school rifle.

ヨルムンガンド

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SEASON 1

先輩としての威厳

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 ここで一旦、獸について整理しておこう。

 西暦2000年頃に出現した、異形の怪物である獸。彼らは、多次元論により、他の次元から人間の暮らす三次元に襲来する、と考えられている。

 彼らには、対獸物質Anti Creature Material、通称アカムが有効である。その正体は、ごく限られた場所でしか採掘のできない鉱物であり、水に弱い性質を持つ。

 また、獸達はその弱点を認知しているのかは不明だが、獸の中には水を纏い、水流装甲を作り出す種、水使いアウクアが存在する。

 


 さて、ここまでは復習だ。




 では、水に弱いという性質をどう補填するか?


 これは、研究者たちにとっても、それを扱う獸狩りにとっても重要な課題だった。

 水流装甲のついた獸だけ、放っておくことも出来ない。

 そこで登場したのが『耐水弾WRB(ウラヴ)』だった。獸には対抗し、水に耐久する。そんな理想的な弾薬が製造された当初は、獸関連の者全てが興奮の渦に包まれた。

 一度、アカムを耐水性がある金属で包む。その金属は、飛翔中に発生する摩擦熱により、標的に当たる刹那に融解しきるような薄さに加工される。

 

 しかしやはり、そんな画期的なヒーローにも欠点は存在した。



 まず第一に、高価であること。

 新商品ということもあり、価格は通常の2~3倍ほどが相場だ。基本的に弾薬や、銃器等の武具のメンテナンスは、獸狩りの自己負担である。

 いくら耐水性を持つとはいえ、おいそれと購入できるハンターはごく少数だ。

 
 

 次に、射程。

 前述の通り、この弾は当たる直前に融解しきることが、必須条件だ。それより早くても、遅くても効果が薄れてしまう。

 そのため、弾道計算がより複雑になることが予想される。

 また射程距離も制限されるので、元からその距離レンジに慣れている者で無ければ、射撃感覚を合わせるのにも苦労することになるだろう。

 

 以上の理由から、その高性能を鑑みたとしても『耐水弾』ウルヴの人気は芳しくなかった。






 しかし、逆に言えば、





 その弱点さえ克服してしまえば、耐水弾は獸にとっておぞましいほどの威力を発揮する。



___________________________________





 《マスター、大丈夫なんですか?こんな高い弾、10発も買っちゃって。あんなオンボロアパートの家賃すら、払えなくなるかもですよ》

 「ばーか。あれは、偽装カモフラだよ。あんな所に、獸狩りがいるなんて、思わねぇだろ?」

 《主の通帳だけは、見ないようにしようと心に決めていましたが、ちょっと興味が出てきました。少し、覗いてみますね》

 「っておい、弾道計算をとっととやれ!」

 《うっひょー!スゲーな、こりゃ。個人で持つ額じゃねぇぞ、これ!》

 「興奮のあまり、語尾が変わっちゃってますよ、ネクトさん……」

 
 ここは、またまたとある廃ビルの一室。屋上は、あのライオン擬きに見つかる可能性があるため、屋内にひっそりと隠れチャンスを伺うことにした。

 その策が功を奏したのか、獅子ちゃんは辺りを見渡し、必死に自分たちを探している。少し、可愛い。

 不知火はあちらこちらに包帯が巻かれ、元は会社のデスクであったはずの横机に、寝かされていた。しかし、血色が悪く戦える状況では無かった。

 《すみません、すみません。つい興奮してしまいまして。じゃあ、計算始めます。弾道学に基づく計算に加え、耐水弾ウルヴの射程距離を考慮して演算開始。、、、、、演算終了。結果、あと約200mの接近が必要》

 「まだ近寄らないと、ダメか……」

 俺は、溜息をつく。この距離でも充分危険な距離だと言うのに、まだ近づかないといけないなんて。ただでさえ、前衛が使い物にならないというのに。

 「すみません、私のせいで……」

 「あーあー、そういうのは後回しだ。今は、戦闘に集中しろ。お前がやれることは、炎剣を出すことだけではないだろう?」

 「……はい!」

 「歩けるか?」

 「何とか」

  《__演算終了。只今、安全に目標地点まで行くことの出来る最短ルートを割り出しました!》

 「ナイスだ、ネクト。よし、あの野郎に一発かますとするか!」

 その目は、獣狩りの名に恥じない、狩人のそれだった。




 __________________________________





 夜の街を一つの影が、踊る。ビルとビルの間を駆ける。獅子の死角になるようなルートを、素早く移動していく。

 「ちょ、ちょっと、白羽先輩!?こ、この格好は流石に……くぅぅ……」

 「少しは我慢しろ。怪我をしたのは、お前だろ」

 「そうですけど……」

  不知火は、所謂「お姫様抱っこ」状態だった。足を怪我し、歩くことが難しいと判断した白羽によって、この格好になった。

  《あと数分で目的地のビルに着きますよー》

 「えっ、もう着いちゃうの…」

 「嫌じゃなかったのか?」

 「えっと、嫌なわけ、いや、嫌じゃないっていうか、ええと……」

 「?」

 《ニヤニヤ、心拍数の上昇を感知しましたよぉ、不知火さぁーん?》

 「ネクトさんは、黙っててください!」

 よく分からないが、きっと色んなことが同時に起きたことで、混乱しているのだろう。

 俺はスピードを上げて、一刻も早く到着することを目指した。

 「きゃっ、まだスピード上がるんですかっ!もう!」
 
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