ディエス・イレ ~運命の時~

凪子

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本編

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爽君は虚を突かれた表情をしていたが、やがて我に返り、皮肉っぽい笑みを浮かべる。

「男に告られても嬉しくねぇな」

「ははっ。その言い方も爽兄っぽい」

懐かしいね、と紘ちゃんは独り言のようにしみじみと言った。

出てくる料理やお皿は美しく洗練されていて、説明を受けても私には何が何やらさっぱり分からなかった。

けど、どれもこれも美味しかった。

メインの肉料理が済んだころ、爽君が席を立った。

もう終わりなのかと思い、私と紘ちゃんも立ち上がる。

だが、「煙草だよ」と爽君は指を二本立てて、煙草を吸う仕草をしてみせた。

「あとはデザートが出てくるはずだから、しばらく待ってな」

「あ、俺、トイレ行ってくる」

紘ちゃんが言って立ち上がり、二人は並んでレストランを出ていった。

私は一人席に残り、窓の外に広がる夜景を眺める。

満腹で心も満たされ、心地よい眠気を感じた。

(楽しかったな)

最初はどうなることかと思ったけど、やっぱり三人でここへ来てよかった。

食事代を出してもらった爽君には申し訳ないけど。

こんな高級レストランなんて、高校生の私には縁がないところだ。

爽君だって、日本で言うなら大学三年生なんだし、気軽に来られるような場所じゃないはずだ。

(やっぱり、アメリカだとこういうのが普通なのかな……)

高校生でも大人顔負けで遊び場に出入りしたり、パーティー三昧だったりするのだろうか。

堂々としている爽君を見ると、格好いいと思う反面、ちょっぴり悔しくもある。
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