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【3】ホラリー
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「彼女に迷惑をかけたくないというあなたの気持ちは、よく分かります」
恵果は穏やかに言った。
こちらに背を向けて座っているが、恐らくいつもの表情を浮かべているのだろう。
見ているこちらの心が洗われるような、まぶしいほど無垢な微笑みを。
清隆は息をついた。
「いえ……正直言うと、僕は彼女が怖くなったんです」
律は鼻を鳴らした。恐らく、こちらが本音だろう。
「K大病院医療過誤の事件は?」
「はい、存じ上げております」
清隆の問いに、恵果は頷いた。
仁科めぐみが携わった事件だ。律は自分の中の仮説に確信を持った。
「彼女は少々、調査に対してやりすぎるきらいがありまして、警察にも煙たがられているんです」
まあテレビを観る限りでも、あの烈火のような性格は敵も作りやすいだろう。
独断専行も多そうだ。
「あのとき、血眼で医療過誤の証言を取ろうとした彼女は、手術に関わった看護師を買収したんです」
「それは……」
口を挟みかけた恵果に、清隆は慌てて手を振った。
「いや、事実を捏造したわけではありません。実際、現場では明らかに吉崎氏はミスを犯したんです。何でも、二日酔いの状態でメスを取ったとか」
律は表情を歪めた。
「その看護師は彼女の遠い親戚で、証言と引き換えに、彼女はその看護師の預金口座に大金を振り込んだんです。
看護師は証言台で証言し、さすがに病院には居辛くなったようで辞めたみたいですが、今ではめぐみさんが他の病院の職を斡旋してあげて、そこに勤めているようです」
徐々に興奮が抑えきれなくなってきているのが、口調の端々に見てとれる。
うっかり婚約者の名前まで口にしている。
恵果は穏やかに言った。
こちらに背を向けて座っているが、恐らくいつもの表情を浮かべているのだろう。
見ているこちらの心が洗われるような、まぶしいほど無垢な微笑みを。
清隆は息をついた。
「いえ……正直言うと、僕は彼女が怖くなったんです」
律は鼻を鳴らした。恐らく、こちらが本音だろう。
「K大病院医療過誤の事件は?」
「はい、存じ上げております」
清隆の問いに、恵果は頷いた。
仁科めぐみが携わった事件だ。律は自分の中の仮説に確信を持った。
「彼女は少々、調査に対してやりすぎるきらいがありまして、警察にも煙たがられているんです」
まあテレビを観る限りでも、あの烈火のような性格は敵も作りやすいだろう。
独断専行も多そうだ。
「あのとき、血眼で医療過誤の証言を取ろうとした彼女は、手術に関わった看護師を買収したんです」
「それは……」
口を挟みかけた恵果に、清隆は慌てて手を振った。
「いや、事実を捏造したわけではありません。実際、現場では明らかに吉崎氏はミスを犯したんです。何でも、二日酔いの状態でメスを取ったとか」
律は表情を歪めた。
「その看護師は彼女の遠い親戚で、証言と引き換えに、彼女はその看護師の預金口座に大金を振り込んだんです。
看護師は証言台で証言し、さすがに病院には居辛くなったようで辞めたみたいですが、今ではめぐみさんが他の病院の職を斡旋してあげて、そこに勤めているようです」
徐々に興奮が抑えきれなくなってきているのが、口調の端々に見てとれる。
うっかり婚約者の名前まで口にしている。
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