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本編
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『で、紘ちゃんって人は大丈夫なの?』
「うん……まだ意識は回復してないけど、きっと大丈夫」
知らず、握りしめた手に爪を立てていた。
『そっか。早くよくなるといいね』
年が離れているので、恵ちゃんは紘ちゃんとはあまり接触がなかった。
そのせいか、反応も淡泊なものだった。
『ねえ舞お姉さん。大変なときにこんなこと頼むの悪いんだけど……お兄ちゃんのこと、しばらく注意して見てあげてくれない?』
十四歳とは思えないほど落ちついた口ぶりは、まるで子を心配する保護者のようだった。
『お兄ちゃんね、日本に行くって言い出してから、一ヶ月ぐらいで行っちゃったの。物すごく焦ってるみたいだった。早く行かないと、取り返しのつかないことが起こるみたいに』
私ははっとした。
恵ちゃんが口にしたのは、レストランのときに感じた違和感そのものだったから。
『臨床心理士のインターンなら、こっちでもできるもん。わざわざ日本に行くってことは、何か理由があるはず。パパやママにも私にも何も言わなかったけど、思い詰めてるみたいで、ちょっと心配で』
「恵ちゃん。爽君は何でカウンセラーになったか知ってる?」
きょとんとしたように、しばらく受話器の向こうから声が消えた。
不自然だったかと思い、慌てて付け足す。
「いや、何かね。爽君って、心理学とか全然興味なさそうだったのになと思って」
『分かる。あの人、人の心に興味ないよね。空気も読めないし』
恵ちゃんはズバッと言い切った。
『……LAに渡ってすぐぐらいじゃないかな。お兄ちゃん中学生だったから、進路の話になって。それでパパとママに相談っていうか、決めたって言ってたのかも。そのときは私もよく分かんなかったんだけどね。お兄ちゃんはお医者さんになるんだって、何となく思ってた』
「そっか」
相づちを打ちながら、私は窓の外を見つめる。
夜のとばりが、優しく空の星々を覆っている。
「うん……まだ意識は回復してないけど、きっと大丈夫」
知らず、握りしめた手に爪を立てていた。
『そっか。早くよくなるといいね』
年が離れているので、恵ちゃんは紘ちゃんとはあまり接触がなかった。
そのせいか、反応も淡泊なものだった。
『ねえ舞お姉さん。大変なときにこんなこと頼むの悪いんだけど……お兄ちゃんのこと、しばらく注意して見てあげてくれない?』
十四歳とは思えないほど落ちついた口ぶりは、まるで子を心配する保護者のようだった。
『お兄ちゃんね、日本に行くって言い出してから、一ヶ月ぐらいで行っちゃったの。物すごく焦ってるみたいだった。早く行かないと、取り返しのつかないことが起こるみたいに』
私ははっとした。
恵ちゃんが口にしたのは、レストランのときに感じた違和感そのものだったから。
『臨床心理士のインターンなら、こっちでもできるもん。わざわざ日本に行くってことは、何か理由があるはず。パパやママにも私にも何も言わなかったけど、思い詰めてるみたいで、ちょっと心配で』
「恵ちゃん。爽君は何でカウンセラーになったか知ってる?」
きょとんとしたように、しばらく受話器の向こうから声が消えた。
不自然だったかと思い、慌てて付け足す。
「いや、何かね。爽君って、心理学とか全然興味なさそうだったのになと思って」
『分かる。あの人、人の心に興味ないよね。空気も読めないし』
恵ちゃんはズバッと言い切った。
『……LAに渡ってすぐぐらいじゃないかな。お兄ちゃん中学生だったから、進路の話になって。それでパパとママに相談っていうか、決めたって言ってたのかも。そのときは私もよく分かんなかったんだけどね。お兄ちゃんはお医者さんになるんだって、何となく思ってた』
「そっか」
相づちを打ちながら、私は窓の外を見つめる。
夜のとばりが、優しく空の星々を覆っている。
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