異世界に魔神召喚された忍者、一族の復讐をここで果たします~忍者なのに魔力一億??~

いーぽん

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第一章

影の四人衆

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 ここは怨涙の森。黒光りする雲に覆われ、ただひたすら雨が降り続ける場所。呪われたかのような黒い葉をつけた木が立ち並び、呻くような獣の声が聞こえる森。
 かつて、戦争により何百もの命が失われたこの地域。以降呪われた場所として呼ばれ続け、罪人や自ら命を絶とうとする者の行き着く先となった。そんな彼らの怨み辛みのこもったこの地の雨は、怨涙と呼ぶにふさわしく灰色がかっていた。
 そんな森のなかで一人の子供が片手にナイフを持って笑っていた。顔、首、腕、脚のどこにも目立つ傷をいくつもつけている。そんな子供が全身を血に赤く染め、目の前の獣の肉を分解していく。
「ザオラ、今日の肉をありがとう」
 笠を被り、黒い装束を着て、先端が丸くいくつもの輪が連なっている慎重と同じくらいの長さの錫杖しゃくじょうを持った男が声をかける。その声はどこか優しい響きをしている。
「タタラ、帰ってきてたんだ」
 ザオラと呼ばれた子供はタタラを見た瞬間に、顔の表情を変えた。それは先程までの狂気的な笑みではなく、子供らしい無邪気な笑みであった。
「どうだったの?」
「やはり、なかなかの実力です。ついつい、気づかれてしまいましたよ」
「気づかれたのか」
 左右それぞれに五本、計十本の刀を腰に差している武士のような格好の女が現れる。
「そうですよ、カケラ。少しばかり、お話ししてきました」
「そんな勝手なことを。それより、何分だった?」
 カケラの目は常に閉じていた。
「四分ぐらいでしたかね」
「そうか。それで私の懐に入ってくることができるのだろうか」
 目を開かぬまま、カケラは歩く。いや、カケラは目を開くことができない。先天的な盲目て生まれてこのかた、光を見たことがない。そのカケラの歩く先に、猛獣が一匹現れる。黒い獣、ブラックウルフだ。
「やったあ、今日のご飯が増える! あっ、でもカケラがやっちゃうと食べれなくなることもあるからな……」
「気を付けるよ、ザオラ」
 ウルフはカケラを注意深く観察し、飛びかかる隙を狙っている。そして、ついに飛びかかった瞬間、大きな両手に挟まれ、持ち上げられる。
「もらったゾー」
 体長二メートルを裕に越えてる大男が、後ろから捕まえたのだった。
「ガリラ、もう少しで私の間合いに入るところだったぞ」
 カケラは腰の刀に手を掛けていた。
「ゴメンなのダー」
 手の圧迫により窒息死したウルフの死体を地面に置くガリラ。
「やったあ。増えた増えた!」
 その死体の方に駆け寄って、ザオラは解体を始めた。
 この四人こそ、影の四人衆である。第一番ザオラ、第二番カケラ、第三番ガリラ、そして第四番タタラ。この怨涙の森をアジトとし、かつては様々な闇の仕事を引き受けて暮らしていた。が、今はある人物の下についている。
「ボクはね、とっても興奮しているんだよ。あの方が求めていた人物がいるってことに。まだ姿は見てないけど」
「それは、あなたが昨日の観察の時に来なかったからでしょう」
 ヴィオラが村を襲ったときのことである。
「だって、眠たかったんだもん」
 血しぶきを挙げながら、獣の解体を続けているザオラ。変わらず顔は笑っている。
「そのうちに、顔合わせをしにいくこともあるだろう」
「そのときはまだやらないんだよね」
「やらないんダぁーー」
 トロトロとして、間の抜けたような大声で話すガリラ。
「それより、ヴィオラが連行中に逃走したそうですよ」
 タタラの言葉に他の三人は驚く。
「また戻ってくるかな?」
「それはわからんな」
「どうやってにげだしたのダぁ?」
 魔術具を奪われ、しっかりと拘束したうえで王国まで連行されていたはずなのだ。
「逃走のプロだったからな。それにとっておきのあれ・・をあいつは持っていたからな」
「それよりご飯ご飯!」
 切り分け終えた肉を一ヶ所にまとめて、木の葉を集め始めたザオラ。スキップしながら駆け回っている。
「わたしはあの方への報告が残っているので」
 錫杖を鳴らし、歩き始めるタタラ。
「いってらっしゃ~い! 気を付けてね」
 笑顔で手を振り、ザオラは見送った。
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