女子高生占い師の事件簿

凪子

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【2】リロケーション

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恵果は律が眉をひそめると思った。

もしくは、不機嫌そうな顔をして否定するだろうと。

だが、足を止めて振り返った律は、寂しげに微笑んでいた。

それは、先ほど亜子が見せた表情によく似ていた。

「やめないほうがいいんだ」

「……りっちゃん」

「どんなに苦しくても、あいつは俺を裏切らないと思う」

――あいつの中の『俺』は、架空の人物に過ぎないけれど。

律は心中で呟く。

「ちゃんと勉強して、卒業して、大学に入って。……そういう人生を歩んでほしいんだ」

恵果は目を細めて律を見つめ、やがて息をついた。

「なるほどね。……ちゃんと気づいてるんじゃない」

皮肉だった。

お互いがお互いを巻き込みたくないと必死で守るがゆえに、二人の世界は食い違ってしまったのだ。

家族とも恋人とも違う、それでもかけがえのない存在。

去りゆく律に向かって、恵果は半ば以上、答えの分かっている質問をした。

「いつまで、知らないふりを続けるの?」

何を、と聞かずとも、律は質問の意図を正確に理解していた。

ドアを開けると、生ぬるい風が頬を撫でる。

律は天を仰ぎ、頭上に広がる星を見つめながら、小さく呟いた。

「……一生」



















【2・終わり】
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