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第一章
仮面の忍者
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カイトは暗い森のなかを走っていた。時刻は午前四時頃。夜中に一人で訓練をしていたカイトは、微かに覚えのあるような気配を感じたのだった。この世界ではなく、もとの世界で感じたことのあるようなものだった。そしてそれは強力な気配を抑えているにもかかわらず、漏れ出てしまっているようなものだった。
僅かな気配を頼りに走り続けていたカイトは自分がどこにいるのかはわかっていなかった。ただ、綾目によって少しずつエネルギーの通った跡が見えてきていた。次はそれを追っていた。
その結果たどり着いた先に見えたのは……何かが燃えている光景。そして、その側にいる気配の正体。
カイトは注意深く見ようとしたが、自分の気配が駄々もれだったことに気づく。そのときにはもう遅かった。
燃えている側に立っている何者かは、カイトの方を見ることなく飛び道具を投げてきた。忍者が使うようなクナイや手裏剣だ。
それを避けながら近付いて見ると、燃えているのは女と男だった。そしてその一人は見覚えがあった。あのヴィオラだった。
「お前は何者だ」
木の枝の上から見下ろして、尋ねるカイト。
「チッ」
舌打ちをしたかと思うとその人物は一瞬にして、カイトのいる高さまで飛んできて踵で蹴り落とした。白塗りの仮面で顔を隠している。
着地直前で両手で地面を叩いて起き上がったカイトは、いつの間にか目の前にいた仮面の人物に腹を蹴られ、勢いよく木にぶつかった。
「強い……」
カイトはもちろん、綾目によって人物のエネルギーの流れは見えたいた。が、見えるだけでその速度についていけないのだ。
「水龍牙砲」
背中を打ち付けられた反動を受けていたカイトに追い討ちをかけるように、水の龍が襲いかかる。
「まだ……いな」
聞き取れない声を聞きながら、カイトは気を失った。
「おーい、おーい」
カイトが意識を取り戻したとき、辺りは明るみを帯びていた。あのまま木に体重を寄りかけて、眠っていたらしい。
「あれやったのって君?」
リオンはカイトとの間に一枚の防壁を作っている。そして、焼け焦げた二つの死体を指差す。
「違う、俺じゃねぇ。仮面の野郎だ」
「仮面?そんなやついないけど」
リオンはキョロキョロと周りを見る。その場にいるのは眠そう、というか立ったままて寝ているミカゲ、タオとルル姉弟だけ。
「いたんだよ。信じられねぇなら別にいいけど」
カイトは慣れていた。信用などもう二度とされないとさえ、元の世界では思っていた。
「別に信じない訳じゃないよ」
カイトはリオンの顔を見上げた。
「だって、真夜中にすごい殺気を感じたんだもん。そこにもう一人やって来てぶつかり合ってて、というかは一方的にやられてる感じだったし。出ていこうかな、とも思ったんだけど敵わないことはわかってたからさ。それにしてもこの防壁を突き破るなんてやばすぎるよ」
リオンは両手をあげてお手上げだ、という風なポーズをしている。
「ああ、あいつはやばかった」
「いや、君も相当だからね。ヤバイやつのすぐあとにヤバいやつ来て、怖くて仕方なかったんだから。ただ、その仮面つけてたか知らないけどそいつが上回っていただけだよ」
小鳥が空を舞い、小動物が地上を走る。タオとルルは真っ黒になっているヴィオラとシャージャを見下ろしている。
「あの二人を倒したのは?」
「それはボクとあのモジャモジャ頭。それはそれで君は何者? 見たことない道具持ってるけど」
「俺は忍者だ」
カイトはそれは何かと、また問い詰められるものだろうと思っていた。が、リオンの反応は予想外のものだった。
「あぁ、君があれか。王が言ってたニンジャか。でもなんでこんなとこにいる? モカ様の行った村にいるはずでは? ここからは歩いて一時間ぐらいはかかるんじゃ?」
「夜中に一人で訓練していたら、気配を感じて走ってきたんだよ」
ほんの数時間前の感覚をカイトは思い出していた。
「そんな気配だけてこんなところまでやって来たのか。その察知力もすごいが、わざわざどうしてやって来たんだよ」
「知っている人間に似ていたんだ」
あまり多くを語ることはできなかった。元の世界の話などもできないわけだったから。
「ほう、あんなにも強い力を持つ人間と知り合いなのか?」
「いや、人違いかもしれない」
「君のいう知り合いについては語りたくないって感じか」
カイトは懐かしい気配を感じていた。あり得ない、とは思っていたもののそうだと思わざるを得なかった。しかし実際にあの仮面の人物を見たとき、自分の予想が的中していると断言はできなかった。まるで知らない別の強い気配をあの人物からは感じたからた。が、いずれにしてもあの人物は忍者の使う飛び道具を持っていた。そして「水龍牙砲」という忍術を使っていた。それらから、同じ世界から忍者がなのかもしれないと考えていた。
「ついでだし、モカ様のいる村に寄るか」
そう決断したリオンはまだ立ち眠りを続けているミカゲの肩を叩いて確認する。
「それでいいよね」
「面倒なことじゃないか?」
「大丈夫。それより、君たち姉弟はどうしようか。格闘家のお姉ちゃんと言霊使いの弟だよね。ちょっとは盗人として有名だよ。まぁあのヴィオラに使われてたんだろうけど。とりあえず離れずについてきてくれる?」
姉弟は捕まってしまうかもしれないという恐怖を覚えているようだった。
「大丈夫だよ。王は優しい方だ。想像してるみたいな酷いようにはならない、と思うよ。というか、ボクからは逃げれないからね」
こうして、リオンとミカゲ、カイト、そして半ば強制的にタオとルルも含めて五人はモカやユアナのいる村へ森のなかを進んでいくこととなった。
僅かな気配を頼りに走り続けていたカイトは自分がどこにいるのかはわかっていなかった。ただ、綾目によって少しずつエネルギーの通った跡が見えてきていた。次はそれを追っていた。
その結果たどり着いた先に見えたのは……何かが燃えている光景。そして、その側にいる気配の正体。
カイトは注意深く見ようとしたが、自分の気配が駄々もれだったことに気づく。そのときにはもう遅かった。
燃えている側に立っている何者かは、カイトの方を見ることなく飛び道具を投げてきた。忍者が使うようなクナイや手裏剣だ。
それを避けながら近付いて見ると、燃えているのは女と男だった。そしてその一人は見覚えがあった。あのヴィオラだった。
「お前は何者だ」
木の枝の上から見下ろして、尋ねるカイト。
「チッ」
舌打ちをしたかと思うとその人物は一瞬にして、カイトのいる高さまで飛んできて踵で蹴り落とした。白塗りの仮面で顔を隠している。
着地直前で両手で地面を叩いて起き上がったカイトは、いつの間にか目の前にいた仮面の人物に腹を蹴られ、勢いよく木にぶつかった。
「強い……」
カイトはもちろん、綾目によって人物のエネルギーの流れは見えたいた。が、見えるだけでその速度についていけないのだ。
「水龍牙砲」
背中を打ち付けられた反動を受けていたカイトに追い討ちをかけるように、水の龍が襲いかかる。
「まだ……いな」
聞き取れない声を聞きながら、カイトは気を失った。
「おーい、おーい」
カイトが意識を取り戻したとき、辺りは明るみを帯びていた。あのまま木に体重を寄りかけて、眠っていたらしい。
「あれやったのって君?」
リオンはカイトとの間に一枚の防壁を作っている。そして、焼け焦げた二つの死体を指差す。
「違う、俺じゃねぇ。仮面の野郎だ」
「仮面?そんなやついないけど」
リオンはキョロキョロと周りを見る。その場にいるのは眠そう、というか立ったままて寝ているミカゲ、タオとルル姉弟だけ。
「いたんだよ。信じられねぇなら別にいいけど」
カイトは慣れていた。信用などもう二度とされないとさえ、元の世界では思っていた。
「別に信じない訳じゃないよ」
カイトはリオンの顔を見上げた。
「だって、真夜中にすごい殺気を感じたんだもん。そこにもう一人やって来てぶつかり合ってて、というかは一方的にやられてる感じだったし。出ていこうかな、とも思ったんだけど敵わないことはわかってたからさ。それにしてもこの防壁を突き破るなんてやばすぎるよ」
リオンは両手をあげてお手上げだ、という風なポーズをしている。
「ああ、あいつはやばかった」
「いや、君も相当だからね。ヤバイやつのすぐあとにヤバいやつ来て、怖くて仕方なかったんだから。ただ、その仮面つけてたか知らないけどそいつが上回っていただけだよ」
小鳥が空を舞い、小動物が地上を走る。タオとルルは真っ黒になっているヴィオラとシャージャを見下ろしている。
「あの二人を倒したのは?」
「それはボクとあのモジャモジャ頭。それはそれで君は何者? 見たことない道具持ってるけど」
「俺は忍者だ」
カイトはそれは何かと、また問い詰められるものだろうと思っていた。が、リオンの反応は予想外のものだった。
「あぁ、君があれか。王が言ってたニンジャか。でもなんでこんなとこにいる? モカ様の行った村にいるはずでは? ここからは歩いて一時間ぐらいはかかるんじゃ?」
「夜中に一人で訓練していたら、気配を感じて走ってきたんだよ」
ほんの数時間前の感覚をカイトは思い出していた。
「そんな気配だけてこんなところまでやって来たのか。その察知力もすごいが、わざわざどうしてやって来たんだよ」
「知っている人間に似ていたんだ」
あまり多くを語ることはできなかった。元の世界の話などもできないわけだったから。
「ほう、あんなにも強い力を持つ人間と知り合いなのか?」
「いや、人違いかもしれない」
「君のいう知り合いについては語りたくないって感じか」
カイトは懐かしい気配を感じていた。あり得ない、とは思っていたもののそうだと思わざるを得なかった。しかし実際にあの仮面の人物を見たとき、自分の予想が的中していると断言はできなかった。まるで知らない別の強い気配をあの人物からは感じたからた。が、いずれにしてもあの人物は忍者の使う飛び道具を持っていた。そして「水龍牙砲」という忍術を使っていた。それらから、同じ世界から忍者がなのかもしれないと考えていた。
「ついでだし、モカ様のいる村に寄るか」
そう決断したリオンはまだ立ち眠りを続けているミカゲの肩を叩いて確認する。
「それでいいよね」
「面倒なことじゃないか?」
「大丈夫。それより、君たち姉弟はどうしようか。格闘家のお姉ちゃんと言霊使いの弟だよね。ちょっとは盗人として有名だよ。まぁあのヴィオラに使われてたんだろうけど。とりあえず離れずについてきてくれる?」
姉弟は捕まってしまうかもしれないという恐怖を覚えているようだった。
「大丈夫だよ。王は優しい方だ。想像してるみたいな酷いようにはならない、と思うよ。というか、ボクからは逃げれないからね」
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