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第一章 卑猥な宴の始まり
5 兄弟は俺を警戒する
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◇
「……おい、大丈夫か?」
昨夜はそのまま部屋の角で気絶してしまったらしい。俺は心配そうに覗き込んでくる精悍な顔を見上げると無言の笑顔を返し体を伸ばす。固まった間接がパキパキと音を鳴らす。
「相当痛そうにしていたが、どこか病気なのか?」
俺は彼の目を鋭く見返す。
「起きていたの?」
「私の職業を何だと思っている。動く気配には敏感なんだよ」
――――不覚。起きた気配に全く気付かなかった。カインの周りではいつも以上言動に気を付けないとマズいみたいだ
「発作みたな物だよ、大丈夫。君が部屋にいたから安心していつもよりも楽だったし」
「いつもって、いつもあんな痛そうな発作があるのか?」
カインは暫く無言で何かを考え込んでいたがいきなり立ち上がる。
「取り敢えず、飯食おうぜ。良い一日の始め方は飯次第だ」
部屋を出て階段を降り、一緒に隣の食堂へと向かう。見た目から誤解されるがこの若い剣士に劣らず俺も大食らいだ。彼が俺の注文する量に驚愕して口をあんぐりと開けている。注文した品がくると二人共無言で夢中になって食べる。
「なぁ、エンはどこに行こうとしているんだ? 旅の目的は?」
「あぁ、目的も目的地もないよ。今は色んな場所を見てみたくって旅している」
「……あのさ、もし良ければ、だけど。私達と来るか?」
「私達?」
「同じく剣士の兄とパーティーを組んでいるんだ。依頼受けながら街から街へと移動しているんだけど、エンもどうかな? あんたは危なっかしいしほっとくとまた襲われてそうだし。なんかやたらと浮世離れしているから一人で置いて行くのは凄く心配だ」
「それは……結構面白そうだな。一緒に行きたい」
「えっ、面白……そうなのか? 楽しそう、じゃなくって? ……あ、丁度レイもいるから紹介しとくよ」
俺は剣士の視線を追うと片手にコーヒーを持って優雅に休んでいる男の背中に視線を注ぐ。僅かに襟足を隠す長さの柔らかそうな金髪。裸だった時とは雰囲気が少し違う。着痩せをする体付きなのだろう。黒い長いタートルネックが彼の金髪を引き立たせている。剣士というよりも聖職者の雰囲気に近い。
――――こりゃ……本当に面白そうだ。美形兄は恥ずかしがりながらも性欲には素直で、精悍な弟は堅物か
「おはよう、レイ。紹介したい人がいる」
カインに呼ばれてレイは落ち着いた動作でこっちを見ると。
目を引ん剝き、思いっきりコーヒーを噴き出した。
――――流石、兄弟。反応がそっくりだな
「汚ねぇ! 何すんだよ⁉︎」
「ゴホゴホゴホ! 何⁉︎ な……に……え? えっ⁉︎」
カインは俺を見て仰け反ったままパニックになっている兄から俺へと視線を移す。
「知っているのか?」
「昨日ちょっと困っていたのを助けて貰ったんだ」
「あんた……本当によく困った状況になっているよな」
「あはは」
俺は軽く笑うと兄に微笑む。
「自己紹介まだだったよね。エンと呼んで。これから宜しく」
「え? これから? え⁉︎ 何?」
可愛そうなぐらい動揺している。
――――これは……弟には性癖を内緒にしているな。というのか、内緒に出来ているのか、これだけ素直な反応で?
「エンは何かと困っていそうだし、取り敢えず一緒に旅にって誘ったんだけど……。エン、すまん、少し兄と二人で話してもいいか?」
「どうぞ。俺はあっちでコーヒー飲んでいるよ」
離れた窓側の席を指す。席に着いて注文した熱いコーヒーに砂糖を大量に混ぜ込む。砂糖は好きだ。人間の発明した物で砂糖とコーヒーは一位二位を争うと思っている。
誰にも気付かれないように魔術を発動し、甘いコーヒーを啜りながら兄弟の会話を盗み聞く。
『レイがここまで動揺するなんて異常だ。一体何があったんだ?』
『……彼の言うように困っていたのを助けただけだ。君といたから物凄く……びっくりしただけだって。まさかまた会えるとは思っていなかったし』
『一緒に旅するのは止めておく?』
――――やっぱ弟の警戒心強いな。生き残るタイプだな
『えっと……。……一緒に旅するのは、大丈夫。だけど……』
『あの男は思っている以上に警戒した方がいいって事か?』
『警戒はした方がいいかもね。私も彼の事はよく知らない。殆ど会話しなかったし本当に少し一緒にいただけだから。だけど、……自分の望むように人を動かすのが得意なタイプだと思う』
『確かに。それはもう思い当たる節があるな』
――――二人共、頭も勘も悪くない
『なぜ一緒に旅する事になったんだ?』
『襲われているのを助けたらほっとけなくってな。悪い奴ではなさそうだったんだが』
『強盗か? カインは相変わらず人助けが必要なタイミングによく遭遇するな』
――――兄は少しだけ天然か。頭の回転は弟の方がよさそうだ
『まぁ……そんな所だ。……なぁ、本当に大丈夫か? 嫌だったら今の内にちゃんと言ってくれ。どうせ私達の行き先だと最後までは一緒に来たがらないだろうし』
『大丈夫だよ。彼は魔導士として一緒に来るのか?』
『魔導士?』
――――あらら、魔術はバレたか。それにしてもこの兄弟の旅の目的は何だ? 俺の探している人は彼等かそうじゃないか
弟が俺の方を見る気配がする。俺は何食わぬ顔で隣のテーブルの会話を聞いているような顔で横向いている。
『魔導士とは知らなかったな。ふわっとした雰囲気の割にかなり鋭いし、度胸もある。意外と色々隠していそうだしな。何かあったらすぐに私に言え』
――――本当に面白い。そこまで警戒しておきながら、兄弟のどちらも俺を置いて行く判断はしないんだな
『分かった。私が見たのは簡単な魔術の一技だけだ。実際どれぐらい使えるか分からないけど、物凄く使い慣れしている感じはあった。……カインは、その』
『何だ?』
『……いや、何でもない……』
――――あは。弟も俺と体液を交換したのかどうか気になるのか。暫くは飽きなさそうでいい
俺は細く微笑むと隣のテーブルの男と目が合う。無言でにっこり微笑むと男が惚けた顔で俺を見る。
――――本当に男は単純だ
彼は俺のテーブルに寄りかかると少し緊張気味に話しかけてくる。顎に髭を少し生やした男っぽい男。だが俺に初々しく話しかけているのが可愛い。こういうのも結構好きだ。ただ今この状況で遊ぶのは流石に自重する。
――――兄弟か。美味そうなメインディッシュは時間掛ける方が美味しくなるもんだ。どう頂けるのか今から楽しみだ
目を細めて笑う。
「あんたはここで見かけた事ないけど初めて? 俺はこの街にもう一週間ぐらいいるし案内しようか? 綺麗な場所や美味しいお店も知っているよ」
「ごめんな、兄ちゃん。そいつ、俺達と一緒だから」
男とはテーブルの反対側にカインが手を置いてそのまま男を見ながら座る。レイも男に目を合わせながらカインの隣に無言で座る。男はバツが悪くなったのかそのままそそくさと店を出ていく。
「あんた、本当にいっぱい男寄ってくるな」
「うん。体質」
レイが微妙な顔になっていて笑いを必死に堪える。
「体質なのかよ。レイから聞いたんだけど、あんたは魔導士なのか?」
「あ、バレちゃったか。別に隠していた訳じゃないけど、凄く弱いから人に言うのが恥ずかしいんだ」
俺は少し照れた感じで頭を掻く。
正直に言えば、自分は魔導士ではないと思う。
本当に自分が何者かは分からない。だが技を覚えるのは早い上に破壊力も結構強い。術式は見てみぬ振りで我流で覚えたものもあるが、大体は自分の勘で魔術を使っている。普通の人間には出来ない事だそうだ。
最近、自分は人間ですらないのではないかと思うようになってきた。その証拠に俺は見た目よりもずっと、ずっと年上だ。カインとレイの年齢を足しても俺の方が年上だ。彼等は俺の方が年下だと思っているようだが。
あの毎夜のように感じる皮膚の下を何かが這いずり回るような悍ましい痛み。
有り余った性欲。
有り余った魔力。
人間といるよりもモンスターといる方が落ち着くし性的魅力を感じる。
俺は何者だ?
「取り敢えずあんたがどれ程の魔導士か知りたいし明日一緒に出発しないか? ゆっくり移動しながら使える魔術を見せてくれると嬉しい」
「いいよ。カイン達はどこに向かうの?」
「……実は鉱山にドラゴンが出て困っているって話が来ていてね。討伐しに行く。あんたは鉱山の麓で待っていてもいいし、危なくなるまで一緒に鉱山に入ってもいいからな。私達が必ず護る。だが無理はしないでいい」
「うん、分かった」
カインとレイの目が俺に真っ直ぐ突き刺さる。レイの少し柔らかな雰囲気も一気に鋭くなる。警戒心が増加する。雰囲気が刃のように冷たくピリッとする。
――――あれ? 今の、どこら辺をミスしたんだ?
「……ドラゴン」
「うん、強いんでしょう? 君達はドラゴンの討伐依頼が来るぐらい強いんだね」
「前に……どこかで直接ドラゴンを見た事があるのか?」
「ないよ? でも、ドラゴンを倒せるぐらい強いって認識されているって事でしょう? 凄いね」
「……普通の人はもっと違う反応するぞ。ドラゴンって聞くだけでビビるとか、恐怖に慄くとか。そんな伝説級の化け物なんか存在しないって冷や汗垂らしながら笑うとか」
――――人間は面倒だなぁ。ドラゴンは綺麗だし生息地を知っていたら伝説級よりいっぱいいるもんだが
「俺、あまり驚かない性格なんだ」
「……みたいだな。あんた、どこ出身か分かるか?」
「分からない。気付いたら色んな旅人に山とか連れまわされていたから」
カインの目がまだ俺を警戒しながら観察している。
――――ぞくぞくする目付き。そんなに強くって警戒していると、早々に壊したくなっちゃうよ
「あ、でも」
「なんだ?」
俺の言葉にカインの目の奥が鋭く光る。僅かに体の位置が変わる。呼吸もゆっくりと抑えている。
物凄く警戒されている。
俺は視線を合わせてにっこりと微笑む。
「カインはあの部屋を一晩で片付けられるの?」
「……」
彼は無言で目を逸らす。
「……おい、大丈夫か?」
昨夜はそのまま部屋の角で気絶してしまったらしい。俺は心配そうに覗き込んでくる精悍な顔を見上げると無言の笑顔を返し体を伸ばす。固まった間接がパキパキと音を鳴らす。
「相当痛そうにしていたが、どこか病気なのか?」
俺は彼の目を鋭く見返す。
「起きていたの?」
「私の職業を何だと思っている。動く気配には敏感なんだよ」
――――不覚。起きた気配に全く気付かなかった。カインの周りではいつも以上言動に気を付けないとマズいみたいだ
「発作みたな物だよ、大丈夫。君が部屋にいたから安心していつもよりも楽だったし」
「いつもって、いつもあんな痛そうな発作があるのか?」
カインは暫く無言で何かを考え込んでいたがいきなり立ち上がる。
「取り敢えず、飯食おうぜ。良い一日の始め方は飯次第だ」
部屋を出て階段を降り、一緒に隣の食堂へと向かう。見た目から誤解されるがこの若い剣士に劣らず俺も大食らいだ。彼が俺の注文する量に驚愕して口をあんぐりと開けている。注文した品がくると二人共無言で夢中になって食べる。
「なぁ、エンはどこに行こうとしているんだ? 旅の目的は?」
「あぁ、目的も目的地もないよ。今は色んな場所を見てみたくって旅している」
「……あのさ、もし良ければ、だけど。私達と来るか?」
「私達?」
「同じく剣士の兄とパーティーを組んでいるんだ。依頼受けながら街から街へと移動しているんだけど、エンもどうかな? あんたは危なっかしいしほっとくとまた襲われてそうだし。なんかやたらと浮世離れしているから一人で置いて行くのは凄く心配だ」
「それは……結構面白そうだな。一緒に行きたい」
「えっ、面白……そうなのか? 楽しそう、じゃなくって? ……あ、丁度レイもいるから紹介しとくよ」
俺は剣士の視線を追うと片手にコーヒーを持って優雅に休んでいる男の背中に視線を注ぐ。僅かに襟足を隠す長さの柔らかそうな金髪。裸だった時とは雰囲気が少し違う。着痩せをする体付きなのだろう。黒い長いタートルネックが彼の金髪を引き立たせている。剣士というよりも聖職者の雰囲気に近い。
――――こりゃ……本当に面白そうだ。美形兄は恥ずかしがりながらも性欲には素直で、精悍な弟は堅物か
「おはよう、レイ。紹介したい人がいる」
カインに呼ばれてレイは落ち着いた動作でこっちを見ると。
目を引ん剝き、思いっきりコーヒーを噴き出した。
――――流石、兄弟。反応がそっくりだな
「汚ねぇ! 何すんだよ⁉︎」
「ゴホゴホゴホ! 何⁉︎ な……に……え? えっ⁉︎」
カインは俺を見て仰け反ったままパニックになっている兄から俺へと視線を移す。
「知っているのか?」
「昨日ちょっと困っていたのを助けて貰ったんだ」
「あんた……本当によく困った状況になっているよな」
「あはは」
俺は軽く笑うと兄に微笑む。
「自己紹介まだだったよね。エンと呼んで。これから宜しく」
「え? これから? え⁉︎ 何?」
可愛そうなぐらい動揺している。
――――これは……弟には性癖を内緒にしているな。というのか、内緒に出来ているのか、これだけ素直な反応で?
「エンは何かと困っていそうだし、取り敢えず一緒に旅にって誘ったんだけど……。エン、すまん、少し兄と二人で話してもいいか?」
「どうぞ。俺はあっちでコーヒー飲んでいるよ」
離れた窓側の席を指す。席に着いて注文した熱いコーヒーに砂糖を大量に混ぜ込む。砂糖は好きだ。人間の発明した物で砂糖とコーヒーは一位二位を争うと思っている。
誰にも気付かれないように魔術を発動し、甘いコーヒーを啜りながら兄弟の会話を盗み聞く。
『レイがここまで動揺するなんて異常だ。一体何があったんだ?』
『……彼の言うように困っていたのを助けただけだ。君といたから物凄く……びっくりしただけだって。まさかまた会えるとは思っていなかったし』
『一緒に旅するのは止めておく?』
――――やっぱ弟の警戒心強いな。生き残るタイプだな
『えっと……。……一緒に旅するのは、大丈夫。だけど……』
『あの男は思っている以上に警戒した方がいいって事か?』
『警戒はした方がいいかもね。私も彼の事はよく知らない。殆ど会話しなかったし本当に少し一緒にいただけだから。だけど、……自分の望むように人を動かすのが得意なタイプだと思う』
『確かに。それはもう思い当たる節があるな』
――――二人共、頭も勘も悪くない
『なぜ一緒に旅する事になったんだ?』
『襲われているのを助けたらほっとけなくってな。悪い奴ではなさそうだったんだが』
『強盗か? カインは相変わらず人助けが必要なタイミングによく遭遇するな』
――――兄は少しだけ天然か。頭の回転は弟の方がよさそうだ
『まぁ……そんな所だ。……なぁ、本当に大丈夫か? 嫌だったら今の内にちゃんと言ってくれ。どうせ私達の行き先だと最後までは一緒に来たがらないだろうし』
『大丈夫だよ。彼は魔導士として一緒に来るのか?』
『魔導士?』
――――あらら、魔術はバレたか。それにしてもこの兄弟の旅の目的は何だ? 俺の探している人は彼等かそうじゃないか
弟が俺の方を見る気配がする。俺は何食わぬ顔で隣のテーブルの会話を聞いているような顔で横向いている。
『魔導士とは知らなかったな。ふわっとした雰囲気の割にかなり鋭いし、度胸もある。意外と色々隠していそうだしな。何かあったらすぐに私に言え』
――――本当に面白い。そこまで警戒しておきながら、兄弟のどちらも俺を置いて行く判断はしないんだな
『分かった。私が見たのは簡単な魔術の一技だけだ。実際どれぐらい使えるか分からないけど、物凄く使い慣れしている感じはあった。……カインは、その』
『何だ?』
『……いや、何でもない……』
――――あは。弟も俺と体液を交換したのかどうか気になるのか。暫くは飽きなさそうでいい
俺は細く微笑むと隣のテーブルの男と目が合う。無言でにっこり微笑むと男が惚けた顔で俺を見る。
――――本当に男は単純だ
彼は俺のテーブルに寄りかかると少し緊張気味に話しかけてくる。顎に髭を少し生やした男っぽい男。だが俺に初々しく話しかけているのが可愛い。こういうのも結構好きだ。ただ今この状況で遊ぶのは流石に自重する。
――――兄弟か。美味そうなメインディッシュは時間掛ける方が美味しくなるもんだ。どう頂けるのか今から楽しみだ
目を細めて笑う。
「あんたはここで見かけた事ないけど初めて? 俺はこの街にもう一週間ぐらいいるし案内しようか? 綺麗な場所や美味しいお店も知っているよ」
「ごめんな、兄ちゃん。そいつ、俺達と一緒だから」
男とはテーブルの反対側にカインが手を置いてそのまま男を見ながら座る。レイも男に目を合わせながらカインの隣に無言で座る。男はバツが悪くなったのかそのままそそくさと店を出ていく。
「あんた、本当にいっぱい男寄ってくるな」
「うん。体質」
レイが微妙な顔になっていて笑いを必死に堪える。
「体質なのかよ。レイから聞いたんだけど、あんたは魔導士なのか?」
「あ、バレちゃったか。別に隠していた訳じゃないけど、凄く弱いから人に言うのが恥ずかしいんだ」
俺は少し照れた感じで頭を掻く。
正直に言えば、自分は魔導士ではないと思う。
本当に自分が何者かは分からない。だが技を覚えるのは早い上に破壊力も結構強い。術式は見てみぬ振りで我流で覚えたものもあるが、大体は自分の勘で魔術を使っている。普通の人間には出来ない事だそうだ。
最近、自分は人間ですらないのではないかと思うようになってきた。その証拠に俺は見た目よりもずっと、ずっと年上だ。カインとレイの年齢を足しても俺の方が年上だ。彼等は俺の方が年下だと思っているようだが。
あの毎夜のように感じる皮膚の下を何かが這いずり回るような悍ましい痛み。
有り余った性欲。
有り余った魔力。
人間といるよりもモンスターといる方が落ち着くし性的魅力を感じる。
俺は何者だ?
「取り敢えずあんたがどれ程の魔導士か知りたいし明日一緒に出発しないか? ゆっくり移動しながら使える魔術を見せてくれると嬉しい」
「いいよ。カイン達はどこに向かうの?」
「……実は鉱山にドラゴンが出て困っているって話が来ていてね。討伐しに行く。あんたは鉱山の麓で待っていてもいいし、危なくなるまで一緒に鉱山に入ってもいいからな。私達が必ず護る。だが無理はしないでいい」
「うん、分かった」
カインとレイの目が俺に真っ直ぐ突き刺さる。レイの少し柔らかな雰囲気も一気に鋭くなる。警戒心が増加する。雰囲気が刃のように冷たくピリッとする。
――――あれ? 今の、どこら辺をミスしたんだ?
「……ドラゴン」
「うん、強いんでしょう? 君達はドラゴンの討伐依頼が来るぐらい強いんだね」
「前に……どこかで直接ドラゴンを見た事があるのか?」
「ないよ? でも、ドラゴンを倒せるぐらい強いって認識されているって事でしょう? 凄いね」
「……普通の人はもっと違う反応するぞ。ドラゴンって聞くだけでビビるとか、恐怖に慄くとか。そんな伝説級の化け物なんか存在しないって冷や汗垂らしながら笑うとか」
――――人間は面倒だなぁ。ドラゴンは綺麗だし生息地を知っていたら伝説級よりいっぱいいるもんだが
「俺、あまり驚かない性格なんだ」
「……みたいだな。あんた、どこ出身か分かるか?」
「分からない。気付いたら色んな旅人に山とか連れまわされていたから」
カインの目がまだ俺を警戒しながら観察している。
――――ぞくぞくする目付き。そんなに強くって警戒していると、早々に壊したくなっちゃうよ
「あ、でも」
「なんだ?」
俺の言葉にカインの目の奥が鋭く光る。僅かに体の位置が変わる。呼吸もゆっくりと抑えている。
物凄く警戒されている。
俺は視線を合わせてにっこりと微笑む。
「カインはあの部屋を一晩で片付けられるの?」
「……」
彼は無言で目を逸らす。
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