女子高生占い師の事件簿

凪子

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【4】トランジット

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「そろそろ歌ってる時間じゃないの?」

「ん?今日はやめ」

律は水を飲んだ。

そして、恵果の耳元に口を寄せた。

「変な奴、いたろ」

恵果は心臓が鳴り響くのが分かった。

目を見開き、ごくりと唾を飲む。

「みどりさんと、加奈子って子が心配だったから」

小声で言われ、恵果は胸を押さえて息をついた。

「……ありがとう」

いつになく大人しい恵果を見て、律は剣呑な顔をした。

「元気ないな。どうした?」

「そう?大丈夫だよ」

恵果は話題を逸らすために、わざと明るく言った。

「比呂は?」

律の表情が引きつる。

「へえ、比呂になら話せるってか」

恵果はすぐに誤解に気づいた。とりなすように笑う。

「そうじゃないよ。妬いてるの?りっちゃん」

「比呂なら、ふらっと出てって、そのまんまだよ」

律はむすっとして言った。なぜだか、むしょうに腹が立っていた。

恵果がこんなふうに何かをはぐらかすのは、いつものことなのに。

「そう……。もう、ここには来ないかもしれないね」

恵果の含みのある言い方を、律は跳ね返した。

「ふーん。何があったか知らないけど、またあいつに慰めてもらえば?」

恵果の表情が強張るのを見て、律はしまったと思った。

だが、もう後の祭りだ。
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