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第20話 爆弾魔 松永秀雄

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 子供の頃から研究者になりたい一択で、理系のそこそこ頭の良い大学を卒業した俺、松永秀雄だったが、就職先はある新興宗教の団体であった。

 在学中からその宗教に傾倒しつつあった俺だが、在学中に知り合い最終的に妻になった女性が既にその宗教団体で高い地位にいた事、そして教祖様の日本を変えたいという願いに強く惹かれたのだ。
 やがて俺は技術力を買われて宗教団体で幹部級の地位を得る。
 この宗教が国を牛耳る事になったら、
科学担当大臣になるお墨付きまで教祖から頂いた。

 そして運命の日。
 日本の主要な施設、国会議事堂や日本一利用客の多い駅に設置した、俺の手がけた超小型強力爆弾が作動すれば、革命の第一歩が始まる筈であった。

 しかし土壇場で幹部の一人が日和って裏切り、計画は警察に筒抜けとなった。
 結果多くの逮捕者を出した宗教団体は解体され、教祖様はもちろん幹部である俺にも爆弾魔の汚名を着せられ死刑判決が出て……

 そして俺は死後の世界、いわゆる天国という場所に来たらしいのだが。

「ボクはアマテラス。の神様だよ」

 そう自己紹介をするのは、どうみても神様のイメージとは程遠い幼女。
 
「ボクは誤世界エラーワールドって呼んでる場所から、故あってその魂をいくつか引き取った」

 ふむふむ。

「そして彼らをこの世界の戦国時代に送り出しているんだけど……」

 けど?

「どうも思ったより成果があがってないんだ。
 そこで正規世界であるココからも増援を出したいと思って、君がその第一号」

 ほう?
 それは選ばれて光栄というか何というか。

「君だって、あんな人生の最後は嫌だろう?
 生き返られるならもう一度、好きにやってみたいよね?」

 そりゃこっちは願ったり叶ったりだが、何か制限とか使命とかあったりするのか?

「何も?
 むしろ常識的ないい子ちゃんばかりが多くて困ってるくらいだよ。
 個人的にはもっと、無茶苦茶やって世界をかき回して欲しいのに」

 こいつ本当に神様か?
 俺には世界を破滅に導く悪魔に見えた。

「そして過去に飛ぶ特典として、君には存在感マツナーガを与えよう」

 ま、まつなーが?

「元の時代で爆弾魔認定された君にはピッタリの能力だよ。
 あっちの世界でもガンガン爆破させてね?」

 こうして俺は戦国時代に転生し、松永秀久として新たな生を受けた。
 元の歴史の松永はよく知らないが、どうやら無意識のうちに同じような人生を歩んでいるようで、策謀と裏切りとで俺はこの戦国時代を生き抜いて来た。
 俺の存在感マツナーガ、一触即発には幾つか縛りがあって、直接触れた物しか爆破できないし、使用すればその分寿命が縮む。

 多分、使えるのはあと数回といった所か。
 史実でも、確か今年信長に討たれて亡くなってた気もするし、最後のひとあがきをしましょうかねえ。

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