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二、
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きっと高貴な身分の人が乗っているに違いない。
どこぞの姫か奥方か。それとも武士か侍か。
膝をついたまま見上げる常盤の前には、ずらりと武士達が強面を揃えて居並ぶ。
屈強な侍の壁に囲まれて、しずしずと駕籠は地に降ろされた。
戸がすすと開けられ、御簾をくぐって現れたのは、あえかに美しい少女であった。
白銀に蜻蛉玉の簪、上品に結い上げられたぬばたまの黒髪、翡翠とも紺碧の混ざったような、見事な色に染め抜かれ、鳳凰を綾取られた雅な打掛。
袖からは芳しき白梅香。雪を欺く白い肌。黒雲母の瞳。
天女と見紛う、別世界の姫がそこにいた。
息をすることも忘れて唖然と見つめる常盤を、道端の土くれでも見るような冷ややか目で一瞥し、その姫はしゃなりしゃなりと門の奥へ進んでいった。
棒を飲み込んだように動けぬ常盤の手を引いて起こすは、こちらも妙齢、女盛りの妖艶な人物。
勝気な気性を伝える覇気のある瞳が、星のようにきらめく。
「大丈夫かい?」
「え、ええ」
「お前さん、こんなところで何してるんだい?迷子にでもなったのかえ」
否定する口すら挟ませず、
「うちはどこだい。送っていこうね」
「ご親切にどうもありがとうございます。しかしながら、わたくし、この奥に用があるのでございます」
どこぞの姫か奥方か。それとも武士か侍か。
膝をついたまま見上げる常盤の前には、ずらりと武士達が強面を揃えて居並ぶ。
屈強な侍の壁に囲まれて、しずしずと駕籠は地に降ろされた。
戸がすすと開けられ、御簾をくぐって現れたのは、あえかに美しい少女であった。
白銀に蜻蛉玉の簪、上品に結い上げられたぬばたまの黒髪、翡翠とも紺碧の混ざったような、見事な色に染め抜かれ、鳳凰を綾取られた雅な打掛。
袖からは芳しき白梅香。雪を欺く白い肌。黒雲母の瞳。
天女と見紛う、別世界の姫がそこにいた。
息をすることも忘れて唖然と見つめる常盤を、道端の土くれでも見るような冷ややか目で一瞥し、その姫はしゃなりしゃなりと門の奥へ進んでいった。
棒を飲み込んだように動けぬ常盤の手を引いて起こすは、こちらも妙齢、女盛りの妖艶な人物。
勝気な気性を伝える覇気のある瞳が、星のようにきらめく。
「大丈夫かい?」
「え、ええ」
「お前さん、こんなところで何してるんだい?迷子にでもなったのかえ」
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