女子高生占い師の事件簿

【２】リロケーション

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亜子が校舎から走って出てきたのを認め、律は軽く手を上げた。

「俺が来たときから、男は俺しかいなかったぞ」

校門で待ち伏せされているから助けてくれ、とラインにはそう書かれていたはずだ。

律が尋ねると、亜子はそわそわして辺りを伺った。

「諦めて、帰ってくれたならいいんですけど……」

その顔は血の気が失せて真っ白だった。

律は眉を寄せた。

「お前、顔色悪いぞ。具合悪いのか？」

それとも、精神的に相当追い詰められているということだろうか。

亜子の性格からして、両親に心配をかけまいと、このことは黙っているに違いない。

そんな亜子がようやく腹を割って話してくれたのに、自分は先日それを半ば突っぱねる形で話を切った。

罪悪感に胸がうずく。

「大丈夫……です」

亜子は律から数歩あとずさり、手を振った。だが、声にも力がないことは明白だった。

「とにかく、家まで送ってくから」

今日はほぼ無風の上に、湿度が高くて蒸し暑い。涼しい場所で休ませたほうがいいかもしれない。

律がタクシーを拾おうとしたとき、亜子のスマホが震え出した。