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ロベルト叔父様の屋敷につくと、私とユリウスは小ホールから晩餐室(バンケットルーム)へ通された。

既に席についていた叔父様が、笑顔で立ち上がる。

「久しぶりだな、ローラ!元気にしてたか~?」

握手しようと差し出された手の前で、私は優雅にお辞儀をしてみせた。

「お久しぶりです、叔父様」

お父様の弟、ロベルト・クイーンズは、茶髪に琥珀色の瞳をしており、でっぷりと太った体をしている。

汗っかきなせいか、額は常にテカテカしていた。

隣に小さくなって座っているのは、私の従妹のアンナだ。

会うのは、婚約破棄の夜以来だった。

「兄さんと義姉さんは?」

「実は、兄の屋敷が何者かに放火されてしまいましたの。それで父と母は、兄のところに向かっています」

「何だって!?ギルバートは無事なのか」

「分かりません……」

白々しい叔父様に、私はしおらしくうなだれてみせる。いかにも貴族らしい茶番劇の応酬だ。

「ただ、父も母も本日のお話がとても大切なことは理解しており、ここへ来たがっていました。父より、わたくしにクイーンズ家の全権を委任すると申し付かっております」

委任状を見せると、ロベルト叔父様の目がきらりと光った。

やっぱり、これが目的だったんじゃない?

相手がお父様では勝ち目がなくても、姪っ子の私ならどうとでもなると思っているのかも。

「いやあ~それは大変だっただろう。僕からも、折を見てお見舞いさせてもらうよ」

「お心遣いありがとうございます」

私はにっこり笑って言った。

「代わりにと言っては何ですが、我が家の主治医、ユリウスもこの晩餐会に同席させていただきます」

「もちろん構わないよ」

ロベルト叔父様は言い、私たちは白いテーブルクロスの敷かれた長テーブルに着席した。

テーブルにはあでやかな花々が飾られ、キャンドルに火が灯っている。

「では、晩餐会を始めよう。と言いたいところだが、その前に、僕のほうで招待した方々をご紹介したい」

ロベルト叔父様がメイドに耳打ちすると、扉が開き、晩餐室に人が入ってきた。

その姿を見て、私は息を呑んだ。
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