通りすがりの龍喰らい

ヨルムンガンド

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第一章

転生した?

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 目を覚ますと、そこは一面、白亜の空間、

 

 _____などではなく、草原だった。
 みずみずしい青が広がり、風が気持ち良く、、、


「ってそうじゃない!」

 思わず声が出てしまった。

普通こういう時って、神様に会ってチート能力とか貰うんじゃないの?

 取っておきの神器も無ければ、特殊な異能も無い。身長も転生前と変わらない。

 服は、、、

 「_____一緒やん」

 つまり、俺は死ぬ直前の状態でここに転生したということらしい。

 (えっ?これまたすぐ死ぬのか、俺?)

 餓死、病死、失血死、様々なシーンが浮かんでくる。それはもう、人ってこんなに死に方あるのかと言いたくなるほど。

 取り敢えず、歩くことにした。
 どこかにゴールがある訳でもないので、その足取りは重かった。

暫く歩くと、平原の先に村が見えてきた。

 「た、助かったぁ~」

間抜けな声が出る。もしかしたら、死んでいたかもしれない。モンスターとかに会わなくて良かったー。

 意外と、ラノベのようにはうまくいかないな、思った。

 村へ近づくと、二人の門番的な人がいた。

 「誰だ?」「旅の者か?」

あまり歓迎ムードでは無いらしい。それもそうだ。突然平野の向こうからボロボロの格好のNEETが来ている。怪しいだろ、そりゃ。

でも、会話が通じる。これだけは、神に感謝感謝。それなら、話は早い。

 「えーと、旅をしているんですが、野盗に襲われまして…」

 これは、あらかじめ考えておいた理由。

 「この近くには、野盗の噂など聞いたこともないが…」

 え?詰んだじゃん。嘘ついてるのバレたら何されるか分からんし、ここは頑張って誤魔化さなければ!

 「ええと、彼らの話、盗み聞きしてきたんですけど、ええと、どうやら最近ここら辺を根城にしたって言ってました」

 自分で言ってて、情けなくなるくらい苦しい言い訳だった。

 「じゃあ、詰所で詳しく話を聞かせてもらおうか」

 「は、はい…」
 
 まあ、話聞いてもらえただけラッキーだと思いながら、俺は詰所へ連行された。



___________________________________



 だが、驚くべきことに俺の発言は信じてもらえたのだ。しかも、何故だか今日開かれるという宴会に招かれたのだ。

 どういう風の吹き回しだ?と訝しみながらも、俺は出席した。

 まだ、この頃の俺は幸せだった。まさか、料理に睡眠薬が盛られているなど、予想だにしなかったからだ。

 目眩がする、そう思った時点で手遅れだった。俺の貧弱な意思は簡単に刈り取られ、最後に俺の瞳に映ったのは、村人達の意地の悪い笑みだった。


___________________________________



 数時間前。村長宅にて。

 「あの若者はどうしましょう、村長」

 「うーむ、旅人であることは間違いないであろうが、どうも野盗の話は嘘としか思えん。格好も見たことも無いものだった」

 「村長、に使うのはどうでしょう?」

 「おお!それはいい案だ!最近は、年寄りも増えてきておるし、困っていたところだったからのう」

 「では、すぐに手配しますね」

 「よろしく頼むぞ。くれぐれも本人には気づかれんようにな」

 「承知しております。宴を催そうかと考えております」



___________________________________


 
 「う、うう、ううん?」

 ここは何処だ?薄暗くてよく見えない。近くに置かれた松明のおかげでかろうじて辺りが見渡せる程度だ。

 「ん?手紙が置いてあるぞ?」

 開いてみる。良かった、文字も読めるみたいだ。

《突然のことに、驚いているかもしれないが、落ち着いてこれを読んで欲しい。君は、端的に言えばだ。今お主がいるのは、我らの村の近くの洞窟だ。最近、そこに龍が棲みついたという報告があった。我々は、村の決まりに従って、若い生贄を出さなければならなかったのだ。だが、最近の村の若者はみんな出稼ぎでおらぬ。そこに現れたのがお主だ。本当に済まないが、我々の村の安寧の為だ。どうか、犠牲なって欲しい。村長より》


 俺はまんまと騙された。意外と落ち着いて居られたのは、手紙だけでなく異世界の非情さを小説や漫画などで知ってた為だろう。

 「おいおい、どーすんだよ、これ」

 近くには、松明と手紙、そして自決用と思われる小刀があった。

 「こんなんじゃ戦えないしなぁ」

 取り敢えず出口を探すことにした。

薄暗い洞窟内を進む。一本道で奥に進むにつれ、道は狭くなっていく。

やがて、明かりが見える。

「おお、出口か?」

 そう簡単では無かった。

 「へ?」
 
 明かりの先、そこは広い空間だった。転生前の知識によると、マグマ溜りの痕跡であるだろう。上が開けて天の光が差し込んでいた。

 だが、俺が驚いたのはそこでは無い。

 「お、女の子?」
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