ウェルテルの陰謀 －美少女と美少年(？)に囲まれた俺の運命やいかに？ー

第二章

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――そこは、駅にほど近い大型ディスカウントショップだった。

適度に狭く、人でごった返した店内で、和臣は目当ての品を物色していた。

購入するつもりではない。彼は、別の方法で商品を手に入れるつもりだった。

節約とスリル、二つを満たすことができるやり方で。

今日も、いつものように店員や他の客の目を盗み、整髪料コーナーに足を運ぶ。

緊張を気取られないように、あくまでも自然に。

色とりどりのワックスやジェルが並んでいるのを眺めると、そのうちの一つにそっと手を伸ばし、目にも留まらぬ素早さで鞄に入れ――

背中をたたかれて飛び上がった。

「やめたほうがいいですよ」

瞬間的に振り返ると、そこに立っていたのは、彼の腰あたりまでしか背丈のない子供だった。

少年は手の中でワックスをもてあそびながら、無表情で言った。

「リゲルは白く固まるんです。セット力重視なら、ファイバーＮＥＯがおすすめですよ」

和臣は、ゆっくりと自分の鞄に目を落とした。

リゲルは、先ほど入れた整髪剤の名前だった。

再び少年へと目を向ける。

こいつ――いつから見て――

「取引しませんか」

その子供は年齢に似合わぬ冷静さで、和臣の目を捉えたまま言った。

「取引……」

声がかすれて裏返った。

「そうです。私立宇都宮高校、吉村和臣さん」

ぎょっとして思わず後ずさった和臣に、少年は不吉な笑みを向けた。


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「それで俺は、公香さんが事件について何か覚えているか、思い出したり調べている様子はないか、探るよう言われたんです」

「子供？それも、そんな小さな」

真啓が呟いた横で、

「で、そいつの名前は」

「聞いていません。教えてもらえなかったので」

「顔は？写真はないのか」

「勘弁してください。脅されていたんです、そんなことできるはずない」

確かに、私立の学校じゃ校則は桁違いに厳しい。

万引きがばれたら最低でも停学、下手したら退学だ。内申書に傷がつくどころの話ではない。

「ガキ相手に情けないな」

「公香。もうよそう。吉村君は、本当に何も知らされていないみたいだから」

「だけど、」

「大丈夫だよ」

真啓は自分なりに力強く笑ってみせた。

「当ては外れたけど、その子は何か知ってるはずだ。見つけ出そう。俺に、考えがあるんだ」