174 / 174
終章
172
しおりを挟む
「それよりルート、お前さんが笑うなんて、何かいいことあったのかよ」
「別に」
「別にじゃねえだろ、教えろよ」
せがむレッドを、ルートは鬱陶しそうに振り払う。
ルベリエは腕時計に目を落とすと、
「行くぞ。そろそろ午餐会が始まる」
「ごちそういっぱい食べられるんだよね。楽しみだなあ」
今にもよだれを垂らしそうな様子でうっとりしているフィンを見て、ユリシスは困り顔で言った。
「いいかいフィン。言っておくが、きちんと食事のときもマナーを守るんだよ。この間、僕が教えたとおりに」
「大丈夫だよ。俺、スープはスプーンで飲む。肉も手づかみで食べない!ね?偉いでしょ」
「偉いでしょじゃねえよ。当たり前だろ。お前のせいで俺らまで非常識と思われるんだからな」とレッド。
「あ、あれ!」
そのとき、突然フィンが叫んで空を指さし、四人はつられて顔を上げた。
「何だよ」
レッドが怪訝な顔をし、
「どうしたんだい?」
ユリシスが物柔らかく問いかける。
ルベリエの瞳は注意深く空を見るが、あるのは白くたなびく雲ばかりである。
「あのね、今」
フィンは空の彼方を指して、
「あっちに向かって、金色の鳥が飛んでいったよ」
「金の鳥?」
レッドは目を剥いた。
「それってまさか」
ユリシスの語尾が興奮気味にかすれる。
「すっごく綺麗な鳥だったよ」
フィンはにっこりして、ルートの方を見上げて首を傾げた。
「ね?ルート」
彼らの先を歩いていたルベリエが振り向き、「どうなんだ」と促す。
ルートは黙って微笑を浮かべ、その菫色の目は遠く空の彼方を見つめていた。
【終わり】
「別に」
「別にじゃねえだろ、教えろよ」
せがむレッドを、ルートは鬱陶しそうに振り払う。
ルベリエは腕時計に目を落とすと、
「行くぞ。そろそろ午餐会が始まる」
「ごちそういっぱい食べられるんだよね。楽しみだなあ」
今にもよだれを垂らしそうな様子でうっとりしているフィンを見て、ユリシスは困り顔で言った。
「いいかいフィン。言っておくが、きちんと食事のときもマナーを守るんだよ。この間、僕が教えたとおりに」
「大丈夫だよ。俺、スープはスプーンで飲む。肉も手づかみで食べない!ね?偉いでしょ」
「偉いでしょじゃねえよ。当たり前だろ。お前のせいで俺らまで非常識と思われるんだからな」とレッド。
「あ、あれ!」
そのとき、突然フィンが叫んで空を指さし、四人はつられて顔を上げた。
「何だよ」
レッドが怪訝な顔をし、
「どうしたんだい?」
ユリシスが物柔らかく問いかける。
ルベリエの瞳は注意深く空を見るが、あるのは白くたなびく雲ばかりである。
「あのね、今」
フィンは空の彼方を指して、
「あっちに向かって、金色の鳥が飛んでいったよ」
「金の鳥?」
レッドは目を剥いた。
「それってまさか」
ユリシスの語尾が興奮気味にかすれる。
「すっごく綺麗な鳥だったよ」
フィンはにっこりして、ルートの方を見上げて首を傾げた。
「ね?ルート」
彼らの先を歩いていたルベリエが振り向き、「どうなんだ」と促す。
ルートは黙って微笑を浮かべ、その菫色の目は遠く空の彼方を見つめていた。
【終わり】
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
【完結】氷の令嬢は王子様の熱で溶かされる
花草青依
恋愛
"氷の令嬢"と揶揄されているイザベラは学園の卒業パーティで婚約者から婚約破棄を言い渡された。それを受け入れて帰ろうとした矢先、エドワード王太子からの求婚を受ける。エドワードに対して関心を持っていなかったイザベラだが、彼の恋人として振る舞ううちに、彼女は少しずつ変わっていく。 ■《夢見る乙女のメモリアルシリーズ》2作目 ■拙作『捨てられた悪役令嬢は大公殿下との新たな恋に夢を見る』と同じ世界の話ですが、続編ではないです。王道の恋愛物(のつもり) ■第17回恋愛小説大賞にエントリーしています ■画像は生成AI(ChatGPT)
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
竜皇女と呼ばれた娘
Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた
ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる
その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ
国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……
ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?
ねーさん
恋愛
アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。
何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。
何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。
「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す
RINFAM
ファンタジー
なんの罰ゲームだ、これ!!!!
あああああ!!!
本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!
そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!
一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!
かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。
年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。
4コマ漫画版もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
感想をいただきありがとうございます!もう50話まで読んでいただいたんですね、嬉しいです❤
温かいお言葉、痛み入ります。本当に励みになります……!
ぜひ引き続きお付き合いいただけると幸いです。よろしくお願いいたしますm(__)m
11話まで読みました!
フィンが強すぎる😂
お気に入り登録させていただきます!
ご閲覧、お気に入り登録いただきありがとうございます!すごく嬉しいです……!
フィンの強さ(ヤバさ)はこれからかもしれません(´∀`*)ウフフ
毎日更新してまいりますね、どうぞよろしくお願いいたします。
おもしろい!
お気に入りに登録しました~
お読みいただき、ありがとうございます!毎日更新します~