ディエス・イレ ~運命の時~

凪子

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本編

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私が食べ終えても、爽君はデザートにも運ばれてきたコーヒーにも口すらつけなかった。

ただ、黙ってじっと私のことを見つめている。

気詰まりなほどの沈黙と凝視に、私は身構えた。

「……食べないの?」

「舞、話がある」

ほぼ同時に発声したので言葉が重なり、私は聞き返した。

「え、何て?」

「今日お前を誘ったのは、この話がしたかったからだ」

私は頷いた。

爽君の張りつめた瞳を見れば、それが真剣な話題であることは容易に察せられた。

爽君は真っすぐ私を見ると、静かな声で言った。

「舞。……俺と結婚してほしい」

ぎょっとして、私は息を呑んだ。

「え?」

(結婚?)

言葉の意味は理解できても、思考が全く追いつかない。

「え? え? 結婚……て私? 私が爽君と結婚するって意味?」

「そうだ」

爽君は落ち着き払っていた。

背中からどっと汗が噴き出す。

信じられない。私と爽君が結婚?
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