護国の鳥

凪子

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冬の章

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ルベリエは肉弾戦、射撃、剣術全てにおいて突出した才能を誇る。

士官学校入校当初から、こと戦闘能力においては右に並ぶ者はないとされていた。

そのルベリエが唯一、やりづらいと評した相手がいた。

学科では結局最後まで一度も上回ることができず、その才智は士官候補生時代から傑出しており、総合成績を常に競い合った相手。

エトワル・ラグランジュその人である。

「君が僕を牽制するために配置されたことは知っていたよ」

銃を持っていても抜く気はないのか、ラグランジュは悠揚と剣を構えている。

「軍部もそれほど馬鹿じゃない。水面下での動きに気づいていただろう。勝手な行動がとりにくいここに配属し、君を見張り役に立て、逐一上に状況を報告させていたんだろ?」

ルベリエは一瞬たりとも視線を外さず、強い眼差しを向ける。

自分とて、全てを知らされていたわけではない。

ただ、軍はラグランジュの背信を恐れていた。

離反される前に引き留めようと、破格の待遇でレムニスケートに引き抜こうとするほどに。

ルベリエが細心の注意を払って観察していても、ラグランジュはなかなか尻尾を出さず、巧みに追及をかわしてきた。

手をこまねき続けたまま、今日を迎えてしまったことが悔やまれる。

「いつからだ」

「ん?」

ラグランジュは首を傾げる。

「いつから始まっていた、お前の裏切りは」

瞼を閉じれば、記憶はいつだって残酷なほど鮮やかに蘇る。

「その足」

ルベリエはラグランジュの左足に目をやった。

「やはり偽装だったんだな。前線を離れるための口実か」

ラグランジュは柔らかく目を細めた。

「懐かしいね。十年も前のことなのに、まるで昨日のことのように思える」

と最後に会ったのはお前だった」

ルベリエはラグランジュを睨み据え、底冷えのする目つきで言った。

「あいつをどこへやった」

ラグランジュは朗らかな笑い声を立てた。

「思ったとおりだ。やっぱり君は、俺にとって一番厄介な相手だったね。だからこそ俺はあの日、真っ先に君に声をかけたんだ」

ルベリエの顔が歪む。
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