女子高生占い師の事件簿

【５】イベントチャート

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「私が教えなくても、あなたはもう恵果さんの居場所を突き止めた」

亜子は興奮のあまり、棒読みな言い方になった。

比呂が眉を上げた。

「へえ？」

「あなたは恵果さんの何？恵果さんに何をするつもり？」

比呂は面白がるように笑い、数歩の距離を置いたまま対峙する少女を、目を細めて見つめた。

その着崩したスーツの襟元に、Ｆをかたどった社員証を認め、亜子は戦慄した。

藤森グループ。

藤森電工を筆頭として、鉄鋼、電気、繊維、運輸、精密機械、自動車――あらゆる産業を網羅し、全ての分野で世界水準を大きく上回る製品を生み出している大企業だ。

日本車の三分の一は部品に藤森のものを使い、家電のほとんどは藤森に関係する工場で作られ、携帯電話産業はその技術力で大きくリードし、他の追随を許さない。

最近では女性向けのサプリメントや下着を発売し、成功を収めている。

藤森家は由緒正しい名家である。

苗字が違う傍系を含めれば、その血を引くものは優に万を越える。

「あなたは、藤森の人なのね」

比呂はその質問には答えず、さらりとこう言った。

「君が最初から俺を嫌っていたことは知ってたよ。亜子ちゃん」

亜子は言い返さなかった。

――そのとおりだった。

もやもやと胸の中にわだかまり、形を作らなかった懸念の正体が、今ようやく分かった。