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本編
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「コーヒーと紅茶、どちらになさいますか」
「えっと、じゃコーヒーで。ミルクとお砂糖もお願いします」
「かしこまりました」
職業的な洗練された動きで、ウェイターは厨房へと去っていく。
デザートの苺のケーキ、チーズフロマージュ、フランボワーズのシャーベットが運ばれてきても、まだ二人は帰ってこなかった。
さすがに所在なくなってきて、私はスマホを見た。
午後八時四十五分。思った以上に話しこんでしまったらしい。
せめてシャーベットだけでも溶ける前に食べようと、スプーンで一口すくったところ、爽君が席に着いた。
少し青ざめた顔をしているのは気のせいだろうか。
私が指摘しようとすると、彼が口を開いた。
「紘二は?」
「え? まだだけど」
「そうか」
「一緒じゃないの?」
「ああ」
と言い置き、爽君はテーブルの上に視線を落とす。
だが、デザートに見入っているわけではないのは確かだった。
「どうしたの。顔色悪いよ」
私が言うと、爽君は「そうか?」と首をひねる。
「きっと煙草のせいだよ。体に悪いんだからやめないと」
「俺は不死身だからいいんだよ」
爽君はにやりと笑った。綺麗な歯並びの白い歯がこぼれる。
「えっと、じゃコーヒーで。ミルクとお砂糖もお願いします」
「かしこまりました」
職業的な洗練された動きで、ウェイターは厨房へと去っていく。
デザートの苺のケーキ、チーズフロマージュ、フランボワーズのシャーベットが運ばれてきても、まだ二人は帰ってこなかった。
さすがに所在なくなってきて、私はスマホを見た。
午後八時四十五分。思った以上に話しこんでしまったらしい。
せめてシャーベットだけでも溶ける前に食べようと、スプーンで一口すくったところ、爽君が席に着いた。
少し青ざめた顔をしているのは気のせいだろうか。
私が指摘しようとすると、彼が口を開いた。
「紘二は?」
「え? まだだけど」
「そうか」
「一緒じゃないの?」
「ああ」
と言い置き、爽君はテーブルの上に視線を落とす。
だが、デザートに見入っているわけではないのは確かだった。
「どうしたの。顔色悪いよ」
私が言うと、爽君は「そうか?」と首をひねる。
「きっと煙草のせいだよ。体に悪いんだからやめないと」
「俺は不死身だからいいんだよ」
爽君はにやりと笑った。綺麗な歯並びの白い歯がこぼれる。
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