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本編
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「ごめんね、急に案内なんか頼んじゃって」
「いえ、とんでもないです」
放課後の廊下を先導しながら、私は西日に目を細めた。
まだまだ暑い日が続いているけれど、季節は確実に秋へと近づいている。
「ここが数学準備室です」
立ち止まって手で示すと、私は扉を開けた。
こもった空気と埃の匂いに、軽く咳き込む。
「あんまり使われてないみたいだね」
後ろから入ってきたゆっき先生が言った。
「そうみたいですね」
プリントや本の積まれた、雑然とした机に、丸椅子が二つ。
閉めたカーテンの隙間から、薄く差し込んだ光に細かな塵が踊っている。
(食堂も体育館も案内したし……あとは、足りないところないかな?)
考えていると、背後から声がした。
「小泉さんって不思議な子だね」
振り向くと、ゆっき先生の静かな目がこちらを見つめている。
「美人なのに鼻にかけてなくて自然体だし、すごく落ちついてる感じがする。あんまり高校生っぽくないって言われない?」
「そうかな。うーん……どうでしょう」
とっさに頭をよぎったのは、爽君と紘ちゃんの顔だった。
幼い頃から年上の二人とばかり遊んでいて、同世代の友達よりずっと仲がよかったから、気づかないうちにそういう雰囲気が出ているのかもしれない。
それに最近は前世のことについて考えることが多くて、何となく、教室にいる他の子たちの話題にはついていけてない気がする。
(こんなこと、恥ずかしくて絶対言えないしね)
「年上の友達が多いとか?」
「そうですね。そうかもしれません」
曖昧に言葉を濁すと、ゆっき先生は「そっか」と微笑んだ。
「俺もね、友達は年上が多いんだけど、親友は同い年なんだ。そいつがまた、びっくりするぐらい人格が破綻しててさ。まじ鬼畜だわ~って思うんだけど」
言葉を切ると、ゆっき先生は私を真っすぐ見つめて言った。
「やっぱり大事なんだ。めったに助けを求めることがない奴だから、そういうことがあったら、何を置いても駆けつけて、味方になる。そう決めてるんだ」
私は目をぱちぱちさせた。
(どうして……私にそんなこと言うんだろう)
「いえ、とんでもないです」
放課後の廊下を先導しながら、私は西日に目を細めた。
まだまだ暑い日が続いているけれど、季節は確実に秋へと近づいている。
「ここが数学準備室です」
立ち止まって手で示すと、私は扉を開けた。
こもった空気と埃の匂いに、軽く咳き込む。
「あんまり使われてないみたいだね」
後ろから入ってきたゆっき先生が言った。
「そうみたいですね」
プリントや本の積まれた、雑然とした机に、丸椅子が二つ。
閉めたカーテンの隙間から、薄く差し込んだ光に細かな塵が踊っている。
(食堂も体育館も案内したし……あとは、足りないところないかな?)
考えていると、背後から声がした。
「小泉さんって不思議な子だね」
振り向くと、ゆっき先生の静かな目がこちらを見つめている。
「美人なのに鼻にかけてなくて自然体だし、すごく落ちついてる感じがする。あんまり高校生っぽくないって言われない?」
「そうかな。うーん……どうでしょう」
とっさに頭をよぎったのは、爽君と紘ちゃんの顔だった。
幼い頃から年上の二人とばかり遊んでいて、同世代の友達よりずっと仲がよかったから、気づかないうちにそういう雰囲気が出ているのかもしれない。
それに最近は前世のことについて考えることが多くて、何となく、教室にいる他の子たちの話題にはついていけてない気がする。
(こんなこと、恥ずかしくて絶対言えないしね)
「年上の友達が多いとか?」
「そうですね。そうかもしれません」
曖昧に言葉を濁すと、ゆっき先生は「そっか」と微笑んだ。
「俺もね、友達は年上が多いんだけど、親友は同い年なんだ。そいつがまた、びっくりするぐらい人格が破綻しててさ。まじ鬼畜だわ~って思うんだけど」
言葉を切ると、ゆっき先生は私を真っすぐ見つめて言った。
「やっぱり大事なんだ。めったに助けを求めることがない奴だから、そういうことがあったら、何を置いても駆けつけて、味方になる。そう決めてるんだ」
私は目をぱちぱちさせた。
(どうして……私にそんなこと言うんだろう)
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