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【5】イベントチャート
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応接間に通されると、それまで座っていた亜子が弾かれたように立ち上がり、恵果のそばへ文字どおり飛んできた。
「平気?怪我はない?」
恵果は亜子の無事を確かめ、安堵したように息をついた。
「ごめんなさい、恵果さん。私のせいで……」
たどたどしく謝る亜子を、恵果は両肩を押さえることで宥めた。
「ううん、謝りたいのは私のほう。ごめんね、巻き込んで。亜子ちゃんが無事でよかった……」
何もされなかったとはいえ、数時間監禁されたのだ。亜子には相当に怖い思いをさせてしまっただろう。
「君たちは何で言うことを聞いてくれないのかな。本当に手こずったよ」
扉の脇で静観していた比呂が、顎に手をかけたまま言った。
亜子は鬼気迫る形相で比呂を睨みつけた。
「このまま、亜子ちゃんを人質にとったまま話をするのは簡単だ。だけど」
「亜子ちゃんを無事に帰さない限り、何の話も聞く気はありません。そのために、わざわざ足を運んだのよ」
「だろうね。そう言うと思った」
比呂はにやりと笑った。
「無理やり君に占わせても、正しい結果は得られない。君の占いは、君自身が心に何のわだかまりを抱えていないことで、初めて威力を発揮するものだから」
「よく分かってるじゃない」
恵果は呆れたように言った。
「短い付き合いでも、それくらいは分かるよ。この方を丁重にお送りして」
比呂は使用人に声をかけた。
女は深く一礼すると、亜子を促して部屋を退出した。
亜子は不安げに何度も恵果を振り返ったが、恵果は笑顔で手を振り、やがて足音は遠ざかった。
「まあ、かけなよ」
比呂はくつろいだ様子で――彼の実家なのだから当然だが――黒い革張りのソファーに腰かけて給仕を受けている。
恵果は比呂の正面に着席すると、細い指で前髪をかきあげた。
「あなたが私に近づいたのは、私と親密になって、藤森に引き込めっていうお父さんの命令?」
恵果は疑問でも予測でもなく、基本事項を確認するような口調で言った。
「そう。でも、とっくに気づいてたね。もともと君が【RITZ】を見に来てくれたのは、しかも、分かりやすく何度も来てくれたのは、僕にきっかけを作ってくれたんだろ?」
恵果は否定も肯定もせず、出されたケーキにフォークを入れた。
「平気?怪我はない?」
恵果は亜子の無事を確かめ、安堵したように息をついた。
「ごめんなさい、恵果さん。私のせいで……」
たどたどしく謝る亜子を、恵果は両肩を押さえることで宥めた。
「ううん、謝りたいのは私のほう。ごめんね、巻き込んで。亜子ちゃんが無事でよかった……」
何もされなかったとはいえ、数時間監禁されたのだ。亜子には相当に怖い思いをさせてしまっただろう。
「君たちは何で言うことを聞いてくれないのかな。本当に手こずったよ」
扉の脇で静観していた比呂が、顎に手をかけたまま言った。
亜子は鬼気迫る形相で比呂を睨みつけた。
「このまま、亜子ちゃんを人質にとったまま話をするのは簡単だ。だけど」
「亜子ちゃんを無事に帰さない限り、何の話も聞く気はありません。そのために、わざわざ足を運んだのよ」
「だろうね。そう言うと思った」
比呂はにやりと笑った。
「無理やり君に占わせても、正しい結果は得られない。君の占いは、君自身が心に何のわだかまりを抱えていないことで、初めて威力を発揮するものだから」
「よく分かってるじゃない」
恵果は呆れたように言った。
「短い付き合いでも、それくらいは分かるよ。この方を丁重にお送りして」
比呂は使用人に声をかけた。
女は深く一礼すると、亜子を促して部屋を退出した。
亜子は不安げに何度も恵果を振り返ったが、恵果は笑顔で手を振り、やがて足音は遠ざかった。
「まあ、かけなよ」
比呂はくつろいだ様子で――彼の実家なのだから当然だが――黒い革張りのソファーに腰かけて給仕を受けている。
恵果は比呂の正面に着席すると、細い指で前髪をかきあげた。
「あなたが私に近づいたのは、私と親密になって、藤森に引き込めっていうお父さんの命令?」
恵果は疑問でも予測でもなく、基本事項を確認するような口調で言った。
「そう。でも、とっくに気づいてたね。もともと君が【RITZ】を見に来てくれたのは、しかも、分かりやすく何度も来てくれたのは、僕にきっかけを作ってくれたんだろ?」
恵果は否定も肯定もせず、出されたケーキにフォークを入れた。
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