ウェルテルの陰謀 －美少女と美少年(？)に囲まれた俺の運命やいかに？ー

第一章

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ともかく、真啓は彼女の姿をちらちらと目で追ってしまうことが増えた。

自覚したのは、つい三日ほど前からだ。

気になる彼女は、授業中は真剣に話を聞いていたり、たまに寝こけていたりする。

そんな無防備な様子がかわいらしい。

相変わらず友達は少ないらしく、休み時間も授業中も一人でいることが多い。

真啓が公香と二人で歩いているとき、目が合うと、微笑んで会釈を返す。

おとなしやかで、礼儀正しくて、実家住まいで、お酒が弱い。

彼女――都築理紗について、真啓が持っている情報はそれくらいだった。

公香といえば、相変わらず女子の人気者で、ところ構わず声をかけられる。

もはや学内でも有名であり、一年生にして神のようにもてはやされている。

しかも、認めたくないことだが、男にも密かに人気がある。

だが、公香は男には愛想が悪く、声をかけられただけで機嫌が悪くなり、邪険にあしらってしまう。

時には無視することもあるくらいだ。

「何でお前、そんな男に態度悪いの？」

「そうか？別に普通だと思うけど」

真啓は驚愕した。自覚してないのか。

「いやだって、挨拶されてもスルーするじゃん」

ああ、と公香は気のないふうで、

「別にいいだろ。何か面倒くさいし」

面倒くさい、で済ませていいものだろうか。

相変わらず思考回路が全く読めない奴だ。