(R18G完結)吊り橋効果、上等

如月紫苑

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※18 狂犬

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 明音の長い指が腹側を擦り上げてくる。
「う……ぁ、あ!」
 俺はすぐに口の中で果てる。明音が喉を鳴らしながらそれを嚥下する。射精してもまたすぐに欲情に飲まれそうになる。自制が利かなくなる。
「後だ」
 俺は明音の指を後ろから引っ張り出す。身体がぶるぶると痙攣をし、自然と息が荒くなる。フーッフーッと肩で息をする。明音は相変わらず充血した欲望に塗れた目付きを俺に向けてくるが大人しく腰に左腕を回して抱き付く。彼もまだ少し痙攣しているが治まりつつある。首筋で俺の匂いを吸い込んでいる。

――――あー……クソ、こいつが欲しい

「……あー、確認させてくれ」 
 明音が目で先を促す。
「お前は、この状況を、どうしたい?」
「……あんたに一番良い選択をしろ。それを、俺は手伝う」
「……」

――――エライ狂犬に懐かれたな

 明音の興奮が手に取るように分かる。俺もそれを感じているのだから。異様な興奮が止まず、この猛りを早く鎮めたくなる。

――――上等だ。俺も、お前も、同じ穴のムジナだ

「あんなので刑務所に行くの、絶対に嫌だ。お前に迷惑が掛かるのも、嫌だ」
 すぐ後ろの死体を意識する。でも極力視界には入れたくない。
「まずはこれ、どうにかしねぇと」
 目の前の明音の拳を見る。指が随分青白くなった。先ほど俺が力いっぱい掴んだ手首に赤い痕が付いている。
 俺は明音から体を離して後ろの死体に近付く。苦痛に歪んだ表情が俺を責めている。お前のせいだと責めている。なるべく顔を見ないでポケットを漁ってみる。煙草、ライター、財布、ハンカチ、携帯。刃物など他には何もない。いい子ちゃんかよ。次に明音のコンビニの袋を漁る。お茶のペットボトル残り少量にお手拭き。明音に緑茶を渡してからお手拭きで手を綺麗に拭き取る。
「あんたも飲んで」
 緑茶が喉を潤していく。残りの緑茶は掌の傷にゆっくりと流しながら洗う。指で軽く傷を撫でて血を流す。ハンカチを広げて明音の指を見てみる。三本の方は何とかなりそうだ。親指の方は深い気がする。俺はハンカチを指にきつく巻いて止血しながらまた拳にしてもらう。
「……」
 チンピラのズボンを見つめる。無言でベルトを開けてズボンを引っ張り下す。俺が折った膝に引っ掛り、足が変に抵抗なくブラブラと揺れる。口に込み上がってくる胃液を飲み込む。
 ベルトは抜いて明音の指の止血に使う。俺は少し短くってきついズボンを履く。チャックは閉められないが、ないよりかはマシだ。

――――靴ももう使わないだろ

 俺は臭くって湿気った傷だらけのエナメルの靴も履く。こちらもかなりきついがもうサンダルは完全に擦れきっていて使えない。昨日から酷使し過ぎた。シャツは……あまりにも派手柄できつそうだからやめておく。盛大に脇腹が切られて血糊も付いているしこちらの方が目立つだろう。携帯は電池を抜いて後ろポケットに入れる。財布からお金だけ抜いておく。
「……埋めるか?」
「シャベルねぇと難しいだろ。浅いと匂いとかですぐに見付かるんじゃねぇのか?」
 明音がちょっと考え込む。
「バラバラにするのは? 映画だとよく見かけるけど」
「う~ん……。バラせるような鋭いナイフもねぇし、石などで叩き切るのは無理じゃね? かと言ってこのまま置いておくのもなぁ。どちらにしろ藍龍会には今日中にバレるよな。クソ。……サツの方の発見ぐらいは出来るだけ遅らせたい」
「じゃシャベルか」
「先に車を取りに行ってから海に沈めるのも選択肢か?」
「車に血が付いたら後々言い逃れ出来なくなるぞ」
 明音の言う事に一理ある。車に血が付くのはマズイ。後ほど車を替えても足が着く可性はある。
 俺は部屋を見渡す。雨水で固まった雑誌や箱、古い布団等が壁沿いで積もりに積もっている。玄関に近い部屋の真ん中に血溜まりの下半身裸で靴のない死体。

――――シュール過ぎるだろ……これ

「埋めしかないか」
 俺は溜息を吐いて立ち上がる。
「お宝探しでもしますか」

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