ディエス・イレ ~運命の時~

凪子

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本編

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「話したくないことは、無理に答えなくていい。今日はこの辺にしておこう」

腕時計に目を落とすと、爽君は話を切り上げようとした。

「待って」

気がついたら、その袖を掴んでいた。

爽君は驚くでも、手を振り払うでもなく、優しい顔で尋ねた。

「どうした?」

「あ……えっと……」

(言いたい)

本当は、誰かに打ち明けたくてたまらなかった。

でも、頭がおかしい、変な子だと思われたくなくて。

「信じてもらえないかもしれないけど……」

「俺はお前を信じるよ。どんなことがあっても」

ナチュラルに爽君は言った。

これが天然ってやつか。それともアメリカってこうなのか。

その言葉に後押しされて、私は勇気を振り絞って言った。

「時々、変な夢を見るの」

爽君は頷いただけだったが、目の奥に何かがよぎったのが見えた。

「それで……」

ディエス・イレのことを話そうと思ったけれど、どうしても言い出せなくて、口をつぐむ。

そのまま、しばらく沈黙が続いた。

ぽんぽんと頭を撫でられ、私は驚いて顔を上げた。

「話してくれてありがとな」

爽君は文字通りの爽やかな笑顔で言った。

「そうだ、最初に言っておくべきだったな。ここで話した内容は、絶対に外に漏れることはない。
例えば学校側で対処する必要がある問題で、舞の同意が取れた場合は、俺から学校に意見書を提出することもあるが、そういったことがない限り、ここでの会話は誰にも知られることはない。
だから、これからも安心して話しに来てほしい」

「うん……」

私は答えながらも、後ろめたい気持ちがあった。

(まだ全然、何も話せてないのに)

そんな心を見透かしたのか、爽君は言った。

「ゆっくりでいいんだ。舞が話したいと思うときに、話したいと思うことだけ話してくれればいい。誰かに話すだけで気が楽になるってこともあるし」

「うん……ありがとう」

ほっとして、私はようやく少しだけ、微笑むことができた。

(爽君が帰ってきてくれて、よかった)









































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