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第一章
これからのこと
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「とりあえず、その方針でよろしくと伝えてくれ」
「お兄さま、本当にそれでいいのですか?」
「確かに賊だがまだまだ子供だろう。将来国のために頑張ってくれた方がいいじゃないか。ただ国では顔は知られ過ぎてるし、居心地が悪いかなと思うのんだよ。だからそっちの村の人がよかったらそっちで育ててもらいたい。それだけだ」
モカは兄のエドルフ王と遠隔会話を行っていた。朝からいなくなっていたカイトが帰ってきた報告と、タオとルルについてどう処理するかの方針を聞いていた。
「わかりました、お兄さま。そのように伝えてきます」
モカはみんなの集まっているところに戻る。ユアナは、カイトにどれだけ心配したのかを聞かされていた。村長とリオンとロードは起こりつつある危機について、話し合っていた。モーリーとグラスはその三人の会話に耳を傾けつつ、タオとルルが逃げ出さないように一応見張っていた。そしてミカゲは、ルーアと共に真剣に地面に絵を描いていた。
「皆さま、お待たせしました」
モカは兄の出した結論を話した。二人の姉弟には国に連れて帰って投獄されるか、この村で育ててもらうかの二つの選択肢を与えられた。投獄された場合、罪人の刻印を押されて二度と消えない。育ててもらう場合は、カイトやモーリー、グラスがクエストに出るときについていって経験を積んで強くなって、二人だけで戦闘士として生きていけるようになる。
それを聞いてタオとルルは不安な表情を見せた。罪人になるのは嫌だが、村に残っても住人が受け入 れてくれるか心配だったのかだ。
「君たちはどうしたいかじゃぞ」
村長は二人に近づいていく。
「まだ子供じゃからな。子供だからといってすべて許される訳じゃない。でも、君たちには事情もある。まだ改善の余地がある。この村に残りたいか、牢獄に行きたいかどっちじゃ?」
タオはこれまでのやって来たことを思い出していた。特に、親に捨てられてからの二年間。ヴィオラに拾われ、窃盗や強奪の手助けをしたこともあった。そんな自分達だが、許してもらえるというならこの村に残らせてほしかった。
「残りたい」
タオは一言そういった。
「なら、残ればよい。弟の方はどうなんじゃ」
「残りたい」
姉が言ったことにより、弟も言う勇気がでた。
「よし、ならそれできまりじゃ」
「よろしくね」
ユアナは笑顔で二人に握手を求めた。
「では、お二人はそういうことでお兄さまに伝えておきます。次に、カイトさんにはこれからたくさんのクエストを受けてもらいたいということです。上級を目指して頂きたいとのことで」
「上級ってどうやったらなれるんだよ」
そんなことも知らないのか、という顔でリオンが会話に入る。
「君は本当に不思議な人間だね。自分の生まれとか覚えてないなら仕方ないか。下級中級上級は、クエストの達成数や成功率、などから王国で決めるんだよ。そして、下級よりも中級、中級よりも上級の方が受けれるクエストが多くなるし、国や市民からの信頼度も上がるんだ」
「つまり、どれだけ強くてもクエストを受けてないような人間には級がつかないのか?」
カイトはクエストを監視していた人物、タタラのことを思い浮かべていた。
「うん。だから上級の勇者よりも強い無名の人間はいっぱいいる。それに級が三つしかないから、特に上級のなかでも強い人間と弱い人間の差は大きい。だから、モーリーももっと訓練しなよ」
突然振られるモーリー。自分でもよくわかっているだけに悔しかった。
「良からぬ兆しが続いているみたいだから、気を引き絞めていかないとね」
リオンはそれだけ言うと、身体を軽く捻って運動する。そして、いまだにルーアと遊んでいるミカゲを立ち上がらせる。
「そろそろ行こう」
「もうちょっとだけ遊んでたい」
「ダメでしょ。それじゃあ、いろいろとよろしくね。モカ様、またお元気で」
一通り挨拶して嫌がるミカゲを引っ張りながら、リオンは村を出ていった。
「お兄さま、本当にそれでいいのですか?」
「確かに賊だがまだまだ子供だろう。将来国のために頑張ってくれた方がいいじゃないか。ただ国では顔は知られ過ぎてるし、居心地が悪いかなと思うのんだよ。だからそっちの村の人がよかったらそっちで育ててもらいたい。それだけだ」
モカは兄のエドルフ王と遠隔会話を行っていた。朝からいなくなっていたカイトが帰ってきた報告と、タオとルルについてどう処理するかの方針を聞いていた。
「わかりました、お兄さま。そのように伝えてきます」
モカはみんなの集まっているところに戻る。ユアナは、カイトにどれだけ心配したのかを聞かされていた。村長とリオンとロードは起こりつつある危機について、話し合っていた。モーリーとグラスはその三人の会話に耳を傾けつつ、タオとルルが逃げ出さないように一応見張っていた。そしてミカゲは、ルーアと共に真剣に地面に絵を描いていた。
「皆さま、お待たせしました」
モカは兄の出した結論を話した。二人の姉弟には国に連れて帰って投獄されるか、この村で育ててもらうかの二つの選択肢を与えられた。投獄された場合、罪人の刻印を押されて二度と消えない。育ててもらう場合は、カイトやモーリー、グラスがクエストに出るときについていって経験を積んで強くなって、二人だけで戦闘士として生きていけるようになる。
それを聞いてタオとルルは不安な表情を見せた。罪人になるのは嫌だが、村に残っても住人が受け入 れてくれるか心配だったのかだ。
「君たちはどうしたいかじゃぞ」
村長は二人に近づいていく。
「まだ子供じゃからな。子供だからといってすべて許される訳じゃない。でも、君たちには事情もある。まだ改善の余地がある。この村に残りたいか、牢獄に行きたいかどっちじゃ?」
タオはこれまでのやって来たことを思い出していた。特に、親に捨てられてからの二年間。ヴィオラに拾われ、窃盗や強奪の手助けをしたこともあった。そんな自分達だが、許してもらえるというならこの村に残らせてほしかった。
「残りたい」
タオは一言そういった。
「なら、残ればよい。弟の方はどうなんじゃ」
「残りたい」
姉が言ったことにより、弟も言う勇気がでた。
「よし、ならそれできまりじゃ」
「よろしくね」
ユアナは笑顔で二人に握手を求めた。
「では、お二人はそういうことでお兄さまに伝えておきます。次に、カイトさんにはこれからたくさんのクエストを受けてもらいたいということです。上級を目指して頂きたいとのことで」
「上級ってどうやったらなれるんだよ」
そんなことも知らないのか、という顔でリオンが会話に入る。
「君は本当に不思議な人間だね。自分の生まれとか覚えてないなら仕方ないか。下級中級上級は、クエストの達成数や成功率、などから王国で決めるんだよ。そして、下級よりも中級、中級よりも上級の方が受けれるクエストが多くなるし、国や市民からの信頼度も上がるんだ」
「つまり、どれだけ強くてもクエストを受けてないような人間には級がつかないのか?」
カイトはクエストを監視していた人物、タタラのことを思い浮かべていた。
「うん。だから上級の勇者よりも強い無名の人間はいっぱいいる。それに級が三つしかないから、特に上級のなかでも強い人間と弱い人間の差は大きい。だから、モーリーももっと訓練しなよ」
突然振られるモーリー。自分でもよくわかっているだけに悔しかった。
「良からぬ兆しが続いているみたいだから、気を引き絞めていかないとね」
リオンはそれだけ言うと、身体を軽く捻って運動する。そして、いまだにルーアと遊んでいるミカゲを立ち上がらせる。
「そろそろ行こう」
「もうちょっとだけ遊んでたい」
「ダメでしょ。それじゃあ、いろいろとよろしくね。モカ様、またお元気で」
一通り挨拶して嫌がるミカゲを引っ張りながら、リオンは村を出ていった。
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