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第一章
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「ったく、返事くらいしろよなあ」
「何?なんか言った」
「いや、何もないです」
バイト先の先輩・前田はにやにや笑う。
彼はたしか三年生だと言った。
外見は普通なのだが、内面がぶっ飛んでいる。
「眠そうだねー有澤ちゃん。さっきからボーっとしてるわよう?」
「何すかその言い方。気持ち悪いっすよ」
「んふふー恋わずらい?」
そんな贅沢な悩みができるなら人生バラ色だろう。
いまだかつて、そんな思いをしたことがない真啓は邪険にやり返した。
「昨日夜勤だったんすよ」
「なんだそれ。つまんね」
おネエ口調に飽きたのか、前田は顔の後ろで手を組んで伸びをした。
エアースポットと言うべきか、時間帯によってぽっかりと客足が途絶えることがある。
陳列や伝票整理など、やるべき仕事は山のようにあるのだが、二人してポテトを食べたり雑誌をめくったりして、だらだらサボっていた。
初めてシフトに入ったとき、『店長いないとやりたい放題だよ』と耳打ちしたのも前田だった。
彼は一年のときから、このコンビニで働いているらしい。麻雀と酒とパチンコに明け暮れる真性の廃人だ。
なのに、とびっきり可愛い彼女がいるっていうんだから恐れ入る。
幻覚なんじゃないかと、真啓は今でも疑っている。
「何?なんか言った」
「いや、何もないです」
バイト先の先輩・前田はにやにや笑う。
彼はたしか三年生だと言った。
外見は普通なのだが、内面がぶっ飛んでいる。
「眠そうだねー有澤ちゃん。さっきからボーっとしてるわよう?」
「何すかその言い方。気持ち悪いっすよ」
「んふふー恋わずらい?」
そんな贅沢な悩みができるなら人生バラ色だろう。
いまだかつて、そんな思いをしたことがない真啓は邪険にやり返した。
「昨日夜勤だったんすよ」
「なんだそれ。つまんね」
おネエ口調に飽きたのか、前田は顔の後ろで手を組んで伸びをした。
エアースポットと言うべきか、時間帯によってぽっかりと客足が途絶えることがある。
陳列や伝票整理など、やるべき仕事は山のようにあるのだが、二人してポテトを食べたり雑誌をめくったりして、だらだらサボっていた。
初めてシフトに入ったとき、『店長いないとやりたい放題だよ』と耳打ちしたのも前田だった。
彼は一年のときから、このコンビニで働いているらしい。麻雀と酒とパチンコに明け暮れる真性の廃人だ。
なのに、とびっきり可愛い彼女がいるっていうんだから恐れ入る。
幻覚なんじゃないかと、真啓は今でも疑っている。
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