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本編
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しおりを挟む学園の生徒たちが住まうのは学生寮というより、学生専用マンションだ。
自宅からの距離とは関係なく、中等部からは原則として入寮が義務づけられている。
中等部のマンションは門限もあるし、寮母さんがいてご飯を作ってくれたり、いろいろ世話を焼いてくれる。部屋も相部屋だ。
でも高等部からは、マンションの一室を借りて生活することになる。
普通の一人暮らしと違うのは、マンション内には高等部の同性の生徒しかいないことと、一階に食堂とコンビニ、自習室と学生用サロンが併設されていることぐらいだろうか。
学生寮は複数あるけれど、どれも学校からは徒歩五分の距離で、部屋も綺麗で快適な暮らしを送っている。
私はスノウレジデンスという学生マンションの三〇五号室に住んでいる。
部屋に帰ってきて照明をつけると同時に、鞄の中でスマホが震えた。
ライン電話だ。画面には『めぐみ』の文字が浮かんでいる。
「もしもし?」
『あ、もしもし舞お姉さん? 今大丈夫?』
「久しぶり、恵ちゃん。大丈夫だけど、そっちって今夜中じゃない?」
『うん、二時だよ~』
と言った後、恵ちゃんは流暢な英語で何事か言った。あまりにも早くて聞き取れなかったけれど。
『お兄ちゃん全然連絡くれないから、元気かなと思って』
「ああ~……」
私は思わず顔をしかめた。
恵ちゃんは、爽君の七つ下の妹だ。アメリカに渡ったときは、まだ七歳だった。
今はたしか、ロサンゼルスの学校に通っているはず。
『何かあった?』
私の声の調子で気づいたのか、恵ちゃんは鋭く問いただした。
「あったというか、なかったというか」
私がプロポーズの件を伏せてこれまでの経緯を説明すると、恵ちゃんは大きく息をついた。
『……そんなことだろうと思った。馬鹿お兄ちゃん、日本でもまた馬鹿なことしてるんだね』
これだけ辛辣に爽君をディスれるのは、身内の恵ちゃんぐらいだろう。
清々しさを覚えて、私は少しだけ笑った。
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