女子高生占い師の事件簿

【５】イベントチャート

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半年が過ぎ、高校を出るとすぐに静はみどりの家を出た。

株の投資を始めて金を稼ぎ、一人で暮らしていくだけの生活費を得て、少しずつみどりに返した。

みどりは「要らない」と言って、受け取るのに随分と渋ったけれど。

差し伸べられた手はあまりに暖かく、それにすがる以外、生きていくすべを持たなかった。

夕飯の配膳がすむと、椅子に腰かけた静は重い口を開いた。

「あいつは、ここへ来るぞ」

恵果は湯気の上がる食卓から、静の端正な顔に目を移した。

戸惑いも怯えもなく、全てを受け入れる覚悟をした顔だ。

どんな石が投げ込まれようとも、心の水面に波紋を作ることはできない。

「この場所を知ってる。今度は実力行使でお前を手に入れようとするかもしれない」

「大丈夫よ。まだ利用価値があると思われているうちは」

豚肉の生姜焼きは、静の好きなメニューだった。

ほうれん草のおひたしと、だし巻き卵と味噌汁も。

静はテーブルに目を落とし、拳を握り締めた。唇が小刻みに震えるのが分かった。

「あいつを……あいつらを許すのか。俺たちのことを、人間とも思ってない連中を」

恵果は割り箸を割り、「いただきます」と頭を下げた。

「恵果。俺はお前がうらやましいよ。何でそんなに高潔でいられるんだ？」

静の痛切な問いかけに、恵果は首を横に振って答えた。

「私も、お兄ちゃんが言うほど善人じゃないわ」

穏やかなその声には、万感の思いが込められていた。箸をとった静が動作を止める。

恵果は目を伏せ、自嘲するように言った。

「……許すことで、復讐してるのかもしれない」

と。