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第二章
訪問者
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「楽しそうですね、混ぜてくださいよ」
茶色系の肌をし、上は赤と黒のベストみたいな上着だけ、下はダボダボとした同じく赤と黒のズボンを着た男が何処からともなく砂ぼこりと共に現れた。十字架に鎖がクロス状に掛けられた首飾りをつけている。
「どこから出てきやがった」
カイトは警戒する。訓練を受けていた、といっても遊んでいただけの、モーリーとルーアも気を張る。
「そんなに怯えないで。一緒に遊びたいだけですから」
男が指をならす。すると、カイトたちの周りの砂がたくさん、空中に浮かぶ。
「砂を操るのか」
「砂爆の舞」
砂の粒が三人の間を高速移動する。肌や服に触れたとき、砂は小さな火花を散らしながら切りつけていく。
「なんだこれは!」
身体を丸めながらその渦の外へと逃げ出す三人。所々にかすり傷をつけている。
「挨拶程度さ」
そう言ってる男の目の前にカイトはいた。そして勢いよく蹴り飛ばす……つもりが男は砂の粒となった。その少し後ろに男はいた。
「何?」
「変わり身の砂です。それよりも、この島から今すぐ出ていってもらったほうがいいですよ」
怪しげな笑みを浮かべる男。
「何故だ?」
「間もなくこの島は沈みますから」
一方、ユアナ達は森のなかを散歩していた。
「海に行かなくてよかったのですか?」
「無理矢理に連れ出しはしたけど、後から悪いかなと思ってしまって」
そんな三人は頭上に人の気配を感じて目線を上げる。木の枝の上に女が立っている。頭に青のバンダナを巻いて灰色のジャケット灰色のパンツといった格好をしている。首には十字架に鎖がクロス状に掛けられた首飾りをしている。
「誰?」
「人に名前を聞くときは自分から聞くものだろう。それより、この島に何故いる?」
女がナイフを取り出す。グラスは咄嗟にユアナとモカを庇うように前に出た。
「クエストを遂行しにきたんだ」
「あぁ、そうなのか。それは無駄足だったな。今日でこの島は終わるって言うのに。お前たちも死にたくなければさっさとこの島から出ていくことだな」
女はまっすぐの姿勢のまま、枝から足を離していきゆっくりと落下を始めた。グラスは魔法を繰り出す準備をしようとする。が、気づくと女は視界から消えていた。
「こっちだぞ」
声のする背後を振りかえると、別の木の枝の上に立っている。そしてグラスは頬に違和感を感じて触れてみると、血が流れていた。
「いつの間に!」
「分かっただろ。無駄なことは考えずにこの島から出ていきな」
時を同じくして、タオとルル達はカイトたちとは離れた反対側の海岸にいた。
「海なんて初めてだな」
「うん」
砂浜に腰を下ろしながら、静かに波の行方を目で追っている二人。
「お前たち、義理の姉弟か」
髪の毛を鶏のとさかのように立てた体長二メートルぐらいの男が現れる。ズボンしかはいておらず、露になった上半身は引き締まっている。首には例の首飾りがぶら下がっている。
「何故そんなことを聞く!」
初対面で失礼な質問をぶつけてきた男に腹を立てるタオ。ルルは男に怯えている。
「すまない。オレだって義理の家族がいたんだよ。といっても本当の家族みたいなものだった。いや今でもそうのはずだ。だからお前たちが姉弟であることを否定するつもりはないんだ」
男はどこか遠い空を見つめて、感傷に浸っているようだった。
「なら、どうしてそんな質問するんだ」
「なにか、同じ匂いがしたから話しかけたかっただけだ。それよりもこのホテルの従業員なのか?」
「違う」
空高く目指して段々と昇っていく日を見ながら男はため息をついた。
「そうか、なら早くこの島から出な。オレはお前たちのことは殺したくはない」
男はもう一度ため息をついた。
最後にホテルを出たロードは島の真ん中、教会のあるところに来ていた。
「クワロフ神父様、お久しぶりです」
両手を合わせて例をしているロード。
「これはこれは、まさか先客がいたとは驚いた」
背後から現れたのは黒いマントに身をくるんだ背の低い人物。
「この声は……」
ロードは思わず振り返る。
「こんなところで再会できるなんて。それも今日みたいな特別な日に」
謎の人物は手に紫色の水晶玉を持っている。その手首にはあの首飾りが巻き付いている。
「本当にマローネなのですか?」
「そうだよ。久しぶりだね、ロード兄さん」
茶色系の肌をし、上は赤と黒のベストみたいな上着だけ、下はダボダボとした同じく赤と黒のズボンを着た男が何処からともなく砂ぼこりと共に現れた。十字架に鎖がクロス状に掛けられた首飾りをつけている。
「どこから出てきやがった」
カイトは警戒する。訓練を受けていた、といっても遊んでいただけの、モーリーとルーアも気を張る。
「そんなに怯えないで。一緒に遊びたいだけですから」
男が指をならす。すると、カイトたちの周りの砂がたくさん、空中に浮かぶ。
「砂を操るのか」
「砂爆の舞」
砂の粒が三人の間を高速移動する。肌や服に触れたとき、砂は小さな火花を散らしながら切りつけていく。
「なんだこれは!」
身体を丸めながらその渦の外へと逃げ出す三人。所々にかすり傷をつけている。
「挨拶程度さ」
そう言ってる男の目の前にカイトはいた。そして勢いよく蹴り飛ばす……つもりが男は砂の粒となった。その少し後ろに男はいた。
「何?」
「変わり身の砂です。それよりも、この島から今すぐ出ていってもらったほうがいいですよ」
怪しげな笑みを浮かべる男。
「何故だ?」
「間もなくこの島は沈みますから」
一方、ユアナ達は森のなかを散歩していた。
「海に行かなくてよかったのですか?」
「無理矢理に連れ出しはしたけど、後から悪いかなと思ってしまって」
そんな三人は頭上に人の気配を感じて目線を上げる。木の枝の上に女が立っている。頭に青のバンダナを巻いて灰色のジャケット灰色のパンツといった格好をしている。首には十字架に鎖がクロス状に掛けられた首飾りをしている。
「誰?」
「人に名前を聞くときは自分から聞くものだろう。それより、この島に何故いる?」
女がナイフを取り出す。グラスは咄嗟にユアナとモカを庇うように前に出た。
「クエストを遂行しにきたんだ」
「あぁ、そうなのか。それは無駄足だったな。今日でこの島は終わるって言うのに。お前たちも死にたくなければさっさとこの島から出ていくことだな」
女はまっすぐの姿勢のまま、枝から足を離していきゆっくりと落下を始めた。グラスは魔法を繰り出す準備をしようとする。が、気づくと女は視界から消えていた。
「こっちだぞ」
声のする背後を振りかえると、別の木の枝の上に立っている。そしてグラスは頬に違和感を感じて触れてみると、血が流れていた。
「いつの間に!」
「分かっただろ。無駄なことは考えずにこの島から出ていきな」
時を同じくして、タオとルル達はカイトたちとは離れた反対側の海岸にいた。
「海なんて初めてだな」
「うん」
砂浜に腰を下ろしながら、静かに波の行方を目で追っている二人。
「お前たち、義理の姉弟か」
髪の毛を鶏のとさかのように立てた体長二メートルぐらいの男が現れる。ズボンしかはいておらず、露になった上半身は引き締まっている。首には例の首飾りがぶら下がっている。
「何故そんなことを聞く!」
初対面で失礼な質問をぶつけてきた男に腹を立てるタオ。ルルは男に怯えている。
「すまない。オレだって義理の家族がいたんだよ。といっても本当の家族みたいなものだった。いや今でもそうのはずだ。だからお前たちが姉弟であることを否定するつもりはないんだ」
男はどこか遠い空を見つめて、感傷に浸っているようだった。
「なら、どうしてそんな質問するんだ」
「なにか、同じ匂いがしたから話しかけたかっただけだ。それよりもこのホテルの従業員なのか?」
「違う」
空高く目指して段々と昇っていく日を見ながら男はため息をついた。
「そうか、なら早くこの島から出な。オレはお前たちのことは殺したくはない」
男はもう一度ため息をついた。
最後にホテルを出たロードは島の真ん中、教会のあるところに来ていた。
「クワロフ神父様、お久しぶりです」
両手を合わせて例をしているロード。
「これはこれは、まさか先客がいたとは驚いた」
背後から現れたのは黒いマントに身をくるんだ背の低い人物。
「この声は……」
ロードは思わず振り返る。
「こんなところで再会できるなんて。それも今日みたいな特別な日に」
謎の人物は手に紫色の水晶玉を持っている。その手首にはあの首飾りが巻き付いている。
「本当にマローネなのですか?」
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