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絡み付いた縁が紡ぐ物
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上も下も分からない真っ白な空間。
何の音も臭いも色もないただただ無の世界。
キャロルは体を起こし周りを見渡す。
「…またこの夢か。」
キャロルはゆっくりと立ち上がる。
昔から何度も見た光景だ。
キャロルがベッドで寝られなくなった原因の夢。
眠りを恐れる様になった理由の夢。
この夢を見るのはいつ以来だっただろうか。
「…ああそっか。
最後に見たのはカロルの街だ。」
あの時はうなされていたからと起きたらルシウスがいたのだ。
なんだか懐かしさを感じてキャロルは笑みを零す。
ふと視線をずらすと200m程先にどす黒いモヤが見えた。
それはまるでブラックホールの様に周囲の光さえ飲み込んでいる。
キャロルが10年以上逃げ続けて来た禁術の呪い。
昔は点のように小さかったのに随分近くなったものだ。
キャロルはいつもこの夢を見た時にはあのモヤから出来る限り逃げていた。
呑まれたなら死ぬと思っていたから。
聖龍もあれは最早肩を掴む所まで来ていると言っていた。
だがキャロルは生まれて始めてモヤに向かって足を踏み出した。
怖くないと言えば嘘になる。
今だって膝が震える程怖い。
だが過去から戻ってずっと確かめたいと思っていたのだ。
聖龍はあのモヤを呪いだと言っていた。
キャロルもそう思っていたからこそあの全てを消そうとする様なモヤも母親も憎んでいたのだ。
だがあの日確かに亡くなる直前母親はキャロルを庇った。
何かがおかしい。
何か自分は見逃しているはずだ。
キャロルは自分さえも溶けてしまいそうな真っ白な空間の中、震える脚を必死で前に動かす。
きっと何かあるのだ。
きっと何か分かるはずだ。
だって。
キャロルはすっと息を吸い込んだ。
足の震えが止まる。
匂いのなかった世界にモヤから確かに感じる匂いがあった。
震える足を引き摺る様に歩いていたはずの足がどんどん速くなる。
だって匂いがするのだ。
霜の降りた冬の匂いが。
何の音も臭いも色もないただただ無の世界。
キャロルは体を起こし周りを見渡す。
「…またこの夢か。」
キャロルはゆっくりと立ち上がる。
昔から何度も見た光景だ。
キャロルがベッドで寝られなくなった原因の夢。
眠りを恐れる様になった理由の夢。
この夢を見るのはいつ以来だっただろうか。
「…ああそっか。
最後に見たのはカロルの街だ。」
あの時はうなされていたからと起きたらルシウスがいたのだ。
なんだか懐かしさを感じてキャロルは笑みを零す。
ふと視線をずらすと200m程先にどす黒いモヤが見えた。
それはまるでブラックホールの様に周囲の光さえ飲み込んでいる。
キャロルが10年以上逃げ続けて来た禁術の呪い。
昔は点のように小さかったのに随分近くなったものだ。
キャロルはいつもこの夢を見た時にはあのモヤから出来る限り逃げていた。
呑まれたなら死ぬと思っていたから。
聖龍もあれは最早肩を掴む所まで来ていると言っていた。
だがキャロルは生まれて始めてモヤに向かって足を踏み出した。
怖くないと言えば嘘になる。
今だって膝が震える程怖い。
だが過去から戻ってずっと確かめたいと思っていたのだ。
聖龍はあのモヤを呪いだと言っていた。
キャロルもそう思っていたからこそあの全てを消そうとする様なモヤも母親も憎んでいたのだ。
だがあの日確かに亡くなる直前母親はキャロルを庇った。
何かがおかしい。
何か自分は見逃しているはずだ。
キャロルは自分さえも溶けてしまいそうな真っ白な空間の中、震える脚を必死で前に動かす。
きっと何かあるのだ。
きっと何か分かるはずだ。
だって。
キャロルはすっと息を吸い込んだ。
足の震えが止まる。
匂いのなかった世界にモヤから確かに感じる匂いがあった。
震える足を引き摺る様に歩いていたはずの足がどんどん速くなる。
だって匂いがするのだ。
霜の降りた冬の匂いが。
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