女子高生占い師の事件簿

【４】トランジット

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「……すごいな。よく分かったね」

「星は嘘をつかないもの」

恐らく――恵果は仮説を述べた。

これ以上、恵果と接触すれば、巳喜男ではなく『恵果に危害を加える』と脅したのだろう。

巳喜男の真意を測るために。

「そ。それを無視したから、君がこういう目に遭った。大沢巳喜男は、君の占いのおかげで天下を取ったも同然なのに、君自身がどうなろうと構わないってわけだ。ひどいと思わない？」

恵果は静かに睫毛をおろした。

「そうね」

「恩を仇で返すような奴だ。このままだと、あいつは一生君を利用し続けるだろう。ただ莫大な金を積むだけで、本当の意味で君の価値を認めることはない」

とうとうと語る恭平を見つめ、恵果は感心していた。

軽薄なだけの捨て駒かと思っていたが、なかなかどうして人の心をつかむ話術に長けている。

「そんなことでいいのか？君はもっと、他の人の元でその素晴らしい力を役立てるべきじゃないか？
君を敬い、大切にし、心から信用してくれる人のために」

恵果を信じず、占いを信じず、あげくに苦情だけを並べ立てる依頼人は多い。

当たり外れだけを気にして、大局を見通すだけの度量がない人もしょっちゅうだ。

彼らは、はけ口が欲しいだけなのだ。不幸になった原因を恵果に押しつければ、それで満足する。

恵果のことなど、どこにでもいるインチキ占い師としか認識していない。