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第二章
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おかげで、コンビニのバイトは気もそぞろだった。
簡単なレジ打ちをミスして先輩に笑われ、煙草の銘柄を間違えて客に罵られ、散々な思いで何とか働き終えた。
あの青年――明るく快活そのものに見えたが、どうしてどうして信用ならない相手だ。
偶然あの詩を見つけたことは、ある意味僥倖だった。
脅迫状の差出人だと安直に結びつけてしまうのもどうかと思うが、香田昇はこの件に無関係とは到底言いきれない。
里香に連絡しようかと思うが、あの子はまた騒いで、しっちゃかめっちゃかかき乱すだろうと思うと、慎重にならざるを得なかった。
街灯のあたりまで来て、スマホを見たとき、妙な気配を感じ取って真啓は足を止めた。
不穏な空気が背中あたりを強張らせている。
誰かいる。
その気配が、得体の知れない化け物のように迫ってくる。
金縛りにあったように動けない。背筋を冷や汗がだらだらとつたう。
勇気を振り絞って振り向くと、道の角からぬうっと誰かが現れた。
「ひっ」
もうビビるとかいうレベルではなかった。失禁しなかったことを褒めてほしいくらいだ。
吸いこんだ息が喉を塞ぎ、見開いた目が回りそうになる。
「うおっすいません!」
ビビりすぎた真啓に逆に恐縮したのか――あれ、これってデジャ・ヴ?――少年は勢いよく直角に頭を下げた。
目を凝らしてよくよく見ると、それはお化けでも何でもなかった。
「お前……ってか君は」
相変わらずいい感じに着崩した制服、きっちりとセットされた茶髪。小綺麗な顔と出で立ちの高校生。
この間、里香とコンビニ内で壮絶な鬼ごっこを演じた奴だとようやく分かった。
「なななな何か用?」
みっともないとは思いつつも、最近、脅迫状を皮切りに許容不可能なレベルのパニックが目白押しでてんてこ舞いだ。
どんなに歯を食いしばっても、膝が震えるのを止められない。
簡単なレジ打ちをミスして先輩に笑われ、煙草の銘柄を間違えて客に罵られ、散々な思いで何とか働き終えた。
あの青年――明るく快活そのものに見えたが、どうしてどうして信用ならない相手だ。
偶然あの詩を見つけたことは、ある意味僥倖だった。
脅迫状の差出人だと安直に結びつけてしまうのもどうかと思うが、香田昇はこの件に無関係とは到底言いきれない。
里香に連絡しようかと思うが、あの子はまた騒いで、しっちゃかめっちゃかかき乱すだろうと思うと、慎重にならざるを得なかった。
街灯のあたりまで来て、スマホを見たとき、妙な気配を感じ取って真啓は足を止めた。
不穏な空気が背中あたりを強張らせている。
誰かいる。
その気配が、得体の知れない化け物のように迫ってくる。
金縛りにあったように動けない。背筋を冷や汗がだらだらとつたう。
勇気を振り絞って振り向くと、道の角からぬうっと誰かが現れた。
「ひっ」
もうビビるとかいうレベルではなかった。失禁しなかったことを褒めてほしいくらいだ。
吸いこんだ息が喉を塞ぎ、見開いた目が回りそうになる。
「うおっすいません!」
ビビりすぎた真啓に逆に恐縮したのか――あれ、これってデジャ・ヴ?――少年は勢いよく直角に頭を下げた。
目を凝らしてよくよく見ると、それはお化けでも何でもなかった。
「お前……ってか君は」
相変わらずいい感じに着崩した制服、きっちりとセットされた茶髪。小綺麗な顔と出で立ちの高校生。
この間、里香とコンビニ内で壮絶な鬼ごっこを演じた奴だとようやく分かった。
「なななな何か用?」
みっともないとは思いつつも、最近、脅迫状を皮切りに許容不可能なレベルのパニックが目白押しでてんてこ舞いだ。
どんなに歯を食いしばっても、膝が震えるのを止められない。
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