17 / 19
第一章
あれから二ヶ月、
しおりを挟む
カイトがこの世界に召喚され、タオとルルがこの村に来て二ヶ月が経っていた。カイトは驚くべき早さで数々のクエストをこなし、既に上級の戦闘士として認められていた。数年に一度蘇っては地上の砂を地下へと吸い込もうとするゴーレムを、現在は討伐中。吸い込むだけでなく、ゴーレムはその砂でダンジョンを作り上げる。高難易度のクエストでありながら、ダンジョンをクリアしてゴーレムをどれだけ早く倒せるかを歴代のクエスト達成者と競うのも挑戦者の楽しみであるクエストである。過去の最速記録は、エドルフ王の一時間。二番目が一時間一分で、ミカゲやリオンの他にもう一人いるエドルフ王の側近である。
「ゴォーーーー!」
ブロック状の砂、泥の塊が連なって形成された体長二十メートルほどもあるゴーレム。そんな巨体の前ではほとんどの人間はただただ無力であろう。が、このクエストに挑戦するのにそんな人間は務まらない。
「火弾炎弾」
いくつもの火の玉がゴーレムにぶつかっていく。体のいくつかに穴が開くが、すぐに飛んでいった砂が元の位置に戻ってきて修復される。
「一気に潰さなければいけねぇってことか」
「ゴォーーー」
ゴーレムが足で地面を踏む。それだけで砂嵐が起こり、風圧でカイトの体は押されていく。そんな中、カイトの足元に大きな穴が現れる。もう少しで穴に落ちていくギリギリのところで宙に飛んだ。
「ちんたらやってちゃいけねぇな。豪炎連打、龍弧」
カイトが体の前で交差させる腕から、火の龍と火の狐が現れる。そして交差を繰り返しながら、次々とゴーレムの身体を貫いていく。穴を開ける速度がゴーレムの回復する速度を越え、遂にゴーレムはバラバラの砂となった。そして、同時に砂は地上に戻る。ダンジョンクリアである。
「おめでとう、五分でクリアだよ」
入り口まで付き添いに来て、リオンがタイムカイトを待っていた。計測に来た綾目によって分かれ道もどちらにいけば、モンスターがいるかがわかるカイトには迷うことも急襲を受けることもなかった。
「もう、君強すぎだよ。全部のクエスト君に託したいくらいだ」
「でも、それじゃあ駄目なんだろ」
「うん、みんなのためにならないからね」
カイトは村に向かう。本来クエストを終了すれば王国に報告しなければいけないが、モカがいるのでそこは楽をしていた。リオンもカイトについて来ていた。
「何か用があるのか?」
「うん。次のクエストだよ」
「次はどんな化け物を倒せばいい?」
「中身は村に帰ってからのお楽しみ」
村につくと、ユアナ達が迎える。モーリーやルーア、タオやルルも、みんな二ヶ月前よりも立派な顔つきになっていた。カイトはタオとルルに訓練をつけていた。それにモーリーやルーアも便乗して習っていた。ちなみにタオとルルはもう中級となっている。
「はい、みんな注目だよ!」
リオンが声をあげる。額に汗をかいている。日差しが強く、季節は夏だ。
「次のクエストには、九人まで一緒に行ってもらうことができます」
リオンは指で一人ずつ指しながら名前を挙げて数える。
「モーリー、グラス、カイト、ユアナ、タオ、ルル、モカ様、これで七人。村長も行っちゃいなよっつことで八人。あと一人か……」
「あの、どういうクエストなんですか?」
ユアナが曇った表情を浮かべている。それだけの人数が必要な難関のクエストなのかと思ったのだ。
「あぁ、超大金持ちの経営する、離島アクアナイトにあるホテルで悪夢をみる人が続出していてね。それを解決してきてほしいんだ。まぁ、おそらく死霊の骸骨の仕業だろうけど」
「それだけでそんなにも人数がいるのですか?」
「依頼主がせっかくだから、クエスト終了後に数日間泊まって楽しんでいきなよって感じのクエストなんだよ」
そんな話をしているところに、ロードがやって来た。
「アクアナイトですか?」
「うん、あなたもいっちゃいます? あと一人行けますよ」
「可能なら行かせていただきたいです」
それを聞いて村長は深刻そうな声でロードにたずねる。
「おい、お前がそんなこと言うなんて何かあるのか?」
「少し、思うところがあるのです」
「まあ、とりあえずこの九人がいくってことでいいね? みんなが不在の間はボクが村守るから。みんなは夏を満喫してきな!」
照りつける太陽に向かって指差すリオン。
「大丈夫なんですか?」
「国王の側近舐めんな」
「側近というわりにいつも違うとこいますけどね。そして、リオンさんってキャラがよくわからないですね」
ユアナの言葉にリオンは少しむすっとした。
こうしてカイトたち九人は夏をエンジョイしに、離島へ向かうこととなる。この先にどんな悪夢が待っているかも知らずに。ただ、一人を除いては。
「ゴォーーーー!」
ブロック状の砂、泥の塊が連なって形成された体長二十メートルほどもあるゴーレム。そんな巨体の前ではほとんどの人間はただただ無力であろう。が、このクエストに挑戦するのにそんな人間は務まらない。
「火弾炎弾」
いくつもの火の玉がゴーレムにぶつかっていく。体のいくつかに穴が開くが、すぐに飛んでいった砂が元の位置に戻ってきて修復される。
「一気に潰さなければいけねぇってことか」
「ゴォーーー」
ゴーレムが足で地面を踏む。それだけで砂嵐が起こり、風圧でカイトの体は押されていく。そんな中、カイトの足元に大きな穴が現れる。もう少しで穴に落ちていくギリギリのところで宙に飛んだ。
「ちんたらやってちゃいけねぇな。豪炎連打、龍弧」
カイトが体の前で交差させる腕から、火の龍と火の狐が現れる。そして交差を繰り返しながら、次々とゴーレムの身体を貫いていく。穴を開ける速度がゴーレムの回復する速度を越え、遂にゴーレムはバラバラの砂となった。そして、同時に砂は地上に戻る。ダンジョンクリアである。
「おめでとう、五分でクリアだよ」
入り口まで付き添いに来て、リオンがタイムカイトを待っていた。計測に来た綾目によって分かれ道もどちらにいけば、モンスターがいるかがわかるカイトには迷うことも急襲を受けることもなかった。
「もう、君強すぎだよ。全部のクエスト君に託したいくらいだ」
「でも、それじゃあ駄目なんだろ」
「うん、みんなのためにならないからね」
カイトは村に向かう。本来クエストを終了すれば王国に報告しなければいけないが、モカがいるのでそこは楽をしていた。リオンもカイトについて来ていた。
「何か用があるのか?」
「うん。次のクエストだよ」
「次はどんな化け物を倒せばいい?」
「中身は村に帰ってからのお楽しみ」
村につくと、ユアナ達が迎える。モーリーやルーア、タオやルルも、みんな二ヶ月前よりも立派な顔つきになっていた。カイトはタオとルルに訓練をつけていた。それにモーリーやルーアも便乗して習っていた。ちなみにタオとルルはもう中級となっている。
「はい、みんな注目だよ!」
リオンが声をあげる。額に汗をかいている。日差しが強く、季節は夏だ。
「次のクエストには、九人まで一緒に行ってもらうことができます」
リオンは指で一人ずつ指しながら名前を挙げて数える。
「モーリー、グラス、カイト、ユアナ、タオ、ルル、モカ様、これで七人。村長も行っちゃいなよっつことで八人。あと一人か……」
「あの、どういうクエストなんですか?」
ユアナが曇った表情を浮かべている。それだけの人数が必要な難関のクエストなのかと思ったのだ。
「あぁ、超大金持ちの経営する、離島アクアナイトにあるホテルで悪夢をみる人が続出していてね。それを解決してきてほしいんだ。まぁ、おそらく死霊の骸骨の仕業だろうけど」
「それだけでそんなにも人数がいるのですか?」
「依頼主がせっかくだから、クエスト終了後に数日間泊まって楽しんでいきなよって感じのクエストなんだよ」
そんな話をしているところに、ロードがやって来た。
「アクアナイトですか?」
「うん、あなたもいっちゃいます? あと一人行けますよ」
「可能なら行かせていただきたいです」
それを聞いて村長は深刻そうな声でロードにたずねる。
「おい、お前がそんなこと言うなんて何かあるのか?」
「少し、思うところがあるのです」
「まあ、とりあえずこの九人がいくってことでいいね? みんなが不在の間はボクが村守るから。みんなは夏を満喫してきな!」
照りつける太陽に向かって指差すリオン。
「大丈夫なんですか?」
「国王の側近舐めんな」
「側近というわりにいつも違うとこいますけどね。そして、リオンさんってキャラがよくわからないですね」
ユアナの言葉にリオンは少しむすっとした。
こうしてカイトたち九人は夏をエンジョイしに、離島へ向かうこととなる。この先にどんな悪夢が待っているかも知らずに。ただ、一人を除いては。
0
あなたにおすすめの小説
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
冴えない建築家いずれ巨匠へと至る
木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」
かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。
安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。
現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。
異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます
黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。
だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ!
捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……?
無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる