女子高生占い師の事件簿

【５】イベントチャート

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映画館で暇をつぶした静が帰ってきたのは夕刻だった。

恵果はキッチンで夕飯を作っていた。

「お帰りなさい」

「お前の手料理食べるのも久しぶりだな」

静は手を洗いながら言った。

香ばしい匂いがすきっ腹に染みる。豚肉の生姜焼き、と予想して洗面所を出る。

「かわいい子でしょ」

自慢げに恵果が言った。意味が分からず静は目で問い返す。

「加奈ちゃん」

「……ああ」

ようやく合点した静は、リスのようにくりっとした瞳の少女を思い起こす。

「まだ中学生だろ。そんな年から、あんなに装うことを覚えてどうするんだよって気はするな」

加奈子の洗練された服装や化粧を指して言っているのだろう。

「やあね。おじいさんみたいなこと言わないでよ。今時の中学生はおしゃれだよ～」

恵果は屈託なく笑った。

「四年前だったかな、最後に会ったのは。あそこを出る挨拶しに行って以来だもんな。……まあ、覚えてないみたいだったけど」

「お兄ちゃん、変わったから。初対面みたいな気がして当然よ」

それに加奈子は四年前、まだ八歳の子供だった。

恵果は懐かしむように目を細めた。

四年前。自分が中学に入ったばかりで、静は奨学金で大学に行くと決めたころだ。

そして――二人にとって唯一最愛の親を亡くしたころだ。

なすすべもなく途方にくれていた二人を、叔母の山瀬みどりは当然のように引き取ってくれた。

静の住む場所を探し、資金繰りをしてくれたのもみどりだ。