ウェルテルの陰謀 －美少女と美少年(？)に囲まれた俺の運命やいかに？ー

第一章

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公香といると痛快な気分になれる。

それは、他の人間ならしがらみや世間体や評価を気にして縮こまってしまうところを、あっさり飛び越えて既成概念をぶち壊してしまうからだ。

もちろん、はた迷惑であることに変わりはなく、真啓はその被害の直撃を受けたり、災難の余波をもろに食らったり、尻ぬぐいをするのにあたふたすることになる。

この間なんか、ハゲの教授の頭に光を鏡で反射させて教室を爆笑の渦に巻き込んだ。

実行犯は公香だったが、なぜか真啓も罪をなすりつけられ、二人して後でしこたま怒られた。

あの授業は単位が来ない覚悟をしておいたほうがいいかもしれない。

いつも何かしら悪だくみを考えて、にやにやしているから困る。手に負えないいたずらっ子のようだ。

それでも公香は、何をしでかしても憎めない魅力があった。全身から溢れ出すような生命力と躍動感に満ちていた。

ぐいぐいと人や目線を惹きつけて離さない求心力がうらやましく、まぶしかった。

公香を連れて歩くと、あちこちから興味と称賛の眼差しが注がれるのが分かる。

ちょっと得意げになってしまうが、こちとら常に猛獣の被害を食らってるんだ、それくらいの役得があったっていいだろ？

彼女は周りの人間にどう思われても一切構わないという意思に基づいて、自由気ままに振る舞う。

だが逆に言えば、誰にも心を許さず、大切な人を作らないという意味でもある。

それが分からないほど、真啓は馬鹿ではなかった。

公香は本当の意味で誰かに心を開かない。

かわいがっている女子たちにも親切に優しく接するが、どこか一線を引いて付き合っている感じがする。

指摘したところで、この間のように一蹴されるのが関の山だろうけれど。