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第三章 軍人も古代種も俺を熱く欲す
24 吸血鬼と古代種は仲が悪い
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◇
暫く意識を失っていたらしい。目を開けるとイリュは俺の首や耳を相変わらず舐めたり吸い付いたりしている。大きな男っぽい手は繊細な触り方ではないが、優しく乳首や股間を撫でている。
「俺……どれぐらい気を失っていた?」
「人の時間は分からないが、外が騒がしくなり、静粛が来、また騒がしくなってきた。疲れていたのだろう。よく寝ていた」
――――アラカイとイーラン!
「ヤバい! 忘れていた!」
俺は急いで上半身を起こす。節々や筋肉がギシギシと軋んで体が悲鳴を上げる。流石にいきなりこんなにたくさん抱かれて数え切れないほど口や指でされまくったら筋肉痛になる。
「俺と一緒にいた吸血鬼達は俺を探していて問題になっているのかも。戻りたい」
イリュと洞窟の入口へと行くとイリュの大きな体はとてもその狭い出口を這い出られそうにない。
「ユエン、目を閉じて俺から離れるな」
ガッ ゴッ ゴッ ガンッ
イリュが大きく握った拳で壁を殴る。右、左、右と拳が岩肌に強く衝突をする。
振動と音が鳴り響く。
「……ぅわ……ぁああ!」
イリュの太い腕が俺を近くに引き寄せ、全身を庇ってくれる。ガラガラと大きな岩が落ちてくる。
パラパラパラッ
小さな落石が止まると彼は俺から離れる。
見上げた空には三つの月が見える。大きな赤い月に二つの小さな青白い月だ。それが十分な明かりとなっていて夜でも見える。そして空一面に散りばめたような無数の星。
「……綺麗な空だなぁ」
その映画みたいな景色に呼吸を奪われる。
――――俺、この世界が好きだ
「ユエン様ぁ」
「ユエン様!」
遠くや近くからの色んな場所で俺を呼ぶ声が幾つもする。
「ユエン!」
遠くでアラカイの声がする。それが物凄いスピードで近付いて来る。地平線の方で黒い点が見え、それがみるみる馬の走ってくる姿へと変わる。アラカイは馬を止めずに飛び降りると俺の前に来る。
「大丈夫か⁉︎ 触っていいか?」
俺は頷く。
「アラカイ、ごめんなさい」
彼の手が一通り俺の体を触れ周り怪我がない事を確認していく。大丈夫だと分かると彼の焦った顔に少しだけ安堵の色が浮かぶ。
「誰だ、太古の古代種か?」
アラカイはイリュから俺を離すように腕を引き始めるが、イリュが奴の腕を掴んで止める。
「ユエンは俺のだ。触れるな」
「え、ちょっ、……イリュ! お前、何勝手に言っているんだ! アラカイは俺を護ってくれている命の恩人! 今は問題起こさないんじゃないのかよ!」
「護れてねぇじゃねぇか。俺の方がもっと上手に護れるぞ」
「イリュ!」
「イリュ? ……それは本当にお前の名前か?」
「試して確認してみるか、血吸い野郎」
イリュが悪そうな顔でニヤリと挑発する。
「ちょっ、止めろって!」
「私は確かに体液を吸うが、お前も私と同じであろう」
「俺はもうガキん頃から吸ってないんでな。お前等のような下等な種族と同じにするな」
「私が下等だとより年取って弱った古代種様は更に下等だと思うが」
「人をじじいみたいに言うんじゃねぇよ。俺は下等と違ってまだまだ現役なんだよ」
「私も現役だ。試してみるか?」
「ははぁ! 平和種族が聞いて飽きれるような台詞だぜ、おい。俺も寝起きの準備運動は足りていなんだよな」
アラカイとイリュが嫌悪感むき出しで睨み合う。俺はそれにどうする事も出来ず二人の顔をおろおろと交互に見るしかない。
「ユエン様! ご無事ですか⁉︎」
今度はイーランまで物凄く焦った表情で走ってくる。黙っていなくなったのは非常に申し訳なく反省する。だがこれで喧嘩の火花の仲介になってくれればと少し安心する。
だがイーランも意外と短気らしい。
「このご隠居様がユエンを隠していたらしい」
アラカイの言葉にイーランがすぐに剣を引き抜く。初めて目にする殺戮用の凶器に恐怖で慄く。
「本当に随分と好戦的な血吸い野郎等だ。ユエンにくっついていた匂いはてめえ等か」
イリュが指の関節を鳴らしながら構える。
――――え、ちょっと待てよ! マジでヤバいじゃないか!
暫く意識を失っていたらしい。目を開けるとイリュは俺の首や耳を相変わらず舐めたり吸い付いたりしている。大きな男っぽい手は繊細な触り方ではないが、優しく乳首や股間を撫でている。
「俺……どれぐらい気を失っていた?」
「人の時間は分からないが、外が騒がしくなり、静粛が来、また騒がしくなってきた。疲れていたのだろう。よく寝ていた」
――――アラカイとイーラン!
「ヤバい! 忘れていた!」
俺は急いで上半身を起こす。節々や筋肉がギシギシと軋んで体が悲鳴を上げる。流石にいきなりこんなにたくさん抱かれて数え切れないほど口や指でされまくったら筋肉痛になる。
「俺と一緒にいた吸血鬼達は俺を探していて問題になっているのかも。戻りたい」
イリュと洞窟の入口へと行くとイリュの大きな体はとてもその狭い出口を這い出られそうにない。
「ユエン、目を閉じて俺から離れるな」
ガッ ゴッ ゴッ ガンッ
イリュが大きく握った拳で壁を殴る。右、左、右と拳が岩肌に強く衝突をする。
振動と音が鳴り響く。
「……ぅわ……ぁああ!」
イリュの太い腕が俺を近くに引き寄せ、全身を庇ってくれる。ガラガラと大きな岩が落ちてくる。
パラパラパラッ
小さな落石が止まると彼は俺から離れる。
見上げた空には三つの月が見える。大きな赤い月に二つの小さな青白い月だ。それが十分な明かりとなっていて夜でも見える。そして空一面に散りばめたような無数の星。
「……綺麗な空だなぁ」
その映画みたいな景色に呼吸を奪われる。
――――俺、この世界が好きだ
「ユエン様ぁ」
「ユエン様!」
遠くや近くからの色んな場所で俺を呼ぶ声が幾つもする。
「ユエン!」
遠くでアラカイの声がする。それが物凄いスピードで近付いて来る。地平線の方で黒い点が見え、それがみるみる馬の走ってくる姿へと変わる。アラカイは馬を止めずに飛び降りると俺の前に来る。
「大丈夫か⁉︎ 触っていいか?」
俺は頷く。
「アラカイ、ごめんなさい」
彼の手が一通り俺の体を触れ周り怪我がない事を確認していく。大丈夫だと分かると彼の焦った顔に少しだけ安堵の色が浮かぶ。
「誰だ、太古の古代種か?」
アラカイはイリュから俺を離すように腕を引き始めるが、イリュが奴の腕を掴んで止める。
「ユエンは俺のだ。触れるな」
「え、ちょっ、……イリュ! お前、何勝手に言っているんだ! アラカイは俺を護ってくれている命の恩人! 今は問題起こさないんじゃないのかよ!」
「護れてねぇじゃねぇか。俺の方がもっと上手に護れるぞ」
「イリュ!」
「イリュ? ……それは本当にお前の名前か?」
「試して確認してみるか、血吸い野郎」
イリュが悪そうな顔でニヤリと挑発する。
「ちょっ、止めろって!」
「私は確かに体液を吸うが、お前も私と同じであろう」
「俺はもうガキん頃から吸ってないんでな。お前等のような下等な種族と同じにするな」
「私が下等だとより年取って弱った古代種様は更に下等だと思うが」
「人をじじいみたいに言うんじゃねぇよ。俺は下等と違ってまだまだ現役なんだよ」
「私も現役だ。試してみるか?」
「ははぁ! 平和種族が聞いて飽きれるような台詞だぜ、おい。俺も寝起きの準備運動は足りていなんだよな」
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「ユエン様! ご無事ですか⁉︎」
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だがイーランも意外と短気らしい。
「このご隠居様がユエンを隠していたらしい」
アラカイの言葉にイーランがすぐに剣を引き抜く。初めて目にする殺戮用の凶器に恐怖で慄く。
「本当に随分と好戦的な血吸い野郎等だ。ユエンにくっついていた匂いはてめえ等か」
イリュが指の関節を鳴らしながら構える。
――――え、ちょっと待てよ! マジでヤバいじゃないか!
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