必ずいつも自分よりも私を優先しちゃう
「……竜人は、尻尾を触られるのを極端に嫌がるそうだ」
カレルの声に、窓横に座る彼へと顔を向ける。彼は火の消えかけた蝋燭を指先で弄びながら、深く息を吐く。
「硬質な皮膚に覆われていて戦いにも使う事はあるが、第二の心臓と言われているぐらい敏感で大事らしい。飼い主や同種が触ろうとしても本能的に攻撃されるのが普通の反応だ。……フユウはお嬢ちゃんの事を心から受け入れているんだな」
私はシャープで綺麗な竜人の顔を見ながら少し微笑む。
「私には勿体無いぐらい、本当にいい男よ」
立ち上がってカレルのテーブルまで行くと彼が私の手を握る。真っ黒に変色を遂げた指先には何も言わず、戦の疲労も緊張もあるはずなのに、彼の瞳は真っ直ぐ私を見つめる。
「異世界から召喚されたんだな。通りでこっちの世界を知らなかった訳だ。……帰りたいと思うのか?」
私は頭を振る。
「会って最後に一言言ってやりたい人はいるけれど、帰りたくはない。もうここに自分の居場所を見つけたから」
「……やっと、お嬢ちゃんとこうして話せるな」
彼が小さく呟く。普段の彼とは違う声音。戦場で荒々しく叫ぶ傭兵ではなく、愛に焦がれる一人の男の声。
「会いたかった。……触りたかった」
フユウがしたように、優しく私の手に口付ける。
「君が俺を捨ててから、ずっと心の中が空っぽなんだ。生きている楽しみがない。以前好きだった事をしてみてもつまらない。お嬢ちゃん……俺を……拒絶しないで欲しい。……俺を同じぐらい愛して欲しいとかは言わねぇ。側にいさせてくれるだけでいい。君の横にはいつもフユウがいるように、俺もいたい。彼ほどはっきりと目に見える信用を君に提示出来ない。だけどお嬢ちゃんを、ケイを、二度とがっかりはさせねぇ」
「竜人の回復力だろ。羨ましいほど再生能力に長けているんだ」
私は彼の怪我のない皮膚に優しく触れているとフユウが目を開ける。
「……ケイ……」
「痛い?」
彼は頭を振ると尻尾がとてもそっと私の手の甲に触れる。彼の尻尾が作った傷。
「ごめんなさい」
「これはあなたがやった事じゃない。あの男が悪い。だから少しも気にしちゃダメ。少しもよ」
彼の尻尾が私の手を取ると口元へと持って行かれ、口付けをされる。手を引いて彼の顔に触れると彼がすぐさま私の頭を持って長い舌を絡めてくる。熱くざらりとした舌がねっとり私の舌をすり回る。
「……ん」
フユウの舌が興奮したようにすぐに喉奥まで入り込んできて私の唾液を絡めとる。熱い吐息がお互いの唇から漏れて混ざる。
「……大丈夫。今は、カレル。でも回復したら、俺といっぱいセックスして」
小さな囁きに彼の顔を見ると彼は珍しく少し微笑んでいる。そして、あの強く真っ直ぐで魅力的な瞳。
私をずっと近くで見てきて分かっているのだろう。力を使って体がとても火照っている事。
――――フユウの言う『いっぱい』ってどれくらいかな
何故かそれが少し気になる。
彼の尻尾が私の手に触れ、私が尻尾を撫でているとまたすぐに眠ってしまったらしい。体を癒す為と魔法の後遺症で疲労がピークに達したのだろう。
彼が完全に寝たのを確認してからまだ手に巻き付いている尻尾を解いてシーツの下に入れてあげる。
――――いい男。必ずいつも自分よりも私を優先しちゃう
「……竜人は、尻尾を触られるのを極端に嫌がるそうだ」
カレルの声に、窓横に座る彼へと顔を向ける。彼は火の消えかけた蝋燭を指先で弄びながら、深く息を吐く。
「硬質な皮膚に覆われていて戦いにも使う事はあるが、第二の心臓と言われているぐらい敏感で大事らしい。飼い主や同種が触ろうとしても本能的に攻撃されるのが普通の反応だ。……フユウはお嬢ちゃんの事を心から受け入れているんだな」
私はシャープで綺麗な竜人の顔を見ながら少し微笑む。
「私には勿体無いぐらい、本当にいい男よ」
立ち上がってカレルのテーブルまで行くと彼が私の手を握る。真っ黒に変色を遂げた指先には何も言わず、戦の疲労も緊張もあるはずなのに、彼の瞳は真っ直ぐ私を見つめる。
「異世界から召喚されたんだな。通りでこっちの世界を知らなかった訳だ。……帰りたいと思うのか?」
私は頭を振る。
「会って最後に一言言ってやりたい人はいるけれど、帰りたくはない。もうここに自分の居場所を見つけたから」
「……やっと、お嬢ちゃんとこうして話せるな」
彼が小さく呟く。普段の彼とは違う声音。戦場で荒々しく叫ぶ傭兵ではなく、愛に焦がれる一人の男の声。
「会いたかった。……触りたかった」
フユウがしたように、優しく私の手に口付ける。
「君が俺を捨ててから、ずっと心の中が空っぽなんだ。生きている楽しみがない。以前好きだった事をしてみてもつまらない。お嬢ちゃん……俺を……拒絶しないで欲しい。……俺を同じぐらい愛して欲しいとかは言わねぇ。側にいさせてくれるだけでいい。君の横にはいつもフユウがいるように、俺もいたい。彼ほどはっきりと目に見える信用を君に提示出来ない。だけどお嬢ちゃんを、ケイを、二度とがっかりはさせねぇ」
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